レトロ商店街から自然あふれる公園まで 都電荒川線沿線を歩く 三ノ輪橋~荒川車庫前編
現存する唯一の都電「荒川線」。三ノ輪橋停留場と早稲田停留場を結ぶ同線の沿線散歩について、サンポマスターの下関マグロさんが3回にわけて解説します。路面電車は散歩の道しるべになる かつて東京の市街地を網の目のように走っていた路面電車ですが、今は都電荒川線を残すのみになっています。 路面電車はその名前の通り路面を走っているので、散歩の道しるべにもなります。 地下鉄の場合、よく知らない駅で地上にあがると目的の場所はどちらに歩けばいいのかわからないことがしばしばあります。しかし路面電車は地上を走っているので、自分が今いる場所や進む方向はよくわかるのです。 都電荒川線は、三ノ輪橋停留場(荒川区南千住)から早稲田停留場(新宿区西早稲田)までをつなぐ全長12.2km。そのため沿線だけを歩けば半日もかかりませんが、お散歩しながら歩くにはけっこうな距離になります。 というわけで、3回にわたってその魅力をお伝えしようと思います。今回は三ノ輪橋~荒川車庫前までです。 各停留場を区別する01~30までの番号 というわけで、久しぶりに都電荒川線の沿線を歩いてみようと思い、三ノ輪橋停留場へ行ってみました。 都電荒川線の車両と、どことなくレトロな雰囲気の三ノ輪橋停留場(画像:下関マグロ) ちなみに、路面電車は「駅」ではなく「停留場」。行ってみると、停留場の看板が「東京さくらトラム」になっていました。都電荒川線の愛称は「東京さくらトラム」になったのですね。 なんだかしっくりこないのですが、よく見ると各停留場には「SA」の次に番号が入り、各停留場を区別しているようです。例えば、三ノ輪橋なら「SA01」で早稲田が「SA30」です。これで、都電荒川線の停留場が30あることがわかりますね。 ちなみに早稲田と三ノ輪橋、どちらが始発でどちらが終点なのでしょうか。 散歩はどこから始めるのがベスト?散歩はどこから始めるのがベスト? 答えは、どちらも始発で終点なのだそうです。車内アナウンスでもそれぞれ「次は終点~」と放送されます。 しかし、この番号のつけ方を見ていると三ノ輪橋が01で早稲田が30なので、どうしても三ノ輪橋から歩きたくなってしまいます。三ノ輪橋のアクセスは東京メトロ日比谷線「三ノ輪駅」から歩いてすぐの場所にあります。 もちろん都電荒川線の散歩は、どこから始めてもかまいません。JRと連絡のいい大塚駅前や王子駅前から始めてもいいのでしょう。 そんななか、筆者がおすすめしたいのは三ノ輪橋。なぜかというと、三ノ輪橋には「三ノ輪橋おもいで館」という施設があって、そこで都電1日乗車券が売られているからです。 3回以上乗るなら1日乗車券のほうがお得 三ノ輪橋おもいで館で買える1日乗車券はとてもアナログで、裏側にカレンダーがあり、スクラッチシールになっていて、使用する日を削るようになっています。 乗るときはこのスクラッチ部分を乗務員さんに見せます。前売り券で、有効期間は6か月間。使う日に、その日の日付部分を削ればいいのです。 都電1日乗車券は400円。1回の乗車が170円なので、3回以上乗るならこちらが便利(画像:下関マグロ) 都電荒川線はどれだけ乗っても1回につき170円なので、3回以上乗るなら1日乗車券のほうがお得です。 SuicaやPASMOで購入できる「IC1日乗車券」も便利です。こちらは、最初に乗るときに「1日乗車券をください」と乗務員さんに伝えれば対応してくれます。こちらも400円。一度購入すれば、その日中は利用できます。 ジョイフル三ノ輪はレトロで懐かしいジョイフル三ノ輪はレトロで懐かしい さて三ノ輪橋からですと、ぜひ訪れていただきたいのがジョイフル三ノ輪という商店街です。 商店街は都電荒川線と並行して伸びていて、SA02の「荒川一中前(ジョイフル三ノ輪前)」まで続きます。わざわざ「ジョイフル三ノ輪前」と付けられているように、商店街へのアクセスは荒川一中前のほうがいいかもしれません。 いずれにせよ、ここはぜひ商店街を歩きたいところです。 「荒川一中前(ジョイフル三ノ輪前)」の停留場からすぐの場所に商店街の入り口がある(画像:下関マグロ) 商店街のゲート部分は都電荒川線が描かれています。まさに、都電荒川線の商店街という感じです。ちょっとレトロなこの商店街には、飲食店やパン屋さん、お総菜屋さんが多数あります。 町屋駅前から都道306号の真ん中を走行 停留場は「荒川区役所前」「荒川二丁目(ゆいの森あらかわ前)」「荒川七丁目」と続きます。 荒川二丁目からは、自然たっぷりの荒川自然公園(荒川区荒川)が近いですね。ジョイフル三ノ輪で買ったお総菜やお弁当をここで食べるのもいいかもしれません。 そして、SA06の「町屋駅前」に出ます。ここは東京メトロ千代田線・京成本線「町屋駅」への乗り換えが可能なので昇降客も多いです。また飲食店なども多く、駅前から続く商店街もあります。 この町屋駅前からまっすぐな道(都道306号)の真ん中を、都電荒川線は走っていきます。ところどころに踏切がありますが、都電荒川線は1両だけなので、踏切はすぐにあがります。 「町屋駅前」周辺の様子。道の真ん中を都電荒川線が走っている(画像:(C)Google)「町屋二丁目」「東尾久三丁目」「宮ノ前」「熊野前(首都大学東京荒川キャンパス前)」「小台」「荒川遊園地前」と続きます。あらかわ遊園(荒川区西尾久)は現在、2021年夏のリニューアルオープンのため閉園中です。 荒川車庫前には都電の資料展示施設も荒川車庫前には都電の資料展示施設も そして次が、都電荒川線の中でもハイライトといえるSA13の「荒川車庫前」です。 名前の通り、車庫。電車がたくさんいます。筆者(下関マグロ。サンポマスター)は電車について詳しくありませんが、好きな人にはたまらないでしょう。 土日祝日だったら、併設されている「都電おもいで広場」に寄ってみましょう。 「都電おもいで広場」は車両そのものが博物館のようになっていて、都電に関するさまざまな資料が展示されている(画像:下関マグロ) 入場は無料。土日祝日の10時から16時まで開場しています(振替休日を含む)。また、年末年始(12月29日から1月3日まで)は休場しています。場内にはひとつの車両がそのまま博物館のようになっていて、都電に関する資料などが展示されています。 以上、都電荒川線の荒川区部分の三ノ輪橋~荒川車庫前をざっと紹介してきました。次回は北区へと進んでいきます。
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