司法書士の口述試験ってどんな対策が必要?落ちないって本当?

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司法書士の口述試験ってどんな対策が必要?落ちないって本当?

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なぜ、司法書士の口述試験は「落ちない」と言われるのか。口述試験の日程や会場、当日の持ち物、試験内容、試験官の質問傾向や対策法からその理由に迫り、司法書士新人研修の種類や内容、効率的な求人情報の集め方など、口述試験合格後の流れを解説します。

 合格率はほぼ100%。司法書士の口述試験は基本的に落ちないというのが定説です。しかしながら、試験である以上は実力が試されることもまた事実。受験生は一抹の不安を感じることでしょう。

 以下では、口述試験に対する不安を和らげ、自信を持って本番に臨めるように、試験の概要から、合格率がほぼ100%である理由、合格後の研修と就職について解説します。

司法書士の口述試験の概要

 口述試験は、筆記試験の合格者を対象とした司法書士試験の最終関門です。受験者は2人の面接官からの質問に口頭で答えることで、司法書士としての資質と能力を備えていることを示します。出題範囲は主に司法書士法、不動産登記法、商業登記法です。

司法書士口述試験の日程

 口述試験は10月中旬から下旬の平日に実施されます。合格発表日からおおよそ2週間後が通例です。日程を含む試験の情報は、例年4月上旬に法務省から発表される試験概要で開示されます。

 日曜日に実施される筆記試験とは違い、口述試験では平日が指定されます。社会人の受験生は休暇を取得できるように調整しておく必要があるでしょう。

 口述試験は午前の部と午後の部に分けて実施されます。どちらで受験するかで集合時間が変わります。振り分けは法務局から郵送される受験票に記載されており、受験者が選択することはできません

司法書士口述試験の受験資格

 口述試験の受験資格は、筆記試験の合格者に与えられます。

 筆記試験の合格者は、口述試験を受験できなかったり落ちてしまった場合でも、免除制度を利用することで、翌年は口述試験から受験することができます。

 ただし、免除を受けるには申請が必要です。万が一の場合には申請を忘れないように注意しましょう。

試験会場はどこ?

 口述試験の会場は、願書提出時に選んだ受験地によって決められます。筆記試験は15都市の会場で実施されますが、口述試験では8都市に絞られます。

 横浜、さいたま、千葉、静岡を受験地に選んだ人は東京の会場、京都、神戸の方は大阪の会場、那覇の人は福岡の会場で口述試験を受けることになります。ですから、口述試験会場から離れた地域にお住まいの人は、会場の都市への前泊も検討して準備を進める必要があるでしょう。

 また、受験生は口述試験の会場を指定することができません。引越しなど、生活拠点の移転を予定している場合には、試験の日程を加味して慎重に受験地を選びましょう。

受験地口述試験会場
東京、横浜、さいたま、千葉、静岡東京
大阪、京都、神戸大阪
名古屋名古屋
広島広島
福岡、那覇福岡
仙台仙台
札幌札幌
高松高松

服装や持ち物は?

 試験当日の服装に指定はありませんので、身だしなみの整った服装で試験に臨みましょう。大半の受験者はスーツを着用しています。

 受験するためには口述試験受験票と筆記用具が必要です。なお、筆記用具は黒インクのボールペン、もしくは万年筆であることが規定されています。

具体的な試験内容は?

 口述試験は、2人の面接官からの質問に、1人の受験者が口頭で答える形で進められます。試験時間は10分〜15分程度です。主に司法書士法、不動産登記法、商業登記法の内容から出題されます。受験者は質問に対し明快な論理で説明し、解答します。

 出題範囲は筆記試験のために学習した内容と大きく重なっています。質問の難易度は筆記試験を合格した実力があれば、なんなく答えられる程度です。

 司法書士法の目的や、第1条「司法書士の使命」、第2条「職責」については口述試験の定番と言われるほどよく出る質問ですので、しっかり復習しておきましょう。

 また頭では理解しているのに言葉に詰まることは大いに考えられますので、想定される質問への解答は声に出して練習しておいたり、予備校の口述試験対策や模擬試験を利用して、口答に慣れておくのも1つの手です。

司法書士の口述試験の合格率はほぼ100%

 口述試験の合格率は毎年ほぼ100%を記録しており、基本的には落ちないことを示しています。筆記試験の合格者に対して口述試験の合格者がわずかに少ない理由は、止むに止まれぬ事情があって試験を受けられなかった人がいるためであると推測されています。

