もはやスイーツ、「焼き芋フェス」も盛況! 東京の焼き芋ブームの最前線に迫る

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もはやスイーツ、「焼き芋フェス」も盛況! 東京の焼き芋ブームの最前線に迫る

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 皆さんは「焼き芋」と聞いて、どのようなイメージをするでしょうか。移動販売?「い~しや~きいも~」のメロディ?ほくほくした食感? いやいや現在の石焼き芋はとても進化して、女性を中心に人気を集めているのです。いったいどのような商品があるのでしょうか。

焼き芋も「インスタ映え」 味もほくほく系からねっとり・しっとり系へ

「果物みたいに甘いし、とろとろした食感もいい感じ。これは全然アリだね~」

 10月中旬の平日、埼玉県から世田谷区豪徳寺の「焼き芋専門店ふじ」を訪れた10代の女子専門学生3人は、買ったばかりの「ハロウィンスイート」(500円)を店前でほお張りながら、思わず声を上げました。従来のイメージをくつがえすような、ほんのりカボチャ風味のする焼き芋は同店で大人気。同店の存在はツイッターで知ったといいます。

「ハロウィンスイート」を食べる女子専門学生(2018年10月16日、國吉真樹撮影)



種類の豊富な焼き芋を提供し、女性に人気の「焼き芋専門店ふじ」(2018年10月16日、國吉真樹撮影)

 2013(平成25)年9月にオープンした同店。焼き芋シーズンの秋から冬にかけて約8種類の商品が店先に並びます。定番の安納芋(あんのういも)やさっぱりとした甘さの「パープルスイートロード」など。週末には1日に約400人が訪れ、行列ができるほどの人気。その8割は女性だといいます。

「学生さんからおばあちゃんまで年齢層は幅広いですね。大阪や九州から来るお客さんもいます。皆さんからは『焼き芋の種類がこんなにあるなんて知らなかった』という声をよく聞きますね。うちの焼き芋の断面はカラフルだから、インスタ映えするらしくて、お店の前で写真を撮る女性も多いですよ」(店主の上原浩史さん)

「焼き芋専門店ふじ」で販売している焼き芋。手前から時計回りに安納芋、パープルスイートロード、ハロウィンスイート(2018年10月16日、國吉真樹撮影)
笑顔で焼き芋を販売する、店長の上原さん(2018年10月16日、國吉真樹撮影)

 店の近所に住んでいるという30代の主婦は「焼き芋は手ごろでおいしい。うちの子どもも大好きなんです」と目を細め、40代の女性会社員は「ここで買った焼き芋は食感も甘さも全然違いますね」と話していました。

200年で4回のブーム、自動焼き芋機の登場で大きく飛躍

 1605(慶長10)年に現在の沖縄県へ伝来したサツマイモが江戸で焼き芋として食べられるようになったのは、文化文政時代の1800年ごろです。いも類の消費拡大などの事業を行ういも類振興会(港区赤坂)によると、現在までの約200年のあいだに計4回のブームがあったとのこと。

「2003(平成15)年から現在までが第4次ブーム。現在も進行中なんですよ」(いも類振興会)

いも類振興会内に置かれた日本いも類研究会が2015年1月に出版した「焼きいもが、好き!」。焼き芋の食べ方や歴史などが書かれている(画像:農山漁村文化協会)



 同会によると、ブームの背景には「自動焼き芋機が開発された」「販売方式が移動販売から店舗販売へ変化した」「さまざまな品種のサツマイモが育成された」「年間を通した供給体制が確立された」「消費者の健康志向が高まった」といった変化があるといいます。

「現在、コンビニやスーパーなどに置かれている自動焼き芋機が普及し始めたのが2003年。新品種で、ねっとりした食感の安納芋が同時期に登場しました。

 それまで焼き芋といえば『紅あずま』などのほくほくした食感のものが主流でしたが、安納芋の登場でねっとりした食感ものの人気が上がったのです。2007(平成19)年にはねっとりした食感で甘みの強い『紅はるか』が登場し、安納芋と同じように人気品種となりました。そのほかにも、しっとりとした食感の『シルクスイート』もあり、近年人気の品種となっています」(同会)

 現在流通しているサツマイモの食感は、ほくほく系・ねっとり系・しっとり系に分けられ、品種の甘味が増したこともあり、「健康的なスイーツ感覚」(同会)で食べられるようになったといいます。

