「30代以下は63%減」の波紋 コロナで様変わりの渋谷ハロウィーン、果たして来年は?
2020年は逮捕者なし 2020年10月31日(土)、東京・渋谷のスクランブル交差点は例年になく“落ち着いた”夜を迎えました。 週末とぶつかったハロウィーン当日。事前には多くの人出も懸念されましたが、ふたを開けてみれば来街者は大幅に減。 コロナ禍でハロウィーンの人出が大幅に減った渋谷の街(画像:写真AC)「身動きが取れないほどの混雑」 「痴漢やスリ、暴行などで逮捕者相次ぐ」 などと報じられた2019年とは様変わりし、渋谷駅周辺での車両通行止めも行なわれず、翌朝時点までの逮捕者も無し。 新型コロナウイルスの影響などにより、“密”や混乱を避け来訪を控えた人が多かったとみられます。 全体の人出も67%減 実際、人出はどの程度減ったのでしょうか。 クロスロケーションズ(渋谷区恵比寿南)が自社開発の位置情報ビッグデータ解析機能「デイリー来訪速報」を使って行った調査によると、ハロウィーン当日夜(18時~23時59分)の渋谷の人出は、2019年比で67%も減少。 また、仮装を好むと考えられる若者世代(30代以下)は63%の減。同じく30代以下を男女別で見ると、男性は64%減、女性は60%減となりました。 調査の対象となったのは、渋谷スクランブル交差点など渋谷区により道路・公園などの公共の場での飲酒を禁止されたエリア。 以前であればイベントなどに合わせて多くの人が訪れていた同エリアは、2020年4月の緊急事態宣言以降、土日の人出が平日と比べて大きく減るなど、コロナ前後で明確な違いが表れていました。 コロナの影響で出控えコロナの影響で出控え ただ、ハロウィーン当日(2020年10月31日)を直近の10月第1~4週の週末平均と比べると、人出は約20%増だったとのこと。 これについて同社の広報担当者は、 「確かに10月のほかの週末と比べれば人出は増えましたが、コロナ拡大以前の週末イベント開催時と比べれば少ないという印象です。やはりコロナの影響で(渋谷への)外出を控える人が多かったのではないでしょうか」 と印象を語ります。 ハロウィーン下火を喜ぶ声も 渋谷ハロウィーンの変化は他にも。人出が減っただけでなく、来街者の中で仮装をしていた人もずいぶん少なくなったという報道がもっぱらです。 ハロウィーンの仮装をして楽しむ小さな子ども(画像:写真AC) ハロウィーンに仮装をして外出するという近年のトレンドそのものにも、あらためて疑問が呈され、ネット上では 「コロナ禍で、渋谷ハロウィーンで騒ぐのカッコ悪いみたいな風潮できたのちょっとうれしい」 「そもそも大人が仮装して練り歩くためのイベントじゃないもんね」 「わざわざ街で騒がないで、内輪でスマートに楽しめばいいじゃない」 「このムードが定着してほしい」 といった意見が数多く見られます。 今後のイベントを考える機会に今後のイベントを考える機会に 一方、コロナで長引く自粛や出控えの影響で、「そろそろ思いきりレジャーを楽しみたい」「また仲間や大勢で集まりたい」といった願望が聞かれるのも確か。 先述の調査を行ったクロスロケーションズ担当者も、 「東京都のコロナ新規感染者数は今も連日報道されていますし、3密を避けようという人々の意識は引き続き高く、以前のように大勢が集まるイベントはなかなか戻らないかもしれません。ただ、仲間と集まる楽しみ方がそのものが無くなるわけではありませんし、今回の調査結果だけをもって『ハロウィーン離れ』か否かを判断するのは難しそうです」。 オンラインで楽しむイベントはコロナ禍で定着(画像:写真AC) 2020年はハロウィーン期間中に渋谷区公認配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」内でハロウィーンフェスが開かれ、6日間で約40万人が参加。 コロナ禍で進んだ、オンライン上でイベントを楽しむスタイルがハロウィーンにおいても一定の成果を残しました。 こうした開催形式が2021年以降も拡大していくことは十分考えられ、安全・安心を確保しながら思い思いのハロウィーンを楽しむ方法としていっそう定着していくかもしれません。 「イベントを楽しむことそのものが悪いことなわけではなくて、行き過ぎて騒動を起こすことが問題だった」 といった声もあるように、イベントへの参加の仕方・楽しみ方を考えるうえで重要な機会となるのではないでしょうか。
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