ボルダリングから雪遊びまで! 進化する都内「子ども向け室内遊戯施設」、その最新動向に迫る

 子どもの遊び場施設を意味する「キッズプレイグラウンド」が近年、注目されています。いったいなぜでしょうか。文殊リサーチワークス・リサーチャー&プランナーの中村圭さんが解説します。


キッズプレイグラウンドとは何か?

 近年、商業デベロッパー(商業施設の開発を専門に行う組織)がこの「キッズプレイグラウンド」に着目しています。

 キッズプレイグラウンドとは、子どもの遊び場施設のことです。屋外の子ども向けアスレチック施設やボルダリング・トランポリンなどの屋内アスレチック施設をプレイグラウンドと呼ぶこともありますが、ここでは比較的年齢が低い幼児が遊べる屋内型施設を対象とします。

屋内アスレチック施設で遊ぶ子どものイメージ(画像:写真AC)



 キッズプレイグラウンドそのものは新業態ではなく、郊外のショッピングセンターなどに従来から導入されていました。一般的に、ボールプールやエア遊具などから構成されます。

子育て支援の社会的機運高まりが追い風に

 そのようなキッズプレイグラウンドへの注目の背景には、未就学児の子連れファミリーマーケットの存在があります。2000年代に入るまで、わが国は子育て支援の社会的インフラ整備が進まず、乳幼児を連れての外出を控える傾向にありました。

 必然的に、若者や働く女性などさまざまなマーケットが存在する都市部において、子連れファミリーを対象にしたレジャー施設開発の優先度は高くありませんでした。しかし、少子化対策で子育て支援の社会的機運が高まり、状況は変化しています。

加速するファミリー市場(画像:写真AC)

 2006(平成18)年に日本に初導入された子ども向け職業体験テーマパーク「キッザニア東京」(江東区豊洲)はキッズプレイグラウンドではありませんが、商業デベロッパーに強いインパクトを与えました。

 当時は新業態開発の方向性が見定まらない時期でしたが、キッザニアは子連れファミリーを対象にする集客施設開発の可能性を示唆しました。低迷する既存マーケットに対し、子連れファミリーマーケット・3世代マーケットが重視すべき集客ターゲットとして立ち上がっていきます。

レジャー施設として開発される大型施設も

 2011(平成23)年にオープンした「ASOBono!」(文京区後楽)は巨大なボールプールなどから構成され、親子で遊ぶことができる施設です。その盛況ぶりは都市部における未就学児ファミリーのレジャーの受け皿不足を物語りました。

ボールプールで遊ぶ子どものイメージ(画像:写真AC)



 このような状況から、大都市圏のショッピングセンターには次々と新しいキッズプレイグラウンドが導入されるようになっていきます。ショッピングセンターで大型アミューズメント施設を運営していた大手ゲームメーカーも新業態を開発します。

 バンダイナムコアミューズメント(港区芝浦)は、砂場や子ども向けアスレチック施設などからなる「あそびパーク」(港区台場など)を展開。セガエンタテインメント(大田区大森本町)はプレイグラウンド付きのファミリービュッフェ「KidsBee」(立川市泉町)を開発しました。

 ショッピングセンターの付帯施設としてではなく、さまざまな立地に出店するようにもなっており、都心のスポーツクラブの上層階に出店している施設もあります。また、単独のレジャー施設として開発される大型施設も出てきています。

親子一緒に遊べることが特徴

 現在のキッズプレイグラウンドは大型で設備が充実し、テーマやコンセプトもしっかりとした、それ自体が来場の目的となる集客性の高いものになってきています。子ども向けのミニテーマパーク的な施設も少なくありません。

 かつてショッピングセンターに導入された子ども向け屋内遊園地と比較すると、ターゲットの年齢層がより低くなっており、乗り物系の遊戯機器よりも身体を使って自由に遊べる遊具が多く、親子で遊べることが特徴です。

