普段と違う「自分だけの時間」がいい? 都内ブックカフェに聞く、その人気の理由

2018年10月24日

お出かけ
ULM編集部

本離れが加速するなか、ブックカフェは毎年200~400店ほどのペースで増えています。一見矛盾するように見えますが、背景にはブックカフェの進化がありました。


「テーマ特化型」のブックカフェが増えている

「本離れ」が止まりません。全国出版協会が2018年1月に発表した、2017年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は、13年連続でマイナスとなりました。スマートフォンの普及や若者の読書習慣の減少などが主な原因といわれていますが、そんななかでも、店内の本を読みながらフードやドリンクを楽しめる、ブックカフェの数は増えているといいます。

個性的な蔵書を揃えるブックカフェが増加している(画像:写真AC)

 ブックカフェ開業支援などを行う日本ブックカフェ協会(横浜市)によると、日本国内には現在、1000店を超えるブックカフェがあり、毎年200から400店ほどのペースで増えているとのこと。新刊書店や古書店がカフェを併設するケースはこれまでもありましたが、昨今のトレンドは少々異なるようです。

「増えているのは、テーマ特化型のブックカフェです。例えば、建築事務所がデザイン関連の本を置いたお店を開店したり、絵本を置いて子育て支援を目的とするお店などが開店したりしています。(テーマに特化することで、利用者の)課題を解決する方法として増えているのかもしれません」(同協会)

カップルやオフ会などの団体利用も

 2016年6月にオープンした「BOOK LAB TOKYO」(渋谷区道玄坂)は、42席のコーヒースタンドに最大80人収容のイベントスペースを併設したブックカフェです。蔵書は5000冊で、その4割をIT技術書やデザイン本といった専門書が占めています。電源やUSBコンセント、フリーWi-Fiを完備し、夜にはクラフトビールやワインなども提供しています。運営元は、インターネットメディア事業を手掛けるメディアジーン(渋谷区円山町)です。

「平日は、カフェ近くのIT企業に勤める方やフリーランスの方など、主に20代から40代までの人が多く来店されます。パソコンを使った仕事や打ち合わせでの利用がメインで、男女ともに本に詳しい人が多いのが特徴です。土日は、10代から20代のカップルや、オフ会などの団体利用が中心です。本を読みにひとりで来られる方もいます」(同店マネージャーの立野公彦さん) 

「BOOK LAB TOKYO」の店内(画像:メディアジーン)

 平日と休日に共通するのは、「普段とは違う環境」「自分だけの時間」を求めて来店していることだと立野さんはいいます。また、ブックカフェが増加している背景についてこう指摘します。

「映画や音楽は、『作品に時間を合わせて』楽しむものですが、本は違います。一度読んだ部分を読み返したり、ページを戻したりと、『自分に時間を合わせて』楽しむものです。だからこそ、ゆったりした時間が求められます。そこにカフェという空間がマッチしたのではないでしょうか」(立野さん)

リアルイベントも開催、目的は「課題解決」

 また、メディアジーンでは店内のイベントスペースを使って、同社が運営するインターネットメディアのテーマに沿ったイベントを開催しています。例えば、デジタルデバイスやガジェットの情報を発信している「GIZMODO JAPAN(ギズモード・ジャパン)」は、レビュー記事で取り上げた製品の体験コーナーを同店に設置したことがあるといいます。

「記事を読んだだけでは、製品の使い勝手などの細かい部分が伝わりづらいのですが、コーナーを作れば製品を実際に体験してもらえますし、購買行動にもつながります。インターネットが普及した現代だからこそ、『リアルな場や事柄』がより重要視されてきているのではないでしょうか」(立野さん)

 同店は、IT技術書などの専門書に特化し、併設のイベントスペースを有効活用することで、来店者の「課題を解決する方法」を提供しているのが特徴といえるでしょう。

「サードプレイス」需要も加速


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