暗くて、狭くて、天井が低い「ガード下」巡りに僕がハマった理由

  • おでかけ
暗くて、狭くて、天井が低い「ガード下」巡りに僕がハマった理由

\ この記事を書いた人 /

下関マグロのプロフィール画像

下関マグロ

サンポマスター、食べ歩き評論家

ライターページへ

ガード下と聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。薄暗くて狭い、ちょっと近寄りがたい……? それでもなぜかガード下に引かれてしまう、という人は少なくないようです。自身もガード下散歩が好きというサンポマスターの下関マグロさんが、あらためてその魅力に迫ります。

初ガードは神田駅、その次は新橋駅

 どうも、サンポマスターの下関マグロです。

 僕が上京したのは1980年代の半ばなのですが、最初に歩いたガード下はJR神田駅(千代田区鍛冶町)でした。

 神田の「古書店街」というのが神田駅から近いのかと行ってみたのですが、けっこう迷いました。あとでわかるのですが、神田の古書店街は同じ千代田区だけど神保町のことで、神田駅からはずいぶん離れていたのです。

 神田駅のガード下を歩きながら、ずいぶん長いガード下だなと思いました。ガード下は反対側にもあって、全部歩くにはかなり時間がかかりました。

 ガード下というものに興味を持つきっかけになった体験です。

せっかくだからお店にも入ってみる

 次にガード下を歩いたのは、新橋駅(港区新橋)です。

 駆け出しのライターだったころ、週に一度は新橋駅近くにある出版社に通っていました。このとき、ガード下の書店や立ち食いそば屋などにもよく行きました。

 ガード下には理髪店があって、一度だけ利用したことを思い出しました。店は変わっても、区画の形や広さなどは変わりないのがいいですね。

それぞれのガード下には名前がある

 何度か新橋のガード下を歩くうちに、それがひとつ隣の有楽町駅(千代田区有楽町)まで続いていることを知りました。

 まだ東京の地理がよく知らなかったので、このガード下沿いを歩けば道に迷うことはないなと気づき、よく歩いていました。

 有楽町まで行けば、その先はどうなっているのかと東京駅、神田駅まで歩いてみました。当時住んでいたのは杉並区の荻窪だったので、神田駅からJR中央線に乗って帰ることもありました。

 その後も断片的にガード下を歩きましたが、本格的に歩いたのは2005(平成17)年に散歩の記事を書き始めてからです。

 それまで気がつきませんでしたが、ガード下にはどれも名前が付いているのです。

駅や線路があるところに、ガード下あり。ちょっと暗くて狭いこの場所になぜか引かれてしまう理由は?(画像:下関マグロ)



 そして多くの場合、ガード下には「車が衝突したのを見た人は連絡するように」という注意書きとJRの電話番号が書かれています。

 散歩記事を書くために山手線の外回りと内回りを歩いたときは、すべてのガード下を見て歩きました。

 山手線のガード下もそれぞれのエリアによって、個性があります。やはり好きなのは以前もよく歩いていた新橋駅から有楽町駅に向かうガード下です。今はおしゃれになった部分もありますが、相変わらず昔と同じ店があるガード下もあります。

高いガード下も低いガード下もある

 例えば、「有楽コンコース」という歩行者専用のガード下は、なんとも昭和なムードのたたずまいです。屋根がアーチ型なのがガード下ならではで、またいいですね。

 有楽町駅から東京駅(千代田区丸の内)へ向かってみましょう。

 東京駅もきれいになって、有楽町駅から続くガード下はいったんここで切れます。高架下にも多くの路線が走っていますが、特に新幹線は高い位置を走り、ガード下という印象はあまり受けないかもしれません。

有楽コンコースを外側から内側を見たところ(画像:下関マグロ)



 東京駅から神田駅に向かうガード下は、高い所を新幹線が通っているので、遠目にはガード下に見えませんが、下のお店などは昔通りの風景になっています。

「タクシー泣かせ」の有名ガード下

 新駅ができたことで、なくなってしまったガード下もあります。それがJR高輪ゲートウェイ駅(港区港南)近くにあった「高輪橋架道橋」です。

高輪ゲートウェイ駅ができて、廃止された高輪橋架道橋(画像:下関マグロ)

 ここはお店や商店街が連なるガード下ではなく、まさに高架下そのもの。しかも別名「提灯(ちょうちん)飛ばしのガード」と呼ばれるほど、天井が低く、高さ制限はなんと1.5m。

 タクシーの車体上部に乗っている提灯が飛ばされるほど低い、というものです。

 高輪橋架道橋は事故も多いようで、僕も一度、車の屋根が当たってしまって通行できない車を目撃したことがあります。ここは歩行者も歩けるのですが、本当に天井が低くて170cmの身長の僕でもけっこう頭が当たりそうになってしまいました。

東京は至るところにガード下がある

 同じく、低くてキュートといえば、JR駒込駅ですね。

2.3mという高さ表示の駒込駅のガード下(画像:下関マグロ)



 駒込駅のガード下は両側に商店街が広がっていて、散歩するのも楽しい街ですね。

 ガード下そのものが商店街になっているのが台東区にあるアメヤ横丁、通称アメ横ですね。

 言わずと知れた有名な商店街です。上野駅(同区上野)と御徒町駅(同)の間のガード下が、ずっと商店街になっています。

なぜ人はガード下に引かれるのか?

 新宿駅西口の「思い出横丁」(新宿区西新宿)も飲食店が軒を連ねています。

 これら、ガード下にある飲食店の共通した特徴は、気取らず、値段が安いことです。

 そして、なんといっても僕がハマった最大の理由は「アクセスの良さ」です。

新宿駅西口の「思い出横丁」(画像:下関マグロ)

 ガード下の上は電車が走っているわけですね。

 例えば、山手線に乗っていて、ちょっとだけ歩こうかなと思ったとき、途中下車をしてガード下を歩きます。途中でランチをして再び歩けば、歩いた先も駅です。そこからまた電車に乗って、次の目的地まで行けるわけです。

 わざわざどこかへ散歩に出掛けなくても、電車を降りればすぐにガード下です。ガード下は僕らを誘っているのです。

 皆さんも途中下車して、ガード下をひと駅だけ歩いてみませんか?

関連記事