東京の「非日常」を味わう、ポタリングの魅力 シェアサイクルや軽量自転車が便利に
健康志向などの高まりから注目を浴びていたポタリング。今ではインスタ映えスポット巡りなど、東京の「非日常」を味わうことのできるツールになっています。女性のサイクリング人口、東京だけで60万人以上 「読書の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」といった言葉があるように、秋はこれまでチャレンジしなかったことに取り組む絶好の季節。気軽に体を動かしながら非日常を味わえる「ポタリング」も、この季節にぴったりです。 東京で気軽にポタリングできる環境が整いつつある。写真はイメージ(画像:写真AC) ポタリングとは「散歩をするようにぶらぶらと自転車で走ること」で、「のんびりする」「ぶらつく」という意味の「putter(パター)」から作られた和製英語です。気温が暑くも寒くもなく、空気も澄んでいる秋にポタリングをすれば、気持ちいいこと間違いありません。 「肩肘張らず、遊ぶような感覚でチャレンジしてください」 2018年10月28日(日)に東京の観光地を自転車で巡るイベント「BIKE TOKYO」を開催した、日本サイクリング協会の事務局長、小林博さんはこう話します。 全国の女性サイクリング人口における、年齢別の実施率(%)(2016年度の総務省「社会生活基本調査」を元にULM編集部で作成) 総務省の社会生活基本調査(2016年度)によると、女性のサイクリング人口(10歳以上)は全国で342万2000人。東京都だけでも62万1000人(同)がいます。 「健康志向や環境意識の高まりで、14~15年前から人気のある趣味になっています。ちなみに、ポタリングを気軽に始めるなら、乗り捨てできるシェアサイクルをお勧めします」(小林さん) 都内を巡って、「写真をSNSにアップ」が定番 都内8区でシェアサイクル事業を手掛けるコギコギ(渋谷区桜丘町)は、利用者の6割を占める訪日外国人観光客やポタリング愛好者などに向けて、坂の多い都内を走りやすい電動アシスト自転車を提供しています。利用時間を最低12時間からと長めに設定しているため、利用者の大半が都内やその周辺スポットの散策に利用しているといいいます。 コギコギが都内23区で展開するレンタサイクルポート(画像:コギコギ)「日本人利用者の約6割が女性で、女性同士またはカップルでの利用が多いです。渋谷区のポート(貸出返却場所)から、『奥渋谷』や原宿、代々木公園などを巡るのが人気のコースになっています。おしゃれなコーヒー店で自転車と一緒に写真を撮って、インスタグラムにアップする人が近年増えています」(コギコギ) シェアサイクルだけでなく、女性のポタリングに最適な自転車を販売する店舗もあります。ジック(大阪市住之江区)が2018年8月17日(金)にオープンした「LIGHT SERIES(ライトシリーズ)自由が丘」(世田谷区奥沢)は、軽量自転車のみを取り扱う店舗です。 軽さにこだわった自転車を販売する「LIGHT SERIES 自由が丘」(画像:ジック) 同店のコンセプトは「軽さにこだわる」で、店内には約70台を取りそろえています。重さは約7kgから11kgまで、価格帯は4万円から17万までです。 「スポーツ自転車のフェスティバルに出展したとき、軽量自転車に対するニーズの高まりを感じ、出店しました。フレームやタイヤなどを軽量化することで、女性でも気軽に持ち運べる製品になっています。 家からそのままポタリングに出かけたり、電車に乗って降りた駅からポタリングを楽しんだりできます。折りたたむと中型のコインロッカーに入れられる大きさになるため、自宅に置くのも問題ありません。駐輪場の少ない東京にうってつけといえるのではないでしょうか」(ジック) 「偶然の出会い」「非日常」を気軽に味わえる シェアサイクルなどのサービスや自転車そのものの進化によって、都内でポタリングができる環境が年々整いつつああります。ポタリングの一番の魅力とは何でしょうか。 「『非日常』を手軽に味わえることです。クルマと違って、自転車は乗っている人の体がむき出しなっているため、訪れる地域の雰囲気や匂い、生活感などがダイレクトに伝わりますし、交通事情にも影響されにくいため、停車もしやすい。『こんなところに、こんなものがあったんだ』という偶然の出会いを見つけやすいツールなんです。もちろん『インスタ映え』するスポットの写真もたくさん撮れます」(先述の小林さん) 2018年10月に開催された「BIKE TOKYO」のコース(画像:日本サイクリング協会) ちなみに、ポタリングをする際、「歴史」「自然」「フード」などを軸にしてコースを計画すると作りやすいとのことです。 交通ルールやマナーの順守、安全面にも配慮を ポタリング初心者が気を付けなければならないのは、交通ルールとマナーの順守。実に当たり前のような気がしますが、非日常を味わっていると、歩行者などへの配慮がおろそかになる場合もあるといいます。 歩行者とのより良い共存が求められるポタリング(画像:写真AC)「ポタリングをしていると、途中で歩道を走ることも多い。そこで注意してほしいのは、歩行者に道を開けてもらうとき、ベルを鳴らしてはいけないということ。しっかり『通ります』と直接声掛けをしてください。これはマナーです。 また、歩道で信号待ちをする際には、くれぐれも歩行者の邪魔にならないようにしましょう。住宅街では、民家の塀に前に自転車を停めるのはやめてください」(日本サイクリング協会・小林さん) なお、ポタリングに出かける場合は、帽子やヘルメットを被って安全面に気をつけるほか、万が一のことを想定して保険付きのサービスなどを利用してほしいとのことです。 思い立ったが吉日、気軽に始められるポタリングで東京の「非日常」を味わってみませんか。
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