ねっとり系は「胸焼けしにくい」

 また、焼き芋は栄養面でも魅力的です。

「焼き芋の元となるサツマイモはエネルギーの元となる糖質、美肌に良いビタミン類、生活習慣病に効果的なカロテン、抗酸化作用が強いポリフェノール、便秘改善効果があるヤラピンが豊富で、『準完全栄養食品』と呼ばれており、米国のNASA(アメリカ航空宇宙局)も宇宙食に採用しているほどです」(同会)

 しかしインターネット上には、焼き芋を食べると胸焼けするとの声も。

「胸焼けの原因はでんぷんの含有量によるものです。その点、ねっとり系やしっとり系はでんぷんの割合が少ないため、胸焼けしにくいんですよ」(同会)

 焼き芋は近年、その食べ方も進化しており、冷凍した焼き芋を解凍して、アイスのように食べる「冷凍焼き芋」や冷やし焼き芋なども登場しています。

ローソンストアは自社専用農場の芋を使用

 100円の商品を中心とする品揃えで、都内に約280店舗を展開するローソンストア100(品川区大崎)では、10年以上前から全店のレジ前で焼き芋を販売しています。

「当社はもともと生鮮食品(肉・魚・野菜)に強く、良質なサツマイモを大量に仕入れるルートを持っていたため、焼きたて熱々の焼き芋という付加価値をつけた商品にして販売したところ、大変好評だったことから販売を続けています。店舗ごとの判断で、夏は販売していないところがほとんどですが、9月中旬頃にはほぼ全店で販売をしています」(ローソンストア100)

ローソンストア100で販売している焼き芋(画像:ローソンストア100)

 同店では、ローソングループの専用農場「ローソンファーム千葉」などで収穫された紅あずまや紅はるかの焼き芋を中心に扱っており、1本100円(税抜)で販売しているほか、2013年からは種子島産「安納芋」を1本200円(税抜)の販売もスタートさせました。都内の店舗では、1日平均20本程度が売れているとのことです。

「若い女性がヘルシーなおやつとして購入されています。『価格が手ごろで嬉しい』『お店に入るとやきいもの香りがしてついつい買ってしまう』『昔ながらのホクホクのやきいもが好き』などのお声をいただいています」(同社)

店頭の焼き芋販売コーナー(画像:ドンキホーテホールディングス)

 小売り大手のドン・キホーテでは2009年から焼き芋を販売開始し、現在は都内約20店舗で通年販売を行っています。使用する品種の9割は「紅はるか」で、価格は138円(税別)です。

「tapi-mo」の外観(画像:ドンキホーテホールディングス)

 また同社は2018年9月21日(金)、ドン・キホーテ新大久保駅前店(新宿区百人町)の店内に、焼き芋とタピオカなどを使ったスイーツを提供するフードコーナー「tapi-mo(タピモ)」を展開。焼き芋ブームの新たな需要の掘り起こしを狙っています。

2018年の焼き芋フェスは「塩スイーツ」提案も

 焼き芋の盛り上がりは店舗だけではありません。JR品川駅港南口から徒歩6分の複合施設「品川シーズンテラス」(港区港南)では2017年1月から毎年、全国の焼きいも専門店などが集まる「品川やきいもテラス」が開催されており、来場者も年々増えているといいます。

2018年1月に開催された「品川やきいもテラス」の様子(画像:タノシナル)



「2017年は3万人、2018年は4万3000人の方にお越しいただきました。3回目となる2019年は5万人を見込んでいます」(イベントを運営するタノシナル)

2018年1月に開催された「品川やきいもテラス」の様子(画像:タノシナル)

 9店から出発した店舗数は今回、15店まで増えました。来場者の約8割は20代から30代の女性です。

「提供する焼き芋も年々高級化、多様化しています。2019年はフランス産の岩塩を使って食べる『塩スイーツ』の提案や、上からまぶした砂糖をバーナーであぶったブリュレタイプの焼き芋など、未来系の焼き芋を提供していきます。焼き芋は今後、スイーツの1ジャンルとして認識されていくのでしょう」(同社)

 多様な味わいやアレンジが登場し、旧来のイメージを超えてスイーツとして愛されつつある焼き芋。今後の進化にも期待が寄せられます。

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