マツコの発言で一躍有名に セレブが集う港区「天現寺」とはどのようなエリアなのか

タレントのマツコ・デラックスさんがセレブタウンとしてその名を出して注目が集まった港区・天現寺エリア。同エリアの歴史について、ライターの近藤ともさんが解説します。


近くにはアメリカ海軍管理のホテルも

 天現寺交差点に戻りましょう。

 慶応義塾幼稚舎のほかに目立つものは、はす向かいの東京都立広尾病院(渋谷区恵比寿)くらいでしょうか。広尾を背に目黒方面にしばらく進むとおしゃれ系の飲食店などがちらほらあり、威容をほこる大きな建物が目に入ってきます。ニュー山王ホテル(港区南麻布)です。

港区南麻布にあるニュー山王ホテル(画像:(C)Google)

 このホテルはアメリカ海軍が管理しており、アメリカ軍関係者が東京訪問時の宿泊施設として使われています。また、在日米軍勤務者の保養所、社交場として機能し、駐日アメリカ大使館関係者も利用していますが、一般の日本人は立ち入ることができません。

 天現寺を特殊な場所に見せている要素のひとつであるといえるのではないでしょうか。とはいえ、肉のハナマサも近くにあるのが天現寺のおもしろいところです。

由来となった「天現寺」はどこにある?

 天現寺という地名は現在は存在していません。

 このエリアのいまの地名は、港区南麻布あるいは渋谷区恵比寿がメイン。しかしよく見るとさらに複雑で、例えば慶応義塾幼稚舎は正門や本館は渋谷区恵比寿ですが、校内に区の境界があって、港区白金に属する場所もあります。

 ただ、名前の由来となった寺は現存しています。天現寺交差点の一角にある臨済宗の多聞山天現寺(港区南麻布)は1719(享保4)年、文京区小日向にあった寺が移転して現在の名前に改められました。本尊として毘沙門天(びしゃもんてん)の像が祭られていますが、決められた日にしか公開されない秘仏とされています。

 当時は田畑が広がるばかりだったこの地で、民間信仰を集めた天現寺には徳川吉宗以来、代々の将軍が訪れたと伝わっています。しかし、現在に至るまでには火災や戦災で燃えてしまうなどの苦難もありました。

 境内には松尾芭蕉の「一里は みな花守の 子孫かや」の句碑などがあり、愛好家が訪れることもありますが、付近は静かで、この地にしっかりと存在しつづけています。

 また明治の初めごろ、福澤諭吉は好んで天現寺かいわいを散歩し、「狸蕎麦(たぬきそば)」という店でそばを食べていたといいます。そうしているうちにこの風景を気に入り、土地を購入し、広尾別邸としたのが慶応義塾幼稚舎の端緒。

明治初期の天現寺周辺の様子(画像:国土地理院)

 その後、和田義郎という人物が慶応義塾の年少者を自宅に集めて塾を開いたものを前身に、変遷を経て現在の場所に置かれました。

 江戸時代の後期にはいくつか武家の下屋敷があったとされますが、明治にはまだ「広尾が原」と呼ばれるほどの田園地帯だったため、福澤諭吉にとっても広尾の別邸は名の通り「別荘」という扱いだったと考えられます。いまの都会的な雰囲気とはまるで違う場所だったのです。

川があり、橋のある場所


【地図】「天現寺エリア」を見る

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