都心の日比谷公園に山があった! しかも2つ、早速登ってみた【連載】分け入っても低い山(5)

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都心の日比谷公園に山があった! しかも2つ、早速登ってみた【連載】分け入っても低い山(5)

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二上山小鹿

低山評論家

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ビルばかりが立ち並ぶ東京23区にも、実はいくつも山があるのをご存じでしょうか。ただし高さが「低い」という条件付きですが……。というわけで、低山評論家の二上山小鹿さんがあなたをゆる~くナビゲートします。

日比谷公園にあるふたつの山

 都心にある低い山を制覇していく本連載。今回目指すのは、千代田区の日比谷公園(千代田区日比谷公園)です。山周辺の交通網はよく整備されており、最も近いのは日比谷駅です。

 筆者は今回、JR有楽町駅から徒歩で山を目指します。JR有楽町駅からのルートは徒歩。富士山でいえば、定番の5合目スタートに対する1合目スタートするルートに近いです。

 有楽町のガードをくぐってしばらく進むと、皇居の日比谷濠に到達します。ここはかつて、日比谷入江と呼ばれた海の名残です。かつての雄大な自然と、それを改造して発展した東京の歴史に思いをはせましょう。

 横断歩道を渡ると、日比谷公園の古めかしい門柱が立っています。いよいよ、本格的な登山道のスタートです。日比谷公園にはふたつも山があるのです。

その名は「三笠山」

 公園に入ると、左手に日比谷見附の高い石垣が見えてきます。これには目もくれず、さらに木の茂る公園を奥へと進んでいきます。登山道が整備されているため、散策する人たちは結構多いようです。

 北西のテニスコートを過ぎたところで、ようやく木の茂みの向こうに山が姿を現します。テニスコートのフェンスに遮られて全貌を見ることはできませんが、確かに山があります。事前の調査によれば、山は「三笠山」と呼ばれています。

日比谷公園の案内板(画像:二上山小鹿)



 山へと続く登山道はしっかり整備されています。ここで驚いたのは山の形状です。

 山全体をぐるっと回りながら頂上まで続く道とは別に、岩が積み重なった頂上を一直線に目指す崖の道があるのです。

 谷川岳の一ノ倉沢をとても小さくしたような絶壁。そこを、子どもたちが「服が汚れるから気をつけろよ~」と騒ぎながら、登ったり降りたりしています。そこから登りたい誘惑にかられますが、今回の目的は頂上までたどり着くこと。誘惑を振り払って、登山道を上ることにします。

公園造成時の残土で作られた山

 時間にして1分あまり、ようやくたどり着いた頂上は畳六畳分くらいの広さがありました。しかし感慨にふける時間はありません。崖を上り下りしている子どもたちの親なのでしょうか、ママ友らしき5人の女性が頂上で井戸端会議を開いていたのです。

 そんなわけで頂上に長く滞在することもかなわず、頂上で見つけた別の道から足早に下山することにします。

 下山したところに、この山の案内版がありました。もともとこの山は公園造成時の残土によって形成されたもので、当初は笠を三つに伏せた形に見えたため、三笠山と名付けられたものの、後にテニスコート造成で今の形になったことが記されています。

三笠山からの眺め(画像:二上山小鹿)

 笠を三つ伏せた形というのが想像できませんが、テニスコートがあることで頂上からの景観はあまり望めないことだけはわかりました。

ふたつめの山「つつじ山」

 ということで、次の山を目指します。公園を南へ、そこには「つつじ山」なる山があると公園内の案内版に記されています。

 舗装された道がしばらく続きます。広場には「密」を避けた人たちがちらほら。次第に緑が増えてきたところに、つつじ山がありました。こちらは、三笠山より低く、登山道の入り口からはゆるやかな道が続きます。

つつじ山からの眺め(画像:二上山小鹿)



 30秒ほど登ると広く平らな頂上に到達。頂上は三笠山に比べると広く、視界も開けています。

 つつじ山の頂上にはベンチが設置されていて憩いの場となっていますが、大声で取引先と電話している中年男性がいたので、気分は台無し。そんな光景に行き当たるのも都市登山の醍醐味かも知れませんが……

 登山を終え、自宅に帰るべく霞ヶ関駅方面へと向かっているとふと気付きました。日比谷公園から国会議事堂(千代田区永田町)に向かう坂のほうが、今回登った山よりもよっぽど立派だということに……ということで、次は国会議事堂のある高地にアタックしてみようと思います。

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