客室から料理まで! 開業120年の老舗旅館が「お茶づくし」のホテルを作ったワケ

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客室から料理まで! 開業120年の老舗旅館が「お茶づくし」のホテルを作ったワケ

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2018年の末、新橋にお茶をテーマとしたブティックホテル「ホテル1899東京」がオープンしました。インテリアからレストランに至るまで「お茶づくし」という、風変わりな同ホテルを訪れてみました。

全館にお茶を通じた「おもてなしの心」

 新橋の駅界隈の喧騒とは一線を画すエリアに、お茶をテーマとしたブティックホテル「ホテル1899東京」が2018年12月に誕生しました。モダンにアレンジした、日本のお茶文化に触れながら過ごせるのがその特長です。どのような空間で、宿泊者以外にもお茶を楽しめるような施設はあるのか、ホテルを訪れてみました。

茶室をイメージしたレセプション(画像:龍名館)



 同ホテルを運営する龍名館(千代田区神田駿河台)は、1899(明治32)年に開業した「旅館龍名館本店」を起源とします。ホテル業に転換した現在も、旅館時代から続く「和のおもてなしの心」を大切に、ミシュランガイド掲載の「ホテル龍名館お茶の水本店」と「ホテル龍名館東京」を経営してきました。「ホテル1899東京」は、同社の3軒めのホテルとなります。

「お茶の水を創業の地とすることもあり、お茶を通しておもてなしの心を伝えたいとの想いから、『現代的に解釈された茶屋体験』を建物全体のコンセプトに据えています」と同ホテルの広報担当者。そこに「お茶づくし」の3つのこだわりがみられました。

茶室を現代風にイメージしたレセプション

 エレベーターを2階で降りると、まるで絵画のように、まだ初々しい色調の木枠とそのなかに数奇家造り風の大きな丸窓が目に飛び込んできました。カウンター上には茶釜。そこは、ゲストを迎えるレセプションであると同時に、お茶を楽しんでもらう場となっています。お茶を知り尽くした「茶バリエ(同ホテルの造語)」が湯の温度管理をし、15時から22時までの間、いつでも何度でもおいしいお茶をゲストのために淹れてくれるのです。

 レセプションでサービスしているお茶は、ホテルオリジナルブレンドで、6種類の葉を混ぜた「六煎茶」。要望に応じて、抹茶もたててくれます。流れている耳に優しいBGMは、フロントと客室のコンセプトである「庵(いおり)」を表現したホテルのオリジナルミュージック。レセプションながら長居したくなる、ほっとくつろげる時間がゆるやかに流れていました。

 レセプション横のお土産コーナーでは10種類の茶葉が販売されており、宿泊者以外でも茶バリエにお願いすると、試飲用にお茶を淹れてくれます。

お茶の要素を散りばめたインテリア

 館内は、インテリア、客室備品、アメニティーに至るまで、すべてがお茶づくしです。

 壁に取り付けられた部屋番号のプレートは襖(ふすま)の引き手形で、通路の照明は茶さじ形。客室内は全室、茶道の道具である茶せんをモチーフにした照明や、丸窓、煎茶や茶葉をイメージした装飾などでモダンかつ和的な佇まいを演出しています。

4種類ある客室の「スーペリアダブル B-ENGAWA-」タイプ(画像:龍名館)



 室内でもお茶を楽しめるように、急須と湯呑み、4種類の日本茶(煎茶、玉露、和紅茶、番茶ほか10種類から日替わりで選定)、そしてお茶に適したピュアウォーターを用意。さらには、シャンプーとボディーソープにまで「緑茶成分入り」のものを採用するという、こだわりようです。

 客室は4タイプあります。記者のオススメは「スーペリアダブル B-ENGAWA-」。客室奥の床全体を約40cm高くしたベッドスペースは、縁側をイメージしており、靴を脱いで板間でくつろげます。お茶セットのすぐそばに水場が配置されているほか、腰かけてお茶を楽しめるスペースが至るところにあるのも、使い勝手の良い点です。

併設のレストランは日本茶を使用したメニューを用意

 ホテル1階には、「お茶料理」や「お茶スイーツ」を提供するレストラン兼デリカテッセン「DELI&BAR1899 TOKYO」を併設。宿泊者以外も利用できます。ただし、朝食は宿泊者限定で、「抹茶パン」「お茶ソーセージ」「抹茶グラノーラ」など、お茶をテーマにした朝食が品数豊富に楽しめます。

 宿泊者以外は、ランチとディナー、カフェタイムに利用可能です。抹茶やほうじ茶など、日本茶を使った和洋の惣菜を軸とした料理は、テイクアウトもできます。

レストランに「TEA BAR」、ビジネスマンにとっての穴場?

 ランチタイムのメニューは、「一汁三菜ボックス」(980円)の1種類。メイン、デリ、サラダ、ほうじ茶ご飯、スープに加えて、「TEA BAR」がつきます。TEA BARは、水だし茶3種類と温かい日本茶8種類が飲み放題。一汁三菜ボックスのテイクアウト用(スープとTEA BARはなし)は、780円です。

DELI&BAR 1899 TOKYOの日本茶を使用したスイーツ(画像:龍名館)



 ディナータイムは、「一汁三菜セット」(980円)のほかに、アラカルトメニューも提供しています。「抹茶レバーペースト」(300円)、「フィッシュ&茶ップス」(300円)など、手頃な価格の単品メニュー各種は、ビールに抹茶をブレンドした龍名館オリジナルドリンクの「抹茶ビール」とのマリアージュにぴったりです。

 またカフェメニューは、「お濃茶ジェラート」(450円)や、酒茶ケーキ(300円)、あんみつ(380円)など、お茶に合うスイーツ揃い。「TEA BAR」のみも500円で利用可能です。

 店内はフリーWi-Fiが利用でき、机や椅子周辺に電源を備えています。新橋駅から少し離れているため人通りがさほど多くなく、お茶を飲みながら、ゆったりとしたスペースで仕事をしたい人に穴場的な場所といえるでしょう。

 宿泊者の8割程度がインバウンドだそうですが、ホテルもレストランも、日本人とっても心地良く利用できる個性的な環境です。旅や仕事の疲れを身体の内側から元気にしたい時にぜひ。

●ホテル1899東京「DELI&BAR 1899 TOKYO」 概要
・住所:東京都港区新橋6-4-1
・営業時間:ランチ 11:30〜14:00(L.O.13:30)、カフェ・ディナー 15:00〜21:00(L.O.20:30)
・定休日:土日祝
・アクセス:三田線「御成門駅」から徒歩6分、各線「新橋駅」より徒歩10分

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