ファミリーに対応したカフェも設置

 2018年3月にオープンした「京王あそびの森 HUGHUG(ハグハグ)」(日野市程久保)は京王電鉄(多摩市関戸)が開発した子ども向け全天候型の遊戯施設。「木育」「体育」「知育」といった3つの教育要素をコンセプトにしており、多摩産の杉・ヒノキをふんだんに使った遊具や内装で、全身で木のぬくもりが楽しめるようになっています。

「京王あそびの森 HUGHUG」内のネット遊具「ハグハグのき」(画像:京王電鉄)



 中央に位置する高さ約12m、幅約15mの大木に見立てた日本最大級のネット遊具「ハグハグのき」がシンボル的存在。0歳~12歳の子どもとその保護者をターゲットにして、乳幼児を連れたファミリーに対応したカフェも設置されています。また、京王電鉄らしく、随所に鉄道をイメージしたデザインがあり、乗り物好きの子どもには楽しい施設です。

雪遊びやそり滑りが楽しめる

 2018年4月にオープンした「東京あそびマーレ」(八王子市別所)は1年中雪遊びができる「スノータウン」、室内遊園地「あそびマーレ」からなる大型室内親子遊園地です。

「東京あそびマーレ」内のスノータウンの様子(画像:山崎屋)

 スノータウンはタイ・バンコクの人気アトラクションの日本1号店で、通常空調で雪を維持できるシステムの元、雪遊びやそり滑りが楽しめます。

 「あそびマーレ」は大阪「ATCあそびマーレ」に続く2号店。ボール温泉、ふわふわボルダリング、ふわふわすべり台、トランポリン、ミニレールウェイなどからなるキッズプレイグラウンドです。授乳室など乳幼児連れのファミリーのための設備やサービスも用意されています。同施設は「東京レジャーランド」などのレジャー施設を運営する山崎屋が開発しました。

保護者向けのブックラウンジがある施設も

 2019年の7月には、千住のショッピングセンター内に「ピュアハートキッズランド」(足立区千住橋戸町)がオープンしました。

「ピュアハートキッズランド」内のサンドパークの様子(画像:ニッケアウデオSAD)

 安心・安全をモットーにした家族で遊べる室内公園になっており、大型ボールプールやふわふわ遊具、ホワイトサンドの砂場など子どもが遊べるコーナー、好きな衣装に着替えて撮影ができるフォトスタジオなどのほか、保護者向けのブックラウンジ、マッサージチェア、授乳室なども完備しています。

 利用対象は小学生までとその保護者で、中学生から19歳までは保護者同伴でも入場することができません。「ピュアハートキッズランド」はニッケアウデオSAD(大阪市)が運営しており、全国のショッピングセンター11か所(2019年8月現在)に導入しています。

施設に求められるプラスαの要素

 キッズプレイグラウンドは子どもが楽しめる施設であることはもちろんですが、母親の視点がとても重要です。

 おおむね0歳からを利用対象にしており乳幼児を育てる母親に必要な設備が揃っていることは大前提として、母親(もしくはその他の保護者)が子どもを見ながらほっと休憩できるエリアがあること、母親(もしくはその他の保護者)から見て遊んでいる子どもが可愛く映ること、知育などプラスαの要素があること、などが望まれます。

これからの施設は、子どもを見ながら保護者が休憩できるエリアがあることが求められる(画像:写真AC)



 知育と言っても、語学教育や幼児の知能開発のような内容である必要はありません。楽しく身体を使って遊べることが第一で、その結果、何かの気付きがあったりすることが大切です。

 また社会全体として見れば、未就学児の子連れファミリーが外出するための環境整備にはまだまだ改善すべき点があります。母親をはじめとする保護者のニーズに合った整備が望まれるでしょう。

 キッズプレイグラウンドは拡大期にありますが、くれぐれも安全性には万全の配慮をし、母親が利用しやすい施設を目指してほしいと思います。次々に新しい施設ができていますので、小さいお子様のいるご家庭はさまざまな施設を利用してみてはいかがでしょうか。


【写真】大人でも行ってみたい! 最新のキッズプレイグラウンドの様子を見る

画像ギャラリー

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