2年半で130万人集めた六本木の「スヌーピーミュージアム」が自然あふれる南町田にお引越ししたワケ

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2年半で130万人集めた六本木の「スヌーピーミュージアム」が自然あふれる南町田にお引越ししたワケ

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アーバンライフ東京編集部

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2019年12月14日(土)、「スヌーピーミュージアム」が南町田グランベリーパークの隣接地にオープンします。18年9月までは六本木にあった、世界初のスヌーピー美術館の分館。それが南町田にできるって、一体どういうことなのでしょう。

神奈川出身者が思う「南町田」の辺鄙さ

 世界的人気キャラクター、スヌーピーの魅力が詰まった展示施設「スヌーピーミュージアム」(町田市鶴間)が2019年12月14日(土)、東急田園都市線・南町田グランベリーパーク駅から徒歩4分のところにオープンします。

 この「スヌーピーミュージアム」、もとは2016年4月に六本木で開館したもの。スヌーピーファンの「聖地」として知られる米国カリフォルニア州・サンタローザの「シュルツ美術館」世界初の公式分館として、国内外から数多くのファンが訪れました。

 しかし、当初から2年半という期限付き営業だったために18年9月でいったん閉館を迎えました。別れを惜しむファンの声に応える形で、このたび南町田で待望のリニューアルオープンを果たしたのです。

 それにしても、六本木から南町田へという移転は一体なぜでしょうか。都心中の都心の超一等地から田園都市線の終点に近い、1日平均乗降客数約3万人の駅へというのは、その落差に「え、なぜ?」と思わずにいられません。ましてや、かの世界的人気キャラクター、スヌーピーの世界初の公式分館が南町田にオープンするのです。

 なぜ南町田――? ミュージアムのリニューアルに際して一番気になるのは、展示される作品群やかわいいスヌーピーグッズよりもその点。町田にほど近い神奈川の辺地に育った身としては、「町田」という地名に漂うそこはかとない「辺鄙(へんぴ)さ」を敏感に感じ取ってしまうからなのです(もちろん、同じ地元民としての親近感を持って)。

南町田にオープンするスヌーピーミュージアム。全長8mの巨大スヌーピーは世界最大級だそう(2019年12月12日、遠藤綾乃撮影)



 新生スヌーピーミュージアムは、2019年11月13日(水)にオープンしたばかりのショッピング施設「南町田グランベリーパーク(GBP)」に隣接しています。12月12日(木)に開かれた内覧会には、広々とした1階ホールが満杯になるほどの関係者が押しかけ、関心の高さを物語っていました。

 建物の背後に広がるのは、7ha超に及ぶ鶴間公園です。冬の寒風にすっかり葉を落とした雑木林が静かに林立し、いかにも自然に抱かれたミュージアムという風情。六本木の旧館は再開発を待つ都心ど真ん中の空き区画に暫定で建てられていたことを考えると、今回のリニューアルは館のコンセプトそのものから練り直されたということがおのずとうかがえました。

「格落ち感」の正体と、メリット&デメリット

 館長は、六本木時代から同職を務めている中山三善(みよし)さん。トークセッションのあいさつで中山館長がとくに強調したのは、「南町田へ移転したメリット」でした。

「六本木の旧ミュージアムは都心のアクセスしやすい場所にありましたが、施設としては(敷地面積が)小規模で、快適に作品を見てもらうために限界を感じることもありました。新ミュージアムでは、カリフォルニア州サンタローザの本家『シュルツ美術館』のようにのんびり楽しんでもらえるよう、十分なスペースを確保してゆったりした空間にしたいと思っていました」(中山館長)

 つまり新天地に対して求めていたイメージに、郊外にあるこの南町田という地がピタリはまったという説明です。

「ここは緑豊かな大きな(鶴間)公園と賑やかなショッピングモールに囲まれている上、最寄り駅からは近くて便利。ゆったりとしたミュージアムにしたいという点でも、約2600平方mという六本木の約2倍の広さを確保できました」(同)

