セレブタウン「広尾」「麻布十番」、似ているようでちょっと違う? 実際に歩いてみた

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セレブタウン「広尾」「麻布十番」、似ているようでちょっと違う? 実際に歩いてみた

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鳴海侑

まち探訪家

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オシャレで高級なイメージの強い広尾・麻布十番ですが、視点を変えると実は違った魅力があるようです。まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。

外国人が多くも、思ったより大衆的な広尾

 地下鉄日比谷線の広尾駅。両隣は恵比寿駅や六本木駅で、オシャレなイメージを持っている人も多いかと思います。今回はこの広尾を起点に私なりの視点から紹介してみたいと思います。

広尾駅周辺のまち並み(画像:写真AC)



 広尾駅自体は結構簡素な駅で、恵比寿方のホームの端と六本木方のホームの端に出口があります。メイン出口の前にある交差点は多くの人が行き交い、西に向かって商店街が延びています。

 商店街は電柱が地中化されており、すっきりした印象です。高級感を持つ人もいるでしょうがチェーンの喫茶店、ラーメン屋もあり、思ったより大衆的です。ただ、そこまで規模は大きくありません。

 駅前の交差点の南西には三角形の建物「広尾プラザ」(渋谷区広尾5)があり、地下1階から地上2階は商業施設となっています。かなり高級感のある作りで、テナントも高級スーパーで輸入食品も扱う「明治屋ストアー」(同)の大きな店舗も特徴的です。

 今度は交差点から東に進みます、オシャレなカフェがある中を進み、少し歩くと右手にスーパーと公園が見えてきます。スーパーはこちらも輸入食品を扱う「NATIONAL AZABU」(港区南麻布)。明治屋ストアーは高級スーパーという雰囲気ですが、こちらは輸入食品がとにかく目立ちます。このあたりは外国の大使館も立地し、やってくるお客さんも海外の人が目立つ印象です。ちょっと日本ではないところに来たようで、店内を見て回るのはなかなか楽しいです。

東京の調べ物にうってつけな中央図書館

 今度は「NATIONAL AZABU」の向かいにある公園の中を歩きます。この公園は有栖川宮記念公園といい、江戸時代は岩手県と青森県の一部を治めていた南部藩の屋敷があった場所でした。名前の由来になったのは明治時代になってこの土地に新邸を構えた有栖川宮の名前をとったもので、有栖川宮が廃絶したあとに記念公園として1934年に一般開放され、現在に至ります。

広尾駅(左)と有栖川宮記念公園、東京都立中央図書館の位置関係(画像:(C)Google)



 公園を入って池を左手に見てから木々の間を抜ける階段を上がります。上がりきったところには広場があり、晴れている日は子供たちが元気に遊ぶ姿が見られます。

 広場の奥にあるのが東京都立中央図書館(港区南麻布)です。5階建てで開架の本も多いことや東京に関する資料がまとまって置いてあることが特徴。さまざまな資料が手に取れるというと永田町駅近くに国立国会図書館(千代田区永田町1)がありますが、あちらは閉架の本が多く、人も多く、何かと時間がかかるために気軽に本を手に取りにくいところが難点です。

 資料の数はもちろん国立国会図書館の方が圧倒的ですが、東京のまちのことを調べるという目的であればこちらは開架の本が多く、手軽に使える図書館です。人も少なく、じっくり調べ物をするのには向いています。

 また、平日の開館日は夜21時まで開館している便利な図書館で、私も国立国会図書館とハシゴしてよく利用しています。5階建ての5階には食堂兼ラウンジがあり、東京タワーが間近に見え、周辺の高級住宅街を見渡すことができるのもおすすめポイントです。

 東京都立中央図書館は丘のちょうどてっぺんなのですが、さらに広尾とは逆側に歩いていきます。麻布運動場の横を抜け、T字路を右に曲がると仙台坂です。このあたりに仙台藩の屋敷があったためにつけられた名前で、品川区の青物横丁駅近くにも同じ名前の坂があります。私としてはこの仙台坂の名前を聞くと、昔よく土曜日に聞いていたラジオ番組を思い出します。

庶民的な麻布十番

 そのラジオ番組は仙台坂の上にあると設定されたイタリアンレストランが舞台という設定で、芸能人や実業家などが他愛もない会話をするという内容でした。よく買い物や旅行から帰る車の助手席で聞いては、これが東京というものなのか、すごいオシャレな場所があるんだと子供心に思ったことをよく覚えています。

 今はそのラジオ番組もなくなってしまいましたし、実際に仙台坂の上にくると高級とはいえマンションが建ち並ぶ住宅街です。はじめて「ここがあの仙台坂上か」と思った時は少しがっかりした思い出もあります。

麻布十番の商店街の様子(画像:ULM編集部)



 仙台坂を下り、左手にあるのが麻布十番の商店街です。麻布十番も高級イメージのある場所ですが、麻布十番納涼祭りでは盆踊りが行われるのをはじめ、割と普通の庶民的な側面が見えるまちだと思います。広尾のグローバルな高級感とはまた違った麻布十番の高級感も私は好きですし、ぜひ両方いって感じてみてほしいと思います。

 麻布十番は広尾以外のまちも近いです。歩いて北西に行き、10分くらいいった坂の上はもう六本木です。実は広尾・麻布十番・六本木は歩いても気軽に回ることが出来ます。もしくは、電動アシスト機能付きのシェアサイクルを使うのもいいでしょう。

 最近は「ドコモバイクシェア」がいたるところにサイクルポート(自転車置き場)をおいており、借りたサイクルポートと別のサイクルポートで返すことができるので、坂道をラクに移動したい人には便利です。私も時折、麻布十番から東京都立中央図書館に行くために利用しています。

 ここまで、オシャレで高級なイメージの強い、広尾・麻布十番を私の視点から紹介してみました。興味を持たれた方はぜひ、歩いて少し違ったふたつのまちの雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。

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