激変中の東京駅周辺がアツイ!東京ミッドタウン八重洲内の小学校移転事情

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激変中の東京駅周辺がアツイ!東京ミッドタウン八重洲内の小学校移転事情

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日野京子

エデュケーショナルライター

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再開発で激変中の八重洲。9月には新たなランドマーク「東京ミッドタウン八重洲」が先行して一部運用開始されます。目玉の一つである城東小学校の移転について、エデュケーショナルライターの日野京子さんが解説します。

 外国人観光客の受け入れが6月10日(金)から二年ぶりに再開しました。コロナ禍で停滞した観光業にとっても復活への第一歩といったところです。旅行の移動手段として使われる鉄道網が発達している東京の中でも、東京駅は中心的な役割を果たしているだけではなく、観光スポットとしても有名です。

重要文化財の東京駅丸の内駅舎(画像:photoAC )



 重要文化財である丸の内駅舎は、2012年10月に復元工事により創建当時の姿がよみがえりました。東京の玄関口として威厳ある佇まいは多くの鉄道ファンだけでなく、東京駅を利用する旅行客に愛される存在です。

全国的にもレアな高層ビル内の小学校

 東海道新幹線の始発駅でもある東京駅は、修学旅行で関西方面に行く時に新幹線構内で出発式が行われる場所でもあります。コロナ禍で2020年、2021年は修学旅行の中止の影響で季節の風物詩でもある「出発式」が見られませんでしたが、2022年は3年ぶりに復活するなど明るいニュースとして報道メディアでも取り上げられました。

小学校のイメージ(画像:photoAC)

 そんな東京駅周辺はおおまかに東京駅を挟んで「丸の内」「八重洲」と二つのエリアに分かれています。街の雰囲気も異なりますが、実は丸の内界隈には公立小学校がなく、八重洲方面に集中しています。近年は関東大震災の後に建てられた歴史ある小学校での老朽化に伴う新築工事も行われてきました。

 とくに大きな注目を集めているのが、中央区立城東小学校の新校舎です。もともと、八重洲口から徒歩3分と東京駅が徒歩圏内という場所に立地している小学校です。1929(昭和4)年竣工という築年数もあり、2018年から解体工事に着手し新校舎建設の運びとなりました。

 しかし、八重洲口から至近距離という好立地もあり「普通の公立小学校の新校舎」ではありません。東京駅周辺の再開発の目玉の一つとして校舎の跡地を含む場所に、地下2階地上45階の高層ビル「東京ミッドタウン八重洲」が立ち、同ビル内の1~4階部分が城東小学校になります。ちなみに、今年の夏休み以降から新校舎として使用開始を予定しています。

再開発中のビルのイメージ(画像:photoAC)

 三井不動産が手がける都心の再開発シリーズ「ミッドタウン」の三例目となる「東京ミッドタウン八重洲」の全面オープンは2023年3月を予定していますが、それに先行する形で近隣の阪本小学校の一部を仮校舎として使用していた城東小が新校舎に移転し、授業が始まります。

 全国的にも複合施設内に公立小学校が入居することは非常に珍しく、一般的な小学校のイメージとはかけ離れたものになりそうです。

単なる新校舎建て替えではなく街の再開発

 実は、城東小学校の校舎の建て替えは学校だけの問題にとどまらず、八重洲エリアの再開発という大きな課題として東京都が都市再開発を決定した経緯があります。

 東京都都市整備局はこの計画についてホームページ上で、以下のように明記しています。

「JR 東京駅等に近接し、幹線道路に囲まれた交通利便性に優れた立地条件にあるが、敷地の細分化や建物の老朽化が見られ、東京駅前の立地ポテンシャルを活かした土地の有効利用や高度利用が図られているとは言い難い。このため、都市再生特別地区を活用した市街地再開発事業により、『東京駅前の交通結節機能の強化』と『国際競争力を高める都市機能の導入』及び『防災対応力強化と環境負荷低減』を図り、東京駅前地区に相応しい高度利用及び都市機能の更新を行う」

 建物の老朽化は自然災害が発生した際に大きな被害が出やすいため、再開発により被害を小さくする狙いもあるようです。また、「東京ミッドタウン八重洲」は地下にバスターミナルも設けられますので、東京駅から至近距離の立地を最大限に活かした形となっています。

 このように、校舎のみの建て替えではなく、八重洲エリアの再開発も担っているという点は東京都心ならではの事情といえます。

ランドマークタワー誕生で活気づく八重洲

 東京駅の八重洲というと迷路のような「八重洲地下街」が有名です。海外旅行客の受け入れが再開し、状況によっては段階的に規制緩和となっていくと考えられますので、また以前のような賑わいに戻ると予想されます。

東京駅八重洲口の風景(画像:photoAC )



 東京ミッドタウン内の施設運用は小学校からスタートしますが、さらに秋には旅行者にとって便利な施設もオープンします。

 開発に携わった三井不動産は「商業施設約60店舗のうち、地下1階の13店舗が、地下2階『バスターミナル東京八重洲』とともに2022年9月17日に先行オープンする」と発表しています。「バスターミナル東京八重洲」は国内最大級の規模を誇り、東京駅からの接続も良く各地へと向かう旅行客やビジネスパーソン、またインバウンド旅行客の利用も期待されます。2020年度から長きにわたり冷え込んでいた旅行業界にとって起爆剤となるだけでなく、利便性が向上することで利用者側にとっても便利な施設となります。

 八重洲エリアの再開発は今後もしばらく続きます。その起点となったのが小学校の建て替えというのも、都心の一等地という特殊な事情だからこそ。

 高層ビル内の小学校という革新的な取り組みも含め、色々な面から東京八重洲ミッドタウンの今後に注目したいですね。

★東京ミッドタウン八重洲

東京都中央区八重洲2丁目地内

JRまたは東京メトロ丸ノ内線東京駅 八重洲口より徒歩3分

東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩3分

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