半年の試行錯誤で今や大人気に! 渋谷発のりんご飴専門店、飴と原料の相性にかけた「甘くない」日々とは
2019年6月に日曜限定で渋谷にオープンした、りんご飴専門店「Candy apple」が人気と話題を集めています。その2号店が、自由が丘で毎月1週間限定の営業を開始。人気沸騰の秘訣を探りに、自由が丘店を訪れてみました。「りんご飴はもっと売れる」 渋谷にりんご飴専門店「Candy apple」(渋谷区桜丘町)が2019年6月30日(日)に日曜限定営業でオープンしました。イタリア料理店「Buonappetito(ボナペティート)」(同)のシェフが作る、本格スイーツのりんご飴は初日から待ち時間が発生。たちまち人気となりました。 7月17日(水)には、2号店となるテイクアウト専門の自由が丘店(目黒区自由が丘)が開業。こちらは、毎月「指定の1週間」限定の販売です。その人気の味を知るべく、同店を訪れました。 「Candy apple」のりんご飴。1個600円(画像:Candy apple) りんご飴と聞くと、多くの人は縁日の屋台を思い出すことでしょう。見た目も、棒に刺さって並んでる様子も可愛らしいりんご飴。その一方で、「外側の飴の部分がベタベタして食べにくい」「りんご自体があまりおいしくない」といった残念なイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。 記者も「残念派」のひとりでしたが、Candy appleのりんご飴(プレーン)を食べてみると、縁日のものとは別物で感激しました。包丁でカットして食べるのですが、冷蔵保存しているので、飴の部分がひんやりとしていて気持ち良く、パリパリッと割れていくのが小気味よい新食感。 さらに、りんごの歯ごたえもシャキシャキとし、甘くてとてもおいしいのです。飴の分量もりんごに対してほどよく、食感の違いや甘味と酸味のコントラストも楽しめます。 「この味わいに辿りつくまで、試行錯誤を半年間繰り返していました」とCandy apple代表の西野好砂(みさ)さんは、当時を振り返ります。 もともと、西野さんがりんご飴の販売に思い至ったのは、「Buonappetito」のシェフから、「イタリアでも市場でりんご飴がよく売られているが、日本の縁日と同様にりんごはさほどおいしくない」と聞いたことからだったそうです。 りんごがおいしくなくても人気なのだから、おいしければさらに多くの人たちが食べるのではないか。そこにフレーバーをつけたら、面白いものができるのではないか。そう考え、「Buonappetito」のシェフを監修に据え、開発に乗り出しました。 りんごの種類から食感まで、すべて「相性」の計算づくしりんごの種類から食感まで、すべて「相性」の計算づくし まず、どのりんごがりんご飴に向いているかを調べるために、青森や信州など名産地からさまざまな種類を取り寄せて試食。りんごだけで食べるとどれも美味なるものの、りんご飴にしてフレーバーをつけると、おいしいものとそうでなくなるものがハッキリと分かれたそうです。かなりの数を試した結果、青森県北部産の「ふじ」に決まりました。 カットした、プレーンのりんご飴(画像:Candy apple)「そのほかにも、いくつもの試行錯誤がありました」と西野さんは話します。そのひとつがサイズです。りんごが大きすぎると、薄づきの飴の存在感が乏しくなり、りんごを食べているかのような味になってしまい、逆にりんごが小さいと飴が主張しすぎてしまうことに。最終的にたどり着いたのが「56玉」というサイズ。市販されているりんごよりも小さなものでした。 「さらに、りんご飴の味わいの決め手となる、ベストな飴の厚みを生み出すのも難しかったです」(西野さん) りんごをコーティングする飴の部分に追求したのは、薄づきの「パリパリッ」とした軽やかな新食感。ベタつかないこともキーポイントでした。それには、飴を作る時の「温度」と「湿度」が大きく関わりました。 グラニュー糖を煮詰めて飴にするときの温度が低いと、食べた時に飴が歯にくっついてしまい、高いとべっこう飴のような風味になってしまいます。理想の厚みと食感を生み出す最適な温度がどこにあるのか、シェフとともに研究と試作を重ねる日々。 さらには、「湿度」も曲者でした。湿度が高い時は、飴が時間の経過とともにベタベタして劣化が早まってしまうという問題が発生。鍋によっても飴の仕上がり具合が異なり、「理想とするりんご飴作りが、こんなにも難しく大変なものとは思いもしませんでした」と西野さんは苦笑い。しかし、こだわり抜いた「相性の計算」が、新食感とりんごそのもののおいしさを味わえるりんご飴を完成させたのです。 りんごは前日に送られてきたものを、販売当日の朝にりんご飴にする「出来立て」にもこだわっています。自由が丘店は1週間の営業なので、業者が休みの日を除いて、毎日りんごが届くそうです。まとめて送ってもらえば送料も安くなりますが、「鮮度も譲れないポイントなので」と言い切ります。 りんご飴を最もおいしく食べる方法とはりんご飴を最もおいしく食べる方法とは 自由が丘店では、「プレーン」「シナモンシュガー」「ブラックココア」の3種類のフレーバーを販売しています。渋谷店ではこれらに加え、「抹茶」「ブラックココア」「ヨーグルト」「チョコレートフォンデュセット(店内飲食限定)」があります。渋谷店は店内で食べることも、テイクアウトもできます。自由が丘店はテイクアウトのみですが、すぐに食べたい人には、カットしたものを容器に入れて提供しています。 渋谷店でのりんご飴提供イメージ(画像:Candy apple) りんご飴は賞味期限を購入の翌日としていますが、購入したその日のうちに食べるのがベストとのこと。また、持ち帰りの場合は冷蔵庫で1〜2時間ほど冷やして食べるのがオススメだそうです。冷やしすぎや、冷やした後に常温に戻し、再度冷やすのも味の劣化を促すのでNG。 西野さん曰く、持ち帰って冷蔵庫で冷やして食べても十分に楽しめますが、最もおいしいのは、「渋谷店の店内で食べる」「テイクアウトの際に食べ歩き用の容器に入れてもらい、購入後すぐに食べる」ことだそうです。 夏場の温度や湿度が高い時に持ち歩きの時間が長いと、飴が溶ける可能性があるので注意が必要としています。記者も、購入してからなるべく早い段階で食べるのがそのおいしさを最大限に味わえると感じました。ちなみに、りんご飴と相性のいい飲み物は、紅茶だそうです。ぜひ、マリアージュも試してみてください。 ●Candy apple 渋谷店 ・住所:東京都渋谷区桜丘町7-12 野村ビル1F(イタリア料理「Buonappetito」) ・営業日:日曜(自由が丘店の営業中は除く) ・営業時間:11:00~20:00 ・アクセス:各線「渋谷駅」から徒歩約6分 ●Candy apple 自由が丘店 ・住所:東京都目黒区自由が丘2-10-6 ・営業日(スマートフォン):8月28日(水)〜9月3日(火)、10月10日(木)〜15日(火)、11月20日(水)〜26日(火)、12月18日(水)〜24日(火) ・営業時間:11:00~20:00 ・アクセス:各線「自由が丘駅」中央改札口から徒歩約3分
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