2両編成の超ローカル線なのに「東急世田谷線」が全国区の人気を誇るワケ

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2両編成の超ローカル線なのに「東急世田谷線」が全国区の人気を誇るワケ

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世田谷区内をのんびりと走るローカル線・東急世田谷線。たった10駅のこの電車が、全国的にも人気だといいます。その理由は何でしょうか。トラベルライターのKonomiさんが沿線を歩きました。

全10駅ののんびり路線

 世田谷区の三軒茶屋駅と下高井戸駅(同区松原)を結ぶ世田谷線は、都電荒川線と合わせて東京都内に残っている貴重な路面電車。

 20分弱で住宅街の中をゆっくりと走る世田谷線は地域住民にとっての貴重な交通路ですが、最近では観光スポットとしても人気を集めています。

 東急世田谷線の魅力を知るときっとあなたも乗りたくなること間違いなし。今回は、超ローカル線の世田谷線が人気の理由を探ります。

ゆっくり走るミニ電車

 著名人も多く住むオシャレな街として知られている三軒茶屋。そんなところに路面電車が!? と驚く人も多いかもしれません。

 世田谷線はローカルなイメージが強いですが、三軒茶屋駅で東急田園都市線に、下高井戸駅で京王線に、山下駅で小田急線にと、複数の乗り換え駅を擁する便利な路線です。

東急世田谷線(画像:Konomi)



 世田谷線の三軒茶屋駅は、再開発で誕生した三軒茶屋のシンボル施設キャロットタワーの中にあります。駅の周辺は大型スーパーや複数の商店街、飲食店が集積しており、世田谷区でも賑やかなエリア。

 料金の支払いはバスと同じように車両に乗り込む時で、全区間150円(ICは147円)。時間帯によっては利用者が多く混雑しますが、本数が多いので、のんびり散歩を楽しむ日なら1本あえて見送って乗るのも良いかもしれません。

 住みたい街ランキング(関東版)で常に30位前後と高位置にランクインしている三軒茶屋ですが、懐かしい下町の風景が残る「三角地帯」があったり、最近ではオシャレなカフェも数多くオープンしていたりと、世田谷線の中でも今の東京らしさが味わえるスポットのひとつです。

穴場スポットが各駅に

 世田谷区という都会の真ん中に走る小さなローカル線は、全部で10駅。若者の街・三軒茶屋から乗ると、徐々に大人な街へとひと駅ごとに表情を変えていきます。

 乗車して5分ほど、3駅目に到着するのは、松陰神社前駅。

 松陰神社はあの有名な吉田松陰が祀(まつ)られている、学問と緑が深い神社で、駅から歩いて5分ほどのところにあります。吉田松陰をとむらう神社として、初代内閣総理大臣・伊藤博文らの尽力により1882(明治15)年に建設されました。

 境内には松陰が主宰した私塾「松下村塾」や松蔭の遺品類などを展示する「至誠館」、松蔭の歴史を綴る「歴史館」などがあります。

松陰神社(画像:Konomi)



 一歩足を踏み入れると落ち着いた雰囲気で静かな時間を味わえる、都会の隠れスポットのような神社。ここには「勝」「志」というご利益があり、夢の実現に向かってまい進する人、挫折しそうになっている人々を後押しするパワーが宿っていると言われています。

 駅周辺には「松陰神社通り商店街」が形成されていて、近年、オシャレなカフェやパン屋さんなどが続々とオープンしています。

個性的な古書店を発見

 この商店街は東京都の「ユニバーサルデザイン福祉まちづくり推進モデル事業」に選定されたことを受け、協議会と区が一体となって誰にでも優しく、ふれあいが生まれる商店街を目指しています。

 店舗出入り口のバリアフリーや道路上の看板・商品を自粛するなど通りも広く通行しやすくなっており、やさしい取り組みがうかがえます。さすが世田谷のまち、歴史の長さやおしゃれさだけではないのですね。

 さらに商店街を奥へ歩いて行くと、個性的な古書店「nostos books」を発見。

nostos books(画像:Konomi)



 こちらの古書店は、八百屋だった店をリノベーションして2013年8月に誕生したお店なんだとか。

 全面ガラス張りのオシャレな店内はグラフィックデザイン、タイポグラフィー、アート、写真集を中心にセレクトしていて、普段はなかなか出合えないような珍しい本も。「新しい過去を発見できる」がコンセプトのオシャレな古書店です。

(※新型コロナウイルス感染拡大により、2021年4月現在、土日の営業となっています。)

ずらりと並んだ招き猫

 住宅街の間を縫うようにゆっくりトコトコと走る世田谷線。

 沿線の中でも特に人気の観光スポットが、招き猫の発祥地ともされている「豪徳寺」がある宮の坂駅。豪徳寺以外にも、由緒ある神社「世田谷八幡宮」や歴史の深い「世田谷城跡公園」などもあります。

 宮の坂駅から歩いて5分ほどにある豪徳寺の境内には大小さまざまな招き猫たちがずらり。この光景をカメラに納めるべく遠方から沢山の人が訪れます。

 豪徳寺は彦根藩主・井伊家の江戸の菩提寺です。

豪徳寺の招き猫(画像:Konomi)



 お堂の横に隙間もないほどずらりと並ぶこの招き猫は、招福猫児の奉納所で願いが成就した後に返納するとさらにご利益があると言われています。

 猫たちは小判などの縁起物を持たずに、シンプルに手をあげているのが特徴的。ひしめき合ってる招き猫、何ともすごい迫力です。奉納猫は300円から購入できるそうです。

 このように世田谷沿線は、由緒あるお寺や神社などが複数あったり、都会を忘れてしまうような静かな時間が流れるスポット。それゆえ地元の人たちはもちろん、遠くからでも足を運びたくなる場所なのかもしれません。

コロナの収束後にぜひ

 ローカル線なのに東急世田谷線が人気な理由は、複数の乗り換え駅を持つ利便性や、運行本数も多い点、そして何より、各駅に歴史的な建物や神社などレトロな場所がいくつも点在していることが関係しているようです。

 地元に根ざした商店街は、地域とのきずなを存分に楽しめる街づくりになっています。ファミリー層はもちろん、都会のひとり暮らしでも周囲との交流を持ちたいと考える人にもおすすめです。

 2021年4月現在、新型コロナ禍で東京には「まん延防止等重点措置」が適用されていて、不要不急のお出かけはまた難しい状況。コロナが収束したら、ぜひ訪れてみたい場所です。

 1日観光を楽しみたい方は1日乗車券(330円)を購入するのもおすすめです。

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