 口述試験は筆記試験を突破した人にとって、確実に合格できると言って差し支えのない難易度です。たとえ質問に即答できなかったとしても、試験官が質問の仕方を変えるなど、助け舟を出してくれたという報告もあります。

 それでも実施されるのは、受験者が司法書士の実務に足る知識を備えているかを確認する「門出の儀式的な側面」を持っているためであるとも言われています。

 試験官の質問をしっかり聞き、学んだ知識を元に落ち着いて受け答えができれば、恐るるに足らない試験であることを覚えておきましょう。

司法書士の口述試験の合格後の流れ

 「司法書士は、その所属する司法書士会及び日本司法書士会連合会が実施する研修を受け資質の向上を図るように努めなければならない」ことが司法書士法第25条に定められています。

 
 新人研修は、新たに司法書士となる人が“職責及び社会的使命を自覚するとともに、法律に関する理論及び実務を身につける”ことを目的として実施される研修です。

 

 対象は司法書士登録をし、司法書士会への1年以内の入会を予定している人です。

 

 「中央研修」「ブロック研修」「司法書士会新人研修」の3種類があり、合格発表後の12月頃から実施されるのが慣例です。新人研修が修了すると、認定司法書士を目指す方を対象とした「特別研修」が始まります。

研修の種類内容費用
中央新人研修司法書士制度の成り立ちや、現在の主要な業務、職務を遂行する上での心構えなど、司法書士としての基礎を学ぶ研修。44,000円
ブロック研修各ブロックの主導で実施される研修。実務に直結した内容で、現場において必要とされる知識の習得を目的にした研修。33,000円
司法書士会新人研修
(配属研修・集合研修)
全国各地の司法書士会ごとに、より現場に近い内容の研修を実施。配属研修では司法書士事務所に配属されて、実務を学ぶ。各司法書士会によって異なる
特別研修簡易裁判の代理業務に関する知見を深めることを目的とした研修。修了すると、認定司法書士の受験資格を得られる。145,000円

 新人研修だけで少なくとも7万7千円、特別研修まで受けると20万円を超える高額な出費となります。

 しかしながら、同期合格者との繋がりができることは今後の司法書士人生に大きなプラスになりますし、実務や独立についての情報収集ができる貴重な機会にもなります。

 司法書士会によっては「司法書士会新人研修」を修了することが司法書士登録をするための条件となっている場合もあります。

 以上のことを考えれば、合格した年に申し込むのが得策であることは明白です。

司法書士の求人情報は早いもの勝ち

 司法書士の求人情報探しは早ければ早いほど大きなアドバンテージを得られます。

 なぜなら司法書士の求人件数は、合格発表がある10月〜11月に最も多くなるからです。転職エージェントや予備校が主催する合同説明会が同じ時期に集中していることからも、合格発表から早期であるほど選択肢を多く持てることがわかります。

 条件の良い求人や人気の事務所や会社ほど、求人期間は短くなりがちです。機を逃さず、万全の準備をして応募するためにも、自らが望む求人情報をできるだけ早く入手できるように心がけましょう

 筆記試験を突破すると「合格見込み者」として就職活動を始めることができます。就職活動を有利に進めるためにも、筆記試験の合格発表がある10月までに「どのような勤務先で、どのような業務をしたいのか」をまとめておくと良いでしょう。

 採用後に新人研修に配慮してくれる事務所や会社も多くあります。そういった勤務先から早い段階で内定を得ることができれば、実務と並行して新人研修を受けることができるメリットがあります。

まとめ

 司法書士の最大の難所は筆記試験です。筆記試験に合格することができたのなら、口述試験を恐れる必要はありません

 質問の傾向も明らかですので、要所を押さえた復習と口答の練習を積みましょう。あとは当日、質問をよく聞き、自信をもって受け答えをするだけです。そうすれば自然と最終合格への道は開かれるでしょう。

 また、口述試験対策と並行して進めておくべきなのは、自分がどのような司法書士になりたいのかという、「目標」を明確にしておくことです。

 目標が見えていれば、求人情報の収集も効率的に進められますし、新人研修などにも目的意識を持って臨めます。。

 「あらかじめ目標を見定めておき、速やかな一歩を踏み出すこと」


 一見して地味ですし、当たり前のことのように聞こえてしまいますが、それこそが理想の司法書士像に近づくための最短ルートなのです。

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