外食時、子どもにスマホを渡す親は「最悪」なの? 長嶋一茂さんの発言を考える
テレビ番組で飛び出した、元プロ野球選手の長嶋一茂さんによる、外食時に「『子どもがうるさいからスマホを与えておけ』みたいな親は最悪だよ」発言は本当に正しいのでしょうか。3児のママライター・宮野茉莉子さんが、子育ての置かれた現状を通して持論を展開します。リフレッシュする暇がない乳幼児の育児 元プロ野球選手の長嶋一茂さんが2019年6月19日(水)放送の「長嶋一茂&石原良純のいきなりやってみた!」(テレビ東京系)で、外食時に「『子どもがうるさいからスマホを与えておけ』みたいな親は最悪だよ」と発言、大きな話題を呼びました。 確かに外食や買い物中、また、家で料理を作ったり、子どもがグズったりしたとき、スマホを見せるママは多いでしょう。スマホを見せて後ろめたい一方、「そうでもしないと困る」という場面があるのも事実です。 そんなスマホとどうやって付き合っていけば良いのか、3児の母親である筆者の目線で解説します。 外食時の子どものスマホ、そんなに悪いの?(画像:写真AC) 今回、「外食」が話題となりましたが、特にママにとって、外食は子育て中の「唯一」のリフレッシュタイムです。 子どもの食事介助をしたり、「味噌汁こぼしちゃった」と言う子どもの対応に追われたり、ママはゆっくり食事ができません。そんな筆者も3人目が1歳半になるまで、「冷めたご飯をかきこんで食べる」ような状態でした。 特に乳幼児の育児は、トイレさえも好きなタイミングに行けず、授乳や夜泣きで万年寝不足状態。自分の時間はもちろんゼロ。自由に外出もできず、授乳中はお酒も飲めません。 産前はリフレッシュタイムだったお風呂も、乳幼児と一緒だと1日で一番大変な時間に。子どもを洗うのに必死で、自分のシャンプーや保湿ができないほどです。 「リフレッシュ」と名の付くものはことごとくできない、それが乳幼児の育児期間です。「子どもを預ければいいのに」という声もありますが、実家が遠い人も多く、また子どもが大泣きするので一時保育にも預けにくいというのが現状です。 そんなママにとって、外食は唯一と言えるほどの楽しみですから、ゆっくり味わうべきでしょう。そしてきちんとリフレッシュしてから、毎日の育児に戻ってほしいと思います。 「誰かもうひとりいれば」が叶わない「誰かもうひとりいれば」が叶わない 食事中の子どもに対して「静かにすること」を教えるのはしつけですし、正論です。しかし、教えれば「理解し始める」のは3~4歳頃で、本当の意味で理解するのはさらに先。教えれば「理解する」までには、それ相応の経験と成長が必要なのです。 子どもの成長には時間がかかる(画像:写真AC) 実際、子どもにスマホを見せていても、「後ろめたい」「周りの目が痛い」「本当は見せたくない」と感じるママもいます。スマホの代わりに「誰かもうひとりいてくれれば」と思っても、それすら叶わないのが現代育児。パパも協力する必要はありますが、夫婦ともに疲れているケースも多いのです。 スマホにはデメリットもあればメリットもあり、一概悪いとは言えません。スマホから知識を得ることも多いため、大切なのは「スマホとの付き合い方」ではないでしょうか。子どもが依存せず、健康に影響が出ない範囲で、また、ママが後ろめたさを感じない程度の付き合い方を考えましょう。 漠然と見せるのでは不安も増大するので、スマホの「使用場面と時間」を決めましょう。ママが料理中に見せると決めたり、1日〇分と決めれば、スマホをだらだら見ずに済み、子どもの中でスマホの利用ルールが出来上がります。 絵本やオモチャ、お絵かきで対応する方法もあります。ただ外食は 1.注文を決める 2.食事を待つ 3.子どもに食事介助をする 4.親が食事をする と、時間が長くなりがち。ということで、筆者は親がゆっくりご飯を食べている間、子どもにスマホを見せても問題ないと思っています。 スマホを見せないことで逆にストレスを感じるくらいなら、思い切ってスマホを見せて、ママにはリフレッシュしてほしい。罪悪感を感じるのであれば、時々見せればいいのです。 5歳、6歳、小学生……と年齢が上がってくれば、子どもはレストランで騒いではいけないことを理解し、徐々に待っていられるようになります。「外食中のスマホ」は永久に続くわけではないのです。 ギリギリになるまで我慢を溜め込み、頑張り過ぎる日本女性こそ、ストレス軽減のためにスマホを賢く使ってはいかがでしょうか。「ここでスマホを見せてでもリフレッシュしないと、毎日の育児で煮詰まってしまう」と自分を客観的に観察しないと、現代のワンオペ育児は辛すぎます。 子どもたちの時代は、スマホが存在して当たり前のものになります。子どもがスマホとうまく付き合えるよう、育児にうまく取り入れていきたいものです。 最後にひとつ。スマホを利用した子どもに「何を見たの?」と聞いたり、感想を聞くなどして、会話に繋げるのも楽しいですよ。
- ライフ