数百円で楽しむ「貴族の遊び」 リゾート風ビーチをほぼ独り占めできる穴場スポットとは?【東京23区ビーチの旅】

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数百円で楽しむ「貴族の遊び」 リゾート風ビーチをほぼ独り占めできる穴場スポットとは?【東京23区ビーチの旅】

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高橋弘樹

映像ディレクター

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旅行に行かれなかったコロナ禍、東京都内にいながらリゾート地に来たような気分を味わえるビーチを発見! 映像ディレクターの高橋弘樹さんがその魅力をリポートします。第1回目は「葛西ビーチ」。

コロナ禍で体得! 近所で楽しく遊ぶスキル

 コロナで海外旅行に行けない。はやく大好きな旅にでたい。コロナ禍初期、ずっとそう思っていました。

 ですが、コロナ禍で国外渡航がしづらくなってから、相応の時間がたったいま、まったくそう思わなくなりました。

 コロナ中、なんか近所で遊ぶスキルが、めちゃくちゃ高まったからです。今回は、そんな中でも東京都内で、数百円でできる「貴族の遊び」を紹介してみようと思います。

 今回は秋から冬にかけて、ぜひしたい「貴族の遊び」。それは「東京ひとりコート・ダジュール」プレイです。

東西線で行く、「東京23区の島」(画像:高橋弘樹)



 フランスからイタリアにかけて広がるコート・ダジュールの最大の特徴は、都市に美しいビーチが直結していること。モナコやニース、カンヌのように。

 そして、それほど人ごみのない「プライベートビーチ感」のある穴場ビーチがたくさんあること。このふたつです。

「そんな場所、東京23区にあるわけない!」そう思うかもしれませんが、じつはあるんです。東京でこの条件を満たすビーチが三つ。伊豆諸島ではなく、23区に。

 都内から500円で行ける「東京コート・ダジュール」の旅。3回に分けて紹介したいと思います。

代表的ビーチ、お台場は使用不可中

 まず東京23区でビーチと言って思い浮かぶのは「お台場ビーチ」だと思います。お台場海浜公園の一角、フジテレビのお膝元にあるこのビーチは、もっとも有名な東京23区のビーチで、多くの都民は23区のビーチといえばここを思い浮かべるでしょう。

 レインボーブリッジを正面にみるこのビーチは迫力満点、東京らしいビーチです。

 しかし2021年の秋から冬にかけて、このビーチは使用不可。東京オリンピックの撤収のためです。 

 残念ですが、じつは「東京23区ビーチ」はお台場だけではありません。

東京駅から電車で13分の異世界

 東京駅から電車でわずか13分のところにある異世界。それが江戸川・葛西ビーチです。

東京駅から13分、江戸川・葛西ビーチ(画像:高橋弘樹)



 水族館や観覧車で有名な葛西臨海公園ですが、じつはその最奥部に島がふたつあります。「東なぎさ」と「西なぎさ」です。

 このふたつのうち「東なぎさ」は完全な離島。そして「西なぎさ」は葛西臨海公園との間に橋が架けられていて、歩いて島へ渡ることができます。

 9月の末、まだ暑さの残る日曜、この地を訪れました。

 凧を空高くあげる人。波打ち際にはひざまで海に入って、水遊びをする人。思い思いに東京でリゾートを楽しむ同志たちの姿がありました。

都内なのに水平線が見渡せる!

 この「西なぎさ」がすごい点は、圧倒的なロングービーチ。東西770mとされる島南側ほぼすべてが白砂のビーチ。

 日曜でもそれでも密になることはないですし、平日なら視界には海しか入らない、完全なプライベートビーチ感を味わえます。

プライベート感のただよう、おだやかなビーチ(画像:高橋弘樹)



 さらにすごいのが圧巻の水平線ビュー。お台場はビーチからの景色が「THE・都心」ですが、このビーチでは都内なのにしっかり水平線がのぞめます。

 このビーチでは「23区にいるくせに『リゾートきたよー』とインスタに投稿してもばれない写真撮影ごっこ」も可能です。

 ごっことはいうものは、はるか彼方に水平線をのぞむこのビーチは、よく目をこらせば見える海ほたるに気づかなければ、地中海のどこか。

 コート・ダジュールである、と言われれば、そんな心持ちがしてくる気持ちよさです。

 いや、むしろニースで水平線から一直線にのびる美しい月明かりを見たときに感じた、「いや、まてよ。この海を、対岸のアフリカの難民は渡ってくるわけだ。どういう気持ちで渡ってくるのだろう」という、絶景を眼前にしてもそれに没頭し切れなくさせる複雑な思いが生じない分、ニースより魅力的かもしれません。なんせ、対岸は千葉ですから。

 しかし、このビーチがすごいのは、これだけではありません。じつはこの島のビーチはいくつもの顔を併せ持っています。

 正面は水平線ビューですが、島のはるか西方には大都会東京ビュー。東京の高層ビル群をのぞむ不思議なビーチです。

観覧車もシンデレラ城も見えるぞ

 さらに西なぎさにはこのメインビーチ以外にも隠れビーチがふたつもあります。

 ひとつは島の北岸中央部にある超こじんまりとしたビーチ。このビーチは対岸が葛西臨海公園の“内洋”にあたるため、波がメインビーチに比べておだやか。

 そして、対岸は観覧車ビュー! 休日には汽車が走ります。NYのコニーアイランドといっても過言ではないですね。子連れにはもってこいのビーチです。

 そしてくわえてもうひとつ、島内には日本で唯一のビーチが。それは、「シンデレラ城ビュー・ビーチ」。島の北東岸の小さな小さなビーチの対岸本土は舞浜の東京ディズニーランド。

 日本に幾千とあるビーチのなかでも、シンデレラ城ビューのビーチは、この「西なぎさ・北岸ビーチ」だけでしょう。

対岸に見える、東京ディズニーランドのシンデレラ城(画像:高橋弘樹)



 このビーチと舞浜本土との間にある「東なぎさ」は無人島で、バードサンクチュアリとなっています。双眼鏡を持っていけば、コサギやアオサギなどのバードウオッチングも楽しめます。

 島内には自販機もあり、清潔感のある水シャワーも完備。島への入り口ではたこ焼きやかき氷を売る売店もありますし、対岸の葛西臨海公園内にはハワイアンな料理を出すレストランのほか、唐揚げ専門キッチンカーや、ビーチで遊べるおもちゃを売る店まで。至れり尽くせりです。

 穴場ビーチとはいえ夏の休日は賑わいます。ですが秋はシーズン的にも穴場。ちょっとした旅行気分が味わえます。

冬のビーチを楽しむというぜいたく

 昔から常々、冬に旅するビーチほどぜいたくな旅はないと思っていました。

 なぜならそれは、観光客だらけという非日常の中にあるビーチではなく、ただ自然体で日常の中にあるビーチを味わうことができるからで、その体験は比較的お金と時間に余裕がある者にしかできない娯楽な気がしていました。

 どうしても、1年のうちに数回しか旅行に行くことができないなら、やはり泳げる季節に行こう、となってしまうから。

 ですが、都内にあるビーチなら、そんな「冬の顔した静かなビーチ」をしっかり味わえます。

 このビーチのある葛西臨海公園は、公園内にホテルのある都内でも珍しい公園です。平日なら一泊6000円くらいですから、有給を取って1泊すれば、気分は「冬のリヴェイラ」ならぬ「冬のコート・ダジュール」かもしれません。

 だけど、都内の穴場ビーチはこれだけではありません。(次回に続く)

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