金魚すくいが人気の「江戸川区特産金魚まつり」
江戸川区では毎年夏に「江戸川区特産金魚まつり」が行われています。同区の地場産業である金魚養殖をアピールするのが目的で、2018年は7月21日(土)と22日(日)に開催されました。
会場となった、江戸川区北葛西の行船(ぎょうせん)公園では、区内の金魚養殖業者などが加入する東京都淡水魚養殖漁業協同組合が金魚の即売会を開催したほか、金魚すくいや地元農産物の販売なども行われ、多くの親子連れなどでにぎわいました。
なかでも金魚すくいは特に人気で、7月22日はイベント開始の1時間以上前から多くの人たちが列を作り、オープンと同時に金魚の入った各ブースへと駆け込んでいました。ほかにも、東京都島しょ農林水産総合センターの職員が、夏場の水温対策といった金魚の飼育に関するアドバイスを来場者に行っていました。
年間5万匹の高級金魚を生産
そもそも、江戸川区ではなぜ金魚の養殖が行われているのでしょうか。
同区によると、江戸時代の中ごろ、江戸の城下町で金魚が人気になったのがその始まりで、当時の養殖は街の中心部で行われていたといいます。
その後、時代は明治へ。養殖の中心は東に移動し、本所(現・墨田区)と深川(現・江東区)となりましたが、金魚の需要はさらに高まり、さらに東となる亀戸、大島、砂町方面へ移ります。しかし、1923(大正12)年9月の関東大震災以降、砂町の一帯が工業化したため、広い土地と良い水質を求めて江戸川区に移り、現在に至っているそうです。
江戸川区によると、金魚の養殖は戦後ふたたび盛んになり、海外へも輸出するようになったとのこと。この時期には区内の大規模養殖家が復活し、区外の養殖業者がほとんど卸専門となったことにより、江戸川区は全国でも有数の金魚生産地に。
「昭和30年代からの都市化によって、区内の養殖業者が他県へ移転したり、転廃業するなどしていますが、毎年開催されている日本観賞魚フェアにおいて居並ぶ競合魚の前で見事、農林水産大臣賞を獲得するなど江戸川区の伝統は今でも脈々と息づいています」(江戸川区)
江戸川独自の品種「江戸川リュウキン」
江戸川区内では現在、3軒の養殖場で、独自品種の「江戸川リュウキン」をメインに、年間5万匹の高級金魚を生産しています。「江戸川リュウキン」は、丸々としながらも丈夫で筋肉質な体と優雅な泳ぎ姿が特徴です。開発したのは、東京都淡水魚養殖漁業協同組合の代表理事で、自らも区内で堀口養魚場を営む堀口英明さん(67歳)の父・篤次さんです。ちなみに、エサは大釜で煮た大麦の糠(ぬか)だそうです。
「金魚は成長するにつれて、色彩が鮮やかになったり、丸い形が細長くなったりと、色や形が変化します。飼う楽しみは人それぞれ。それが一番の魅力ですね」(英明さん)
なお、4月から11月までほぼ毎週木曜に、金魚の競りが行われており、一般見学もできるとのこと。江戸川区の金魚に興味を持った人は、こちらも見に行ってみるのも面白いかもしれませんね。