軍都から「ウヒョッ」まで 近年大注目の「赤羽」、知られざるその歴史と魅力に迫ってみた

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軍都から「ウヒョッ」まで 近年大注目の「赤羽」、知られざるその歴史と魅力に迫ってみた

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鳴海侑

まち探訪家

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皆さんは赤羽と聞いて、どのようなイメージを持っているでしょうか。東京近郊に住む人にとっては、やはり「乗換駅」でしょう。しかし、実はそれだけでもないようです。そんな赤羽の歴史と魅力について、まち探訪家の鳴海行人さんが解説します。

「HaaS」の舞台と軍事施設

 東京23区北部で鉄道路線が集まるまち、赤羽。乗換駅の印象が強いところですが、最近は周辺のまちを評価する動きがあります。2018年12月には、住宅ローン専門金融機関のアルヒ(港区六本木)から発表された「本当に住みやすい街大賞2019」で1位に選ばれました。そんな赤羽、実際はどんなまちなのでしょうか。

赤羽駅の駅前の様子(画像:写真AC)



 赤羽駅周辺のまちはJRの高架を境に、西と東で大きく異なります。西口は駅前が再開発されており、大きな建物が建ち並びます。そのうち、バスターミナルの向かいにある1棟はユニクロやABCマートをはじめとしたテナントが入る専門店ビル「ビビオ」、その南隣にあるのは「イトーヨーカドー赤羽店」で、買い物環境は充実しています。

「ビビオ」と「イトーヨーカドー」の間の道を抜けると目の前に「丘」が現れます。丘の上にはURの建設した団地「ヌーヴェル赤羽台」(北区赤羽台)や東洋大学の情報連携学部がある赤羽台キャンパスがあります。

「ヌーヴェル赤羽台」は1959(昭和34)年に建設された「赤羽台団地」を建て替えたもので、一部敷地には赤羽台団地時代から残るスターハウスも建ち、そのうち1室はURと東洋大学が共同して、10年後の団地における新しい暮らしを提案する「HaaS」(Housing as a Service)のモデル住戸になっています。

 この赤羽台の丘は元々広大な畑作地でしたが、明治時代から陸軍が軍事施設を置きます。理由としては訓練地として使えることや、荒川が近く、1885(明治18)年に赤羽駅が開業したことで、物流に便利な土地であったことがありました。

 さらに東京都心の軍用地を郊外移転させる時代の流れもあり、赤羽周辺の丘には軍隊の本拠地や倉庫が移転してきます。「ヌーヴェル赤羽台」にあたる場所にあったのが被服倉庫で、のちに本廠(ほんしょう)庁舎もここに移転してきました。

 この軍事機能の集積で発展していったのが駅の東側です。軍と取引を持つ工場ができ、周辺に商店街や住宅地が形成されていきます。また、路面電車が現在の赤羽岩淵駅付近まで乗り入れたこともあって、商業も発達し、国鉄の赤羽駅と路面電車の赤羽駅を結ぶ赤羽銀座通りは大いに栄えたといいます。

ダイエーvs西友、かつての「赤羽戦争」

 このように軍事施設を中心に栄えたまちだったため、第二次世界大戦では空襲の被害に遭いました。それでも赤羽駅は東京の北側のターミナルであったため、東北への玄関口としてヤミ市が栄えます。特に駅近くに形成された「復興会商店街」は広い地域から人々が買い物に来ていたといいます。この「復興会」はその後「一番街」へと変わります。

 現在の一番街には飲み屋が多く建ち並び、いわゆる「せんべろ」の店もある歓楽街となりました。帰りに一杯飲んで帰れる店がたくさんあるのは赤羽の魅力のひとつです。
 
 一番街の東にあるのが大きなアーケードが特徴的な商店街「LaLaガーデン 赤羽スズラン通り商店街」です。長さ300mほどのアーケードの中には5階建てのダイソーや奥には「ダイエー赤羽店・イオンフードスタイル」があります。

 このダイエーは1969(昭和44)年に開業しました。時代は高度経済成長期で、池袋に次々とデパートができ、駅周辺に大きな商業エリアが形成されていっていました。対して赤羽は人々が日用品を購入する場所へと変わっていっていました。そしてダイエーにさきがけて1966年には西友が開業しており、大型スーパーの時代もやってきます。赤羽ではダイエーと西友の間で激戦が繰り広げられたと言われ、「赤羽戦争」という言葉が残っています。

 日用品メインの商店街が中心となっていったことは赤羽にとってよいことでした。現在では西口も合わせて日々の買い物には非常に便利な場所としてなっており、それがまちの魅力のひとつとなっています。

上野・池袋へ約10分、新宿へ約15分というアクセスの良さ

 さらに赤羽駅の高架化にともない1990(平成2)年に高架下のショッピングセンターが生まれ、現在は「ビーンズ赤羽」としてスポーツ用品店やペット用品店をはじめ生活に便利な店が揃っています。更に駅ナカには2011(平成23)年に開業した「エキュート赤羽」があり、飲食店や惣菜店を中心に50店舗が入居しており、駅の中でも食料品を中心とした買い物も可能となりました。

大きなアーケードが特徴的な商店街「LaLaガーデン 赤羽スズラン通り商店街」(画像:写真AC)



 そして赤羽の魅力として最も大きいのは都心へのアクセス性の高さでしょう。JR上野東京ライン・JR湘南新宿ライン・JR埼京線・JR京浜東北線が集まり、少しあるけば東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道の赤羽岩淵駅もある赤羽は上野と池袋へ約10分、新宿へ約15分、東京や渋谷へは約20分ととても近いです。このアクセス性に対し、日用品メインで買い物環境が充実しているとなると、なるほど確かにまちとして評価されることもうなずけます。

 以上、近年評価されつつある赤羽のまちの様子や歴史を紹介してきました。普段乗り換えや電車で通過するだけの人も多いかと思います。そうした方はぜひ、一度降りてみてもいいかもしれません。

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