時代は池袋より「沼袋」? 人情商店街を次々発見、都営バス「池65」で行く中野区散歩

池袋からバスに乗り、終点から下町商店街を歩いて中野に至るルートの魅力について、まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。


都営バスで池袋から江古田二丁目へ

 寒くなり、1年の中でも日照時間が最も短いこの時期。散歩は行きたいけれど、長距離はなかなか歩けない人も多いと思います。そんな人にお勧めできる、短時間で歩くことができ、しかもあまり訪れることのない「東京」の姿を見られるコースを今回は紹介します。

 今回の起点は池袋。まずは西武百貨店の向かいから出る都営バスの「池65」系統に乗りましょう。行き先は「江古田二丁目行き」か「練馬車庫行き」。「江古田二丁目」という行き先だけだと、どこへ行くのかわからずわくわくするのではないかと思います。

池袋東口付近の都営バス。写真はイメージ(画像:写真AC)



 バスは明治通りを南下し、東京メトロ雑司ヶ谷駅近くの千登世橋から目白通りへ。目白駅前を通り、西へ向かいます。はじめは都心らしいビル街ですが、段々ビルが低くなり、密度の高い住宅地になり、住宅地の密度も少しずつ低くなっていくという様子が車窓から楽しめます。時間短縮のために目白駅から同じく「池65」系統に乗っても構いません。

都営バスで池袋から江古田二丁目へ

 バスは豊島区と新宿区のちょうど境界を走って行き、新青梅街道に入った後に哲学堂公園(中野区松が丘)付近から中野区へと入ります。そしてバスは新青梅街道の途中で唐突に終点・江古田二丁目となります(「練馬車庫行き」は新青梅街道を外れて、練馬車庫方面へ向かいます)。明らかに住宅地の真ん中。見渡しても駅がある様子もなく……。ちょっとバス停近くの横道の先に都営バスの折り返し場所があるだけです。

 なぜこんなところへ来たかというと、実は西武新宿線の沼袋駅へつながる商店街が近くにあるからなのです。江古田二丁目バス停から新青梅街道を西へ5分ほど歩くと「沼袋」交差点があります。ここから南へ延びるのが沼袋駅へ向かう商店街です。「『池袋』があるのだから『沼袋』もあるのだろう」と一度でも思った人は少なくないと思いますが、実はこうしてバス1本で来ることができるです。

安くて都心に近い沼袋

 沼袋駅へ向かう商店街はアーケードこそありませんが、地元の人がいかにも普段使いで使うようなお店がたくさんあり、「生活の気配」がひしひしと漂ってきます。また、多くの人も歩いていますし、狭い道を大きなバスがゆっくり走ってくる様子も見られます。沼袋は場所としては「山の手」ではありますが、「下町」のような人と人とのふれあいがたくさんありそうに見えます。

沼袋駅へ向かう商店街(画像:(C)Google)



 実は沼袋を含め、西武新宿線の中野区内や杉並区内にある駅は駅前に商店街が発達し、なおかつ道が狭い、「下町感」のあるまちが多いのです。住むにしても安い物件が多く、知り合いに「安くて都心に近いところに住みたいのだけど……」と相談されると大体このあたりをおすすめしています。

 沼袋駅近くには地元の人が買い物するお店だけではなく駅の北側の路地に飲み屋が何軒もあり、なかなか攻めがいがあります。せっかくだから、新しいところに住んで地元でいろいろ遊んでみたいという人にはおすすめです。

 確かに西武新宿線の利用となると西武新宿駅はJRの新宿駅からは遠いですし、高田馬場駅は大きなターミナルと言うよりも学生街ではあります。しかしながら、高田馬場駅で東京メトロ東西線に乗り換えれば飯田橋や大手町、日本橋まではすぐ。西武新宿駅も歌舞伎町が近く、さらに新宿三丁目駅であれば地下街がつながっているので、意外と快適に歩けるのはいいところです。

真言密教の修行の場だった「新井薬師」

 今度は沼袋から南へ行ってみます。まず妙正寺川を渡ると道が広くなり、右手には平和の森公園があります。坂を上がっていくと信号があり、左斜め前に延びる道があるので、そちらへ歩いて5分ほどで「新井五叉路」という交差点に着きます。この交差点を渡って左に曲がり、1本目の路地に入って少し進むと左手にあるのが、新井薬師こと「新井山梅照院」(中野区新井)です。沼袋駅からは10分ほどと近い場所にあります。

新井山梅照院の入口の様子(画像:写真AC)



 この新井山梅照院は元々真言密教の修行の場として草庵が鎌倉時代に建てられたのをはじまりとしています。しかし段々と廃寺同然まで荒れていきました。

 言い伝えによれば、本能寺の変があった後の天正10年代、庭にある梅の古木が夜ごとに光るという不思議な現象が起きていました。そこで天正14(1586)年に中を調べたところ、薬師如来が現れたといいます。そこで薬師堂を建立したのが寺の歴史の本格的なはじまりといい、江戸時代になると「目の薬師」「子育て薬師」として信仰を集め、現在に至ります。決して大きなお寺ではないですが、どことなくほっとする場所です。

 本堂から正面に延びる参道を歩くと、また五叉路があります。この「新井1丁目」交差点からは北東から南西に商店街が延び、新井薬師から見ると左側、北東に行けば西武新宿線の新井薬師前駅に行くことができます。

南下すると早稲田通りはすぐそこ

 また逆に右側、南西には「薬師」と大きな文字が掲げられたゲートがあり、商店街「薬師あいロード」となります。少し進んだところにある酒屋さんのある交差点を中心に十字に延びている商店街で、歩き回ると素敵な雑貨屋さんやジャズの流れるカフェなど素敵なお店がたくさんあります。

商店街「薬師あいろーど」の様子(画像:(C)Google)

「薬師あいろーど」を南へ抜けると、早稲田通りが通っています。この早稲田通りがいわゆる「中野」として認識されているエリアの北端にあたり、サブカルチャーの聖地として有名な「中野ブロードウェイ」もすぐそこです。先ほど通った「薬師あいろーど」は実は中野に隣接したエリアだったので、沼袋のような生活で使うような商店街でもありながらも、おしゃれなお店も出てきていたのです。

池袋や新宿で用事を済ませた後にぴったり

 中野は多くの人がご存じの通り、駅北側にはコンサートをはじめとしたイベントが多数開かれる中野サンプラザがあり、中野ブロードウェイ近くの狭い路地裏にいろいろなお店があり、さらに西側には「中野四季の森公園」を中心とした中野セントラルパークがありと多様性に満ちたまちです。ぜひカフェ、居酒屋、公園、本屋、マニアックなショップと好きなところで今回のまちあるきを締めくくっていただければと思います。

サブカルチャーの聖地「中野ブロードウェイ」(画像:写真AC)



 池袋からバスに乗り、終点から下町のような商店街や住宅地を歩いて中野に至るこのルート。歩いてみると約3km、1時間から2時間ほどで気軽に歩けてしまいます。そしてなかなか知る機会はないけれど住まいを考えるにも魅力的なエリアではないかと思います。少し歩きたいなという日や池袋や新宿で用事は済ませたけれど物足りないなという日、ぜひそんな日に歩いてみてください。


【バス路線図】都営バス「池65系統」のルートを見る

画像ギャラリー

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