マスクは付けても、ハンカチは持たない現代人に贈る私的な一提言
新型コロナウイルスによって、誰もが日常の必須アイテムと捉えるようになった「マスク」。一方、手洗いに欠かせない「ハンカチ」はどのように捉えられているのでしょうか。すっかり日常アイテム化したマスク 新型コロナウイルスの感染拡大は収束に向かいつつある2020年6月、それでもマスクを付けている人が東京の街ではほとんどです。 渋谷駅前のスクランブル交差点。マスクを付けている人は全体の9割以上だった(2020年6月12日、遠藤綾乃撮影) 政府が5月に示した「新しい生活様式」でマスクの着用ことが推奨されていることも大きく影響しているのでしょう。 一方、衛生管理面で同じように大切といわれる「ハンカチ」を所持している人は、一体どのくらいいるのでしょうか。 額をつたう汗、ハンカチではなく手で 2020年6月12日(金)正午の渋谷スクランブル交差点。 3~5月の外出自粛期間と比べればかなりの人出が戻ってきたこの場所で、まずはマスクをしている人の割合をカウントしてみました。 渋谷駅側からTSUTAYA方向へと直進して渡る歩行者を対象に、歩行者用信号が「青」になる10回分の間で数えたところ、マスクを付けていたのは574人中529人。割合は実に92.2%に上ります。 情報サイト「NIKKEI STYLE」は、ビジネスシーンにおいてもマスクが「常用アイテムとなった」と指摘していて(6月2日配信)、マスクは今後も欠かせないものとして日常生活に定着していきそうです。 ウィズコロナ時代でも、いまいち存在感が薄いハンカチ(画像:写真AC) 東京も前日11日に迎えた梅雨入りと、その後訪れる真夏を控える今、各メディアが「マスクを着用しつつ熱中症にならないために必要なこと」をこぞって紹介しているのも、マスクが引き続き常用アイテムとなることの傍証と言えるでしょう。 ちなみに街頭調査をした12日、東京の最高気温は31度、湿度は64%。うだるような蒸し暑さの中、行き交う人には額や頬の汗をぬぐう姿が見られました。ある人はハンカチで、またある人は自分自身の手のひらで――。 そのハンカチの所持率についてです。 言わずもがなハンカチは、外出先でトイレなどに立ち寄ったとき必ず必要になるアイテム。これほどマスクが定着するはるか以前から日常に欠かせないものとされてきました。 新型コロナに関して言えば、医療の専門家らが「ぬれたままの手指には微生物が付着しやすい」と指摘していて、自粛明けの外出時にも当然、持っていた方が良いもの。 しかし、その所持率は決して高くないのが実情のようです。 自分の髪の毛や服で手をふくことも自分の髪の毛や服で手をふくことも 人気の深夜バラエティー番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)が2020年3月16日(月)に放送した「若者の○〇離れ」という企画では、30代以下が外出時にハンカチを持ち歩いている割合を「48%」と紹介。若者の“ハンカチ離れ”を印象付けました。 渋谷の街頭調査で声を掛けた渋谷の20~30代女性たちも、 「スマホを家に忘れる確率ってほぼ0%ですけど、ハンカチをつい忘れることはよくありますね」(27歳・主婦) 「公共のトイレには(温風で手を乾かす)ハンドドライヤーがあるので、ハンカチを忘れてしまってもそんなに困らないですよ」(32歳・会社員) 「(出先の)トイレで、ハンカチを使わずに自分の髪の毛や洋服で手をふいている人、けっこう見掛けます」(25歳・看護師) いわゆるウィズコロナの時代が訪れてもなお、ハンカチ実用者は決して多くないままのようです。 渋谷の街を歩く女性たち(2020年6月12日、遠藤綾乃撮影) 厚生労働省のサイトに掲載されている「新しい生活様式」の実践例では、先述のマスク着用のほか「手洗いは30秒程度かけて、水と石けんで丁寧に洗う」などが挙げられていますが、ハンカチへの言及は見当たらず。 同案を策定したであろう上の世代にとって、ハンカチを持つことは当然の身だしなみに過ぎて、言及するまでもなかったということなのかもしれません。 新たなコーディネートアイテムとして新たなコーディネートアイテムとして“ハンカチ離れ”をする若者たちに、ハンカチを手に取ってもらうにはどうしたらよいのか? 「例えばバッグやカードケース、今人気のミニ財布と同じように、かわいくておしゃれなファッションアイテムのひとつと捉え直してもらうことが有効なのではないでしょうか」。そう話すのは、ファッション雑貨などのセレクトショップを運営するヌーヴ・エイの古木あゆみさん。 若者のおしゃれスポット渋谷パルコ(渋谷区宇田川町)4階で、ハンカチの特設店を2020年6月21日(日)まで展開中。約100点のハンカチを取り扱っています。お値段は1200円(税抜き)から。 色とりどりのハンカチが並ぶ、渋谷パルコ内の売り場(2020年6月12日、遠藤綾乃撮影)「最近の若い女性たちは、良いと思ったものはファストファッションでもハイブランドでも上手に取り入れて、ほかの人とは違う自分らしさを表現したいと考える傾向が強いようです。ハンカチって、想像以上にデザインの幅が広いですし、バッグからちょっと取り出したときのアクセントにもなるアイテムだと思うのです」(古木さん) シャツやブラウス、スカートなどには派手なデザインの色のものを選ぶのを避けがちという人でも、ハンカチなら華やかなものを手に取りやすく、気軽な差し色としても楽しめそうです。 例えば柄に用いられている花の品種、それから全体の色使い、また材質などで季節によって使うものを選び分ける――というと、まるでお着物のようですが、それを1枚1000円ほどの予算で堪能できるハンカチは、気軽なコーディネートアイテムのひとつになりうるのではないでしょうか。 ハンカチは常に清潔な状態で持ち歩いてハンカチは常に清潔な状態で持ち歩いて ウィズコロナ時代、衛生管理のために義務感から持ち歩くだけではない、「おしゃれを表現するキーアイテム」としての地位をハンカチが確立できれば、一石二鳥と言えそうです。 ちなみに医療専門家の指摘によると、ハンカチは1日に何度か使う場面があるため、ハンカチ自体に微生物が付着してしまっては、せっかく洗った手に再び微生物を付けてしまって逆効果になる恐れもあるのだとか。 こんな時代だからこそハンカチは、かわいいものを、常に清潔な状態で持ち歩きたいものです。
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