全て駅前で無料!富士山やお花見、遊園地、車両基地一望も――東京の穴場「区営の展望台」に行こう【文京区・練馬区・北区・江戸川区】

  • スポット
  • 乗り物
  • 後楽園駅
  • 王子駅
  • 練馬駅
  • 船堀駅
全て駅前で無料!富士山やお花見、遊園地、車両基地一望も――東京の穴場「区営の展望台」に行こう【文京区・練馬区・北区・江戸川区】

\ この記事を書いた人 /

若杉優貴のプロフィール画像

若杉優貴

都市商業研究所

ライターページへ

2024年1月5日、江戸川区のシンボル「船堀タワー」がリニューアルオープン。実は東京で3番目に高いタワーで、絶景スポットとして知られています。今回は船堀タワーを含む都内の穴場「無料で利用可能な区営の展望台」について、都市商業研究所の若杉優貴さんがご紹介します。

 2023年夏よりエレベーター工事などのため休業中だった江戸川区のシンボル「船堀タワー」が、いよいよ2024年1月5日にリニューアルオープンします。

 都心にある「公共の無料展望台」といえば東京都庁にある展望室が有名ですが、最近は混雑して待ち時間が発生することも少なくありません。

 そこで今回は都庁展望台や船堀タワーと同じく、東京23区内にありながら無料で気軽に入ることができる「オススメの公共展望施設」を紹介していきたいと思います。

今や外国人観光客にも大人気となっている東京都庁展望室。「混雑でゆっくりできない!」という声も…。都内にはこのほかにも区が運営する無料展望施設がいくつかあります。(写真:若杉優貴)



都心のビル群を一望!「文京シビックセンター展望ラウンジ」

 最初に紹介したいのは、後楽園駅近くにある「文京シビックセンター」の展望ラウンジ。

 文京シビックセンターは1994年から1999年にかけて誕生した複合ビルで、館内には文京区役所をはじめ、文京シビックホール、カフェやコンビニエンスストアなどが入居しています。

文京区役所などが入居する文京シビックセンター。北側に迫り出すフロアが展望デッキです。(写真:若杉優貴)

 建物は地下鉄駅と直結。建物の真ん中にシースルーエレベーターがあり、商業施設で良く見かけるような外の景色を見渡せるエレベーターとはまた違った雰囲気を楽しめます。

 文京シビックセンター展望ラウンジの特徴は「他階よりもせり出したフロア」と「傾斜した窓」で、都庁などの展望台よりも景色が見やすいことが特徴。また隣接する東京ドームシティ アトラクションズのジェットコースターや地上に顔を出す丸ノ内線、高層ビルの間から頭を出す東京タワー、そして都庁の後ろにそびえる富士山など「これぞ東京都心!」を感じられるさまざまな風景を一度に楽しむことができます。

 超高層ビルが増え続ける東京だけあって、ここ数年で見えなくなってしまった建物もあるものの、都心の真ん中にある高さ100メートル以上の建物から周囲を一望できる場所は貴重な存在。アクセスも良く、地方から東京に来た人にもオススメしたい展望台です。

文京シビックセンターから見た新宿副都心。ビル群の後ろには富士山。(写真:若杉優貴)
文京シビックセンターから都心方面を見ると、スカイツリーと東京タワー、右手前には東京ドームシティ アトラクションズが。(写真:若杉優貴)

 なお、展望フロアにはかつて南側の展望が楽しめるレストランがありましたが、現在は休業中。そのため、東京ドームに隣接していながらその姿を見ることができなくなっています。早く新しい店舗が入ると良いのですが…。

景色が見やすい斜めになった窓、中央に見えるのは筑波山。文京シビックセンターは都心のさまざまなスポットを一望できることが特徴。観光客にもオススメです。(写真:若杉優貴)

文京シビックセンター展望ラウンジ
「文京シビックセンター(文京区役所)」併設
住所:文京区春日1-16-21
営業時間:9:00~20:30
開業:1994年10月
展望台高さ:105メートル
アクセス:東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」より徒歩1分
都営三田線・大江戸線「春日駅」より徒歩1分
JR中央本線(中央・総武緩行線)「水道橋駅」より徒歩9分
備考:同フロアにあった展望レストランは閉店中。

富士山が大きく裾野まで見える!「練馬区役所展望ロビー」

 続いて紹介したいのは、練馬区役所20階にある「練馬区役所」の展望ロビーです。

 現在の練馬区役所庁舎は1996年に開庁。駅直結ではないものの、西武線や都営大江戸線の練馬駅から歩いて5分ほどの場所にあります。

練馬区役所。今回は夕暮れの時間を狙って訪れました。(写真:若杉優貴)

 この練馬区役所展望ロビーの一番の特徴は「富士山方向に高層ビルが全くない」ということ。富士山の山梨県側の裾野や神奈川県丹沢の稜線をはっきりと見ることができ、また23区のなかでも西側に位置するため、都心の展望台より富士山が少し大きく見えることも特徴。とくに夕暮れに赤く染まる富士山は圧巻です。

練馬区役所展望ロビーから見た夕日に浮かぶ富士山。手前に広がるのは杉並区や武蔵野市の街並み。(写真:若杉優貴)
練馬区役所展望ロビーから見た都心方面。目白通りの先にはスカイツリーを望むことができます。(写真:若杉優貴)

 練馬区役所展望ロビーと同フロアには、ロイヤルホストでおなじみのロイヤルグループが運営する展望レストランが入居しています。ロイホとは違う、ここでしか食べられない「奥出雲和牛」を使った特別メニューもあるのでチェックしてみては。

