女ひとり、今夜は「はしご酒」 吉祥寺とっておき居酒屋3選
「住みたい街ランキング」上位常連の吉祥寺。おしゃれなイメージが強いですが、夜はハモニカ横丁を筆頭に、ディープな飲み屋がのれんを出します。そんな吉祥寺で、女性がひとり飲みしやすいお店を、ライターが「はしご酒レポート」します。意外とディープな顔を見せる、夜の吉祥寺 吉祥寺といえば、住みたい街で毎回上位に名前が挙がるおしゃれな街。駅ビル「アトレ吉祥寺」や井の頭恩賜公園など、便利さと自然が共存する人気エリアです。 一方、夜になるとディープな一面も。サラリーマンなどでにぎわう新旧の飲み屋が軒を連ねるハモニカ横丁はその代表と言えるでしょう。 しかし今回は、そんなハモニカ横丁からあえて視点をずらし、それ以外のエリアから、女性ひとりでも飲みに行きやすい吉祥寺のお店を3軒紹介します。 1軒目:500円均一で高コスパ「コメマル(米)」 まず訪れたのは、吉祥寺駅南口から徒歩約1分の「コメマル(米)」(南町1)。こちらのお店、土曜日は15時、日・祝は14時から営業しているため、早飲みにもってこいのお店なんです。さらにお酒もおつまみも、税込500円の明朗会計がうれしい! 「コメマル(米)」の「長崎天然ブリのなめろう」。取材日の一押しメニュー(2019年5月11日、遠山彩里撮影) 地下の入口に続く1階の階段には、「おでん」と書かれた赤提灯と、営業中かどうかを示す信号機が立つユニークな門構え。青信号なのを確認して店内に入ると、5人ほど並べる立ち呑み用カウンターと、2〜4人掛けのテーブルが7つ並びます。 一番乗りだったので手前のテーブルに座り、まずは「生レモンサワー」と、おすすめの中から「黒鯛活〆」を注文。搾りたてのすっきりしたレモンの香りが、暑さを吹き飛ばしてくれます。黒鯛は身の一枚一枚がコリコリしていて新鮮な食感。これは日本酒と合うこと間違いなし。 店内には、全国47都道府県の日本酒が並びます。店長に「魚に合う辛口のおすすめありますか?」と聞いて出てきたのが、福井県の 「常山(じょうざん) とびっきり辛口」。その名のとおり、鼻をツンと刺激する辛さのなかに、すっと抜ける膨らみある味わいを楽しむことができます。 辛口の酒のアテ(つまみ)にと、お店人気の「名物おでん」を注文。メニューにある15種類のなかから4つ、好きな具材を選べます。今回は店長のおすすめで、大根・玉子・牛すじ・ねぎ袋を盛ってもらいました。出汁を一口すすると、これが本当に優しい味。あっさりしている中にもコクがあるのは、お酒に合うように味付けしているのだとか。 このおでんがおいしすぎたので、単品おでんの「白はまぐり」と、「常山 とびっきり辛口」のひとつ下の「常山 純米超辛」を注文。はまぐりからの出汁で、先ほどのおでんよりも、味も見た目も濃い一品。辛みと米の旨さを味わえる純米超辛との相性が抜群で、のどが喜んでいるのが分かりました。 気がついたら、この日お店にあった常山の4種類を全制覇していました。すべて税込500円なので、お会計もしやすく、軽く入ってスムーズに出られる「コメマル(米)」でした。 2軒目:秘伝のタレと焼き鳥が絶品「おっちゃんの台所」2軒目:秘伝のタレと焼き鳥が絶品「おっちゃんの台所」 日本酒で気持ちよくなった後は、吉祥寺通り方面に6分ほど歩いた2軒目のお店「おっちゃんの台所」(本町2)に到着。半地下にあるお店の前にはテラス席もあり、これからの季節に気持ち良さそうです。 「おっちゃんの台所」半地下の趣ある店構え(2019年5月11日、遠山彩里撮影) さっそく中に入ると、オープンキッチンを囲むカウンター席が店内のメインとなっています。落ち着いた空間の店内は、女性ひとりでの来店に緊張感を与えない雰囲気です。焼き台の目の前に座り、まずは「生レモンサワー」(550円、税別)を注文。お通しに、ズッキーニ・ナス・ワカサギの天ぷらが出てきました。荒削りの鬼おろしが一緒につき、これがまた絶品。衣の重さをまったく感じさせない、出だしにちょうどいい先付けです。 このお店のこだわりは、甲州の「極み鶏」を使って炭火で丁寧に焼き上げる焼き鳥。