都内最古の銭湯 店主は震災利益を義援金に回した「江戸の心意気」を持つ人だった
2019年5月8日
お出かけ東京で最も古い銭湯が江戸川区にあります。創業はなんと246年前。なぜそこまで長く続いているのでしょうか。その裏には、店主の「原点」を忘れない姿勢がありました。
船問屋から銭湯へ
都営新宿線「船堀」駅から徒歩5分。閑静な住宅街にひと際目立つ看板があります。1773(安永2)年創業、都内最古の銭湯「あけぼの湯」(江戸川区船堀)です。

江戸時代は船問屋をしていたという「あけぼの湯」。夕方になると関所が閉まるため、一泊するお客さんが多く、「お風呂もあればいいなぁ」という声が上がったことから、銭湯を始めたという歴史があるそうです。それから明治・大正・昭和と人の流れが変わり、現在の場所に移ったのは1953(昭和28)年のこと。
そんな「あけぼの湯」の19代目店主が嶋田照夫さんです。もともとは会社員でしたが、婿養子に入ったことがきっかけで、1985(昭和60)年に継ぐことになりました。
「独身のころはサウナが大好きでね。仕事終わりにサウナに行って、それから最後にビールを飲むのが一番の楽しみだったんだよ」
そのころの思い出が強かったものの、当時のあけぼの湯はまだ、湯上がりにビールを飲めませんでした。婿養子で入ったものの、「なぜ銭湯でビールが飲めないのか」と思い、お義父さんに直談判。手続きなど、手間がかかる部分もあったそうですが、休憩スペースでビールを出せるようになったことで、お客さんの笑顔も増えたそうです。
「自分の好きなことっていうのは、相手にも喜んでもらえるんだなと実感した瞬間でしたね」
今でこそ、天然温泉の銭湯ですが、もともとは「普通」の銭湯だったそうです。お客さんから、「ここはあったまるねぇ」「温泉なの?」などと聞かれることもありましたが、そのたびに「井戸水だから、温泉じゃない」と答えていたという嶋田さん。しかしある日、周辺で温泉が湧いたという話を耳にします。
「うちも井戸水を調べてもらったら、本当に温泉で。びっくりしたよ」
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