練馬区役所展望ロビー
「練馬区役所」併設
住所:東京都練馬区豊玉北6-12-1 20F
TEL:03-3993-1111
営業時間:9:00~21:30
定休日:毎月第4日曜日、12月29日~1月3日
開業:1996年3月
展望台高さ:80メートル
アクセス:西武池袋線・豊島線・有楽町線、都営大江戸線「練馬駅」より徒歩5分
備考:「ロイヤル練馬展望レストラン」併設。

乗り物ファン必見!新幹線や都電、車両基地まで楽しめる「北とぴあ展望ロビー」

 王子駅近くにある「北とぴあ」(ほくとぴあ)の17階展望ロビーは、これまで紹介した2つの展望施設とは違った魅力を持ちます。それは「東京屈指の鉄道ビュースポット」だということ。

 17階の北とぴあ展望ロビーからは都心の風景はもちろんのこと、北とぴあのすぐ横を走る東北・山形・秋田・北海道新幹線、上越新幹線、北陸新幹線をはじめ、在来線の京浜東北線、湘南新宿ラインなどさまざまな路線が行き交う様子のほか、南東方面には在来線の車両基地「尾久車両センター」、新幹線の車両基地「東京新幹線車両センター」を眺めることもできます。

王子駅前にある「北とぴあ」。「きたとぴあ」と呼ばれがちですが正しくは「ほくとぴあ」、読み方を知らなかった人も多いのでは…。(写真:若杉優貴)

 王子駅付近に目をやると明治通りを走るカラフルな都電荒川線、そして都営バスに加えて東武バスと国際興業バス、さらに王子駅に隣接する飛鳥山公園に上るためのスロープカー「アスカルゴ 」の姿も。飛鳥山公園は都内屈指の花見スポットとして知られており、3月には眼下に桜色のじゅうたんが広がります。

北とぴあ展望ロビーから望む都心方面。新幹線、在来線、都電、路線バス、スロープカー…さまざまな乗り物を一度に見ることができます。(写真:若杉優貴)
北とぴあから見た飛鳥山公園。享保年間に桜の名所として整備された公園を起源に持ち、毎年3月末には展望ロビーからお花見を楽しむ人も。ちなみにかつては飛鳥山公園内にも「飛鳥山タワー」という展望施設がありました。2019年3月撮影、桜は3分咲き。(写真:若杉優貴)
北とぴあから見た田端・浅草方面。スカイツリーの手前に広がる広い場所はJR東日本の尾久車両センター、その右は東京新幹線車両センター。かつての寝台特急の車両を見ることもできるかも…?(写真:若杉優貴)

 なお、「北とぴあ」は今回紹介した区立展望台のなかでは最も古く、1990年の開業。築30年を超えて設備の老朽化が進んでいるといい、リニューアルをおこなうためホールや区役所関連施設などを含めたほぼ全館が2025年度より長期休館(約2年間)となる予定です。早いうちの訪問をオススメします。

北とぴあ展望ロビー
「北区立北とぴあ」併設
住所:東京都北区王子1-11-1
TEL : 03-5390-1100
営業時間:8:30~22:00(受付窓口9:00~20:00)
開業:1990年9月
展望台高さ:80メートル
アクセス:JR・東京メトロ南北線・都電荒川線「王子駅」より徒歩1分
JR東北本線(京浜東北線)「王子駅」・都電荒川線「王子駅前電停」より徒歩3分
備考:展望レストラン「クアドイチナナ」併設。2025年以降、改装のため長期休館計画あり。

実は東京で3番目に高いタワー!江戸川のシンボル「船堀タワー」

 2024年1月5日にリニューアルオープンする予定の船堀タワー。先述したとおり、2023年8月からエレベーター工事等のため長期休業中となっていました。

 船堀タワーがあるのは1999年に開業した江戸川区立の複合施設「タワーホール船堀」。館内にはイベントホールのほか映画館、書店、飲食店などが入居しています。

 ちなみに「船堀」とは読んで字のごとく、ここがかつて船を泊める場所であった名残り。それゆえ、建物には船をモチーフとした意匠が見られます。

都営新宿線船堀駅前にそびえ立つ船堀タワー。船をイメージしたという外観も印象的で、地域のランドマークとなっているのもうなずけます。(写真:若杉優貴)

 船堀タワーは都内では東京スカイツリー、東京タワーに次ぐ展望タワーであり、115メートル(展望フロアは103メートル)の高さがありながら他の区営の展望施設と同様に無料。しかも展望専用タワーであることから360度ほぼ全面に窓が設置されており、近くに超高層ビルが少ないため遠くまで見渡せることが特徴です。

 都営新宿線ユーザー以外にはあまり知名度が高くないタワーですが、「まだ行ったことない!」という人はぜひ一度行ってみては。

船堀タワーから望む都心方面。スカイツリーより東にあることから、スカイツリーと都心のビル群を同時に眺めることができます。(写真:若杉優貴)
船堀タワーから南側を見ると、人気遊園地にあるおなじみの山や東京湾アクアライン、房総半島の山々まで一望できます。(写真:若杉優貴)

船堀タワー
「江戸川区立タワーホール船堀」併設
住所:東京都江戸川区船堀4-1-1
TEL:03-5676-2211
営業時間:9:00~21:30(改装後は変更の可能性あり)
開業:1999年3月
展望台高さ:103メートル
アクセス:都営新宿線「船堀駅」より徒歩1分
備考:2024年1月5日営業再開予定

 なお、今回紹介した展望スポットはいずれも区の公共施設内にあるため、多くは年末年始に休業(もしくは初日の出などのみ事前予約営業)となります。訪問する際には、開館日程の確認をお忘れなく。

関連記事