人魚や小生意気そうな猿も。北斎らが描いた動物が集結する「北斎アニマルズ」開催中!

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人魚や小生意気そうな猿も。北斎らが描いた動物が集結する「北斎アニマルズ」開催中!

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動物についても多数の作品を残している葛飾北斎。企画展「北斎アニマルズ」では、ときに愛らしく、ときにその体温まで感じられるほどに緻密な、画技の数々を観察することができます。

北斎生誕の地 墨田で、多種多彩な動物たちに会える

 没後170年を迎える、墨田が生んだ画匠 葛飾北斎。浮世絵『冨嶽三十六景』などで知られ、国内外問わず、多くの人がその才覚に圧倒されてきました。ですが当人は晩年もなお、自らの絵をまだまだ未熟であると考えていたようで、80歳を過ぎたころに「実に猫1匹も描くことができない」と涙を流しながら、娘 お栄に語ったといわれます。

「北斎アニマルズ」のメインビジュアル(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)



 また、75歳のころに出版した絵手本『富嶽百景』初編のあとがきには、「70歳までに描いたものは取るに足らない。73歳でようやく動植物などの出生を悟った」「110歳を超えれば、一点一画が生きているようになるだろう」と、あくなき画道への意気込みを語っています。

 そんな北斎が描いた「動物」は一体どのような姿なのでしょうか。すみだ北斎美術館では企画展「北斎アニマルズ」を2019年4月7日(日)まで開催しており、北斎やその一門が描いた「生き物」たちを見ることができます。

小生意気な表情のテナガザルなど、愛嬌のある動物たちが集合

 展示は美術館の3階フロアで行われており、構成は大きく分けて3つ。「1章 生けるがごときアニマル」では、動きまで感じられるような作品を中心に展示しています。

 たとえば、桜をバックに羽を休める鷹の姿が描かれた作品「桜に鷹」や、『富嶽百景』二編のなかに描かれた野犬。眼の描き方に注目してみるとさらに面白さが深まります。

目の様子に注目してみると面白い(画像:葛飾北斎「桜に鷹」すみだ北斎美術館蔵(前期))

「2章 かわいらしいアニマル」では、北斎とその門人たちが描いた動物のなかから、特にかわいらしいものを抜粋。居眠りをしているかのような、頭巾をかぶったフクロウの絵(『北斎漫画』草筆之部)や、口をきゅっと結び、小生意気な表情でこちらを見ているテナガザル(『略画早指南』初編)など、ときに憎たらしくも、愛嬌のある姿が並びます。

居眠りをしているかのようなフクロウ。葛飾北斎『北斎漫画』草筆之部(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)
小生意気な表情でこちらを見ているテナガザル。葛飾北斎『略画早指南』初編(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)

 さらに、鮭の切り身をくわえた子犬が首を傾げる姿がなんとも愛らしい「三十六禽続 子犬」は、北斎の門人 魚屋北溪によるもの。今展では、北斎の門人の作品についても、特に面白いと思ったものを抜粋し、展示しているといいます。

首をかしげる姿がなんとも愛らしい(画像:魚屋北渓「三十六禽続 子犬」すみだ北斎美術館蔵)

「3章 絵ならではのアニマル」では、人魚や河童など、「絵」ならではともいえる動物が集合。すべて想像上の生き物でありながら、その表情やディテールなどは、まるでその生き物が存在しており、実物を観察して描いたかのように細やかです。

人魚が描かれている。葛飾北斎『椿説弓張月』残編 五 人魚(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)

 すみだ北斎美術館に所蔵されている北斎の作品は、浮世絵や本、すべて合わせて約1800点あるとのこと。そのなかから、今回のテーマに合わせ、動物の画を探し出したといいます。その多くは、浮世絵ではなく、本の中に描かれていたものだったため、今展では、ページを開いた状態の書物が多く展示されています。

動物占い®︎ともコラボ! 自分の「北斎アニマル」も探せる

 今展は、より多くの人に楽しんでもらうため、2000年前後に大ブームを巻き起こしたノラコムの「動物占い®︎」とコラボレーション。従来の動物占い®︎のキャラクター(12種類)を、北斎が描いた生き物に置き換え、その動物たちを一挙に見られるフォトスポットも用意しています。

自分の北斎アニマルを見つけてみるのも一興(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)

 さらに4階の常設展プラスでは、同館所蔵の版本『北斎漫画』レプリカや、貴重書の展示、「隅田川両岸景色図巻」の複製画の絵巻(全長7メートル)を見ることもできます。

「隅田川両岸景色図巻」の本物は、保存状態を守るため、展示時間に制限があるので、複製画がつくられているとのこと(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)

 そのほか、美術館から徒歩1分かからない距離にあるカフェ「ORI TOKYO」では、今展のメインビジュアルにも採用されている『三体画譜』狗猧(えのころ/子犬)をイメージしたデザートの販売も。

「ORI TOKYO」で限定販売されている「えのころチョコムース」税込980円。4月7日まで販売(画像:すみだ北斎美術館)

 濃厚かつ少しビターなチョコと、ふわっとクリーミーなチョコ、2つのチョコムースの間にとろりと溢れ出す甘酸っぱいストロベリージュレを詰め込んでいます。

 数多くの訪日外国人も訪れる街、両国。その歴史ある街を歩きながら、その街でかつて生きた画匠の描いたかわいらしい生き物たちを眺めてみるひとときを、休暇の選択肢に加えてみるのはいかがでしょうか。

すみだ北斎美術館の最寄りは両国駅。地域や世界へ北斎の情報を発信するため、2016年に開館した(2019年2月4日、高橋亜矢子撮影)

●すみだ北斎美術館「北斎アニマルズ」
・会期:2019年2月5日(火)〜4月7日(日)
・住所:東京都墨田区亀沢2-7-2 3階
・アクセス:都営地下鉄大江戸線「両国駅」出口から徒歩5分、JR総武線「両国駅」東口から徒歩9分
・入館料:一般 1000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下無料
・開館時間:9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで)
・休館日:毎週月曜日(月曜が祝日または振替休日の場合はその翌平日)、年末年始(2018年12月29日~2019年1月1日)
 
※4階にて、常設展プラス「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」(2月5日(火)〜6月9日(日)までの予定)が同時開催中。

※掲載情報は2019年2月時点での情報です。

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