内覧会には、スヌーピー作者の故チャールズ M.シュルツさんの妻ジーン・シュルツさんらも駆けつけた(2019年12月12日、遠藤綾乃撮影)



 セッション後、せっかくの機会なので中山館長に直接聞いてみました。

――もともと新館は、郊外にしようと決めていたのでしょうか。

「都心で場所を探そうとすると、どうしてもビルの中などになってしまいます。とはいえ、はじめから郊外と決めていたわけではなく、都心部とどちらも考えていました。ただこの場所を訪れたとき、豊かな自然や駅からの近さに引かれて『ここはいいな』と思いました」

――正直、六本木から南町田というのは「ずいぶん辺鄙なところへ移転したな」という印象があります。

「じつは六本木にあったときも、来館者のうち都内在住者は全体の3割にも満たなかったのです。関東、関西、北海道、四国……全国各地から訪れていただきました。都心であろうと郊外であろうと、ファンの人は来てくれるのだと思います。さらに来館者の約1割はインバウンドでした。海外からわざわざ来る人にとって、東京都内の六本木と南町田の違いは、決して大きくはないのではと考えています」

――スヌーピーというキャラの人気を考えれば、立地はあまり影響しないということですね。ずばり目標来館者数などはあるのでしょうか。

「六本木時代が2年半で130万人超でしたから、南町田でも同じくらいを目標に考えています」

スヌーピーのぬいぐるみ作りも体験できる

 広々とゆったりした空間に加えて、3階建てでフロアごとに違うムードも新たな魅力のひとつです。

 来館者はまず3階に上がり、「オープニングシアター」でスヌーピーの世界観を感じる映像を観賞。作者チャールズ M.シュルツさんの経歴や作品のキャラクターの紹介コーナーを見ながら2階フロアへ降りると、そこには全長8mの巨大なスヌーピー像が。横たわってすやすやと休む珍しい寝姿は「見たことのないスヌーピーを見せたい」(クリエイティブディレクターの草刈大介さん)という意気込みで作り上げたと言います。

 さらに2階の企画展示室を抜けた先には、小鳥のキャラクター、ウッドストックをイメージした部屋。黄色でまとめられた内装にソファやコミックが配されていて、来館者はゆったり座ってくつろぎながら本を楽しめるスペースになっています。

 新館は、旧館と比べて約2倍の広さを確保できたことで、以前は半年ごとに入れ替えていた所蔵品を全て常設展示にすることができたといいます。一度に見られる展示品が増えた分、課題となってくるのは「リピーターの獲得」ではないでしょうか。

 草刈さんに疑問をぶつけてみると、「一度の来館では駆け足になってしまうほど充実した展示量ですから、何度来ていただくたびに新しい発見をしてもらえるのではと思っています。それから1階のワークショップルームでは、2週間のサイクルでさまざまな企画を展開しています。スヌーピーのぬいぐるみ作りやキャンドル作りなど、楽しい企画をいろいろ用意していますのでぜひチェックしてください」。

かわいいスヌーピーグッズがたくさん並ぶショップは必見(2019年12月12日、遠藤綾乃撮影)



 来館者が最後に訪れるのは、1階のグッズショップです。ぬいぐるみやハンカチ、クリアファイル、マグネット、クッキー、キャラメル、ボールペン、マスキングテープ、マグカップなど数々のスヌーピーグッズが並んでいて、冒頭で「スヌーピーグッズはあまり……」などという趣旨を書いたはずが、すっかり魅了されてしまいました。

 南町田グランベリーパーク駅は、田園都市線で渋谷から急行で約40分。駅に着けば、あとはミュージアムまで徒歩4分です。この距離は果たして近いでしょうか、遠いでしょうか。都心にあるミュージアムと郊外にあるミュージアム、あなたはどちらがいいと思いますか?

 入館料は一般・大学生が当日券2000円、中高生1000円、4歳~小学生が600円です。

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