20種類近くある中から、「月見つくね2本」(480円)を注文。30年以上続く秘伝のタレの甘辛さと、黄身の濃厚でまろやかな味わいが絶妙にマッチする逸品。 この日は日本酒欲が高まっていたので、山口の特別純米「貴(たか)」(500円)をつくねのお供に。しかし、焼き鳥だけで満足してはいけません。こちらのお店、豊洲市場から新鮮な魚を毎日仕入れており、キッチンでは元寿司職人が腕をふるっているのです。 新鮮さを味わうべく「刺し身三点盛り」(1200円)を注文。その間に、山形県の純米超辛口「東北泉」(500円)でのどを潤します。半合を500円で注文できるので、さまざまな日本酒を飲み比べできるのがひとり飲みにうれしいポイントです。 辛口のすっきりさを味わっていると、お待ちかねの刺し盛りが到着しました。魚は、ブリ・マグロ・イワシ。見ただけで分かる脂の乗りように、思わずのどが鳴ります。ブリもマグロも口に入れた瞬間溶けるような食感で、イワシは生臭さが一切なく、生姜とねぎとの相性抜群です。これは日本酒が進む進む! 周りのお客さんは若者から年配の方まで幅広く、夜になると常時満席に。みんなに愛されているお店だと実感しました。落ち着いた雰囲気の店内で、おいしい料理とお酒に舌鼓を打つことができる2軒目「おっちゃんの台所」でした。 3軒目:帰る頃にはみんな友達!?「美酒佳肴 NAMISUKE」3軒目:帰る頃にはみんな友達!?「美酒佳肴 NAMISUKE」 3軒目には、西伊豆・堂ヶ島出身の気さくな若店主が切り盛りするという気になるお店をチョイス。「おっちゃんの台所」から歩いて約7分ほどの「美酒佳肴(びしゅかこう) NAMISUKE」(本町1)です。 「美酒佳肴 NAMISUKE」店主のしんすけさんが、店頭で地魚の開きを干している様子(2019年5月11日、遠山彩里撮影) 店内はカウンター席のみで、気さくな店主がパフォーマンスのような接客でお店を盛り上げます。トーク力も料理の腕も確か。 本日3杯目の「レモンサワー」(450円、税込)でひと息ついていると、お通しに島寿司が出てきてノックアウト。料理への期待も高まります。メニューを見て悩んでいると「何か適当に出していきましょうか?」とのことで、さっそくお願いすることに。 まず出てきたのが、「まぐろ赤身七味漬け揚」(700円)。これが本当においしくて、お酒が必要不可欠!2杯目は、店のおすすめの「ニューサマーオレンジサワー」(500円)を注文。さわやかな初夏の味がするニューサマーオレンジも、もちろん堂ヶ島産のフルーツ。初めて飲んだ私も思わずマイブームになってしまうくらいのおいしさでした。 次に、何やら見たことのないかわいらしい貝がテーブルに。ナガラミ貝という貝らしく、鰹節と昆布で炊いた「ナガラミ貝のだし煮」(650円)で出てきました。串で中身をくり抜いて食べるのが楽しい一品です。 こちらのお店は、店主にリクエストすると、好みに合った日本酒を出してくれます。今回出てきたのは静岡の地酒「臥龍梅(がりゅうばい)」(800円)。ワイングラスで提供され、ふわっと香る柑橘系の香りとコクが味わえます。 おすすめの締めに「焼き油揚げ」(500円)が運ばれてきました。最後にこれは重いかな……と思ったのもつかの間、食べてみるととても軽い食感。脂っこさがまったくなく、生姜のさっぱりさが相まって、ぺろっと食べられました。 ちなみに、店主の名前はしんすけさん。サーフィンが好きで、良い波に乗りたいという思いから、「なみすけ」という店名にしたそうです。店員さんともお客さんとも仲良くなれる明るいお店。「今日は、にぎやかなお店で楽しく飲みたい」という日にはぴったりのお店です。 ハモニカ横丁だけじゃない! 吉祥寺の名店散策はいかが? 吉祥寺で飲みといえば、「のんべえの聖地」であるハモニカ横丁が有名ですが、実は街のさまざまな場所に名店が隠れているのです。今回はその中でも、女性ひとりで入りやすいお店を3軒紹介しました。 皆さんも、吉祥寺でひとり飲みはいかがでしょうか。
- 吉祥寺
- 居酒屋・バー