行政書士の登録をしないとどうなる?登録料や履歴書の書き方まで徹底解説

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行政書士の登録をしないとどうなる?登録料や履歴書の書き方まで徹底解説

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行政書士の登録をしないとどうなるのでしょうか。本記事では、「行政書士の資格を持っているだけで登録をしていない場合どうなるのか」や、「仕事に役立つのか」などを解説しています。行政書士登録のデメリットについても解説しているので、登録を迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

 行政書士の試験に合格すると、行政書士登録が可能になります。

 しかし、中には

 「登録にかかる費用が高すぎる」
 「メリットがあまり感じられない」
 「必ず登録しないといけないの?」

 といった不満や疑問を抱えている方もいるでしょう。ネガティブな発想をあいまいなまま持ち続けていると、進路を考える上での壁になってしまうことがあります。

 この記事では行政書士登録の必要性や登録している人の割合、デメリットなどを解説します。

行政書士の登録をしないとどうなる?

 行政書士として行政書士法人で仕事をしたり、独立するためには、行政書士登録しなければなりません

 登録するには書類提出や事務所を開設した上で審査を受け、通れば会員費を支払い続けていく必要があります。ただし更新や登録期限がありませんので、資格取得後すぐに登録する必要はありません。

 また、一般企業で会社員として働く中で法律の知識を生かすだけであれば、登録の必要はありません

 法律の専門家である行政書士試験に合格したという実績だけで就職や転職に有利であるため、合格者の中には登録しない人も多いのです。

 それではどういった人に登録が必要で、行政書士登録をしない場合はどうなるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

行政書士として働くことができない

 行政書士の登録をしていないと、行政書士と名乗って仕事することはできません。そのため、士業でなければ行うことのできない職務上請求などの仕事は遂行できないのです。

 登録していないにもかかわらず、行政書士の業務を行ってしまったり、行政書士を名乗ってしまうと違法になります。

 また、行政書士法人や事務所で働く場合でも、行政書士として勤務することはできません。行政書士補助者や事務員として働きます。

 もちろん、行政書士としての知識を活かすことはできますが、行政書士と名乗れないため、どうしても補佐的な仕事に留まってしまいます

名刺や履歴書に記載ができない

 また、名刺や履歴書へは「行政書士」と記載できません。

 名刺に行政書士の資格について記載する場合は、試験に合格していて未登録の人は「行政書士試験合格」や「行政書士試験合格者」と記載すれば問題ありません

 履歴書に記載する場合も同様で、登録が済んでいる人は「行政書士資格取得」、試験に合格した未登録の人は「行政書士試験合格者」と記載します。

行政書士の研修会やイベントに参加できない

 会員登録済みの行政書士のみが参加できる研修会や勉強会、懇親会などがありますが、行政書士登録をしていない人は参加ができません。

 研修会やイベントに参加できないと法改正や実務の情報を入手しそびれたり、法改正に気づくのが遅れてしまう原因ともなりかねません。

 行政書士は法律を扱う仕事なので、常に最新の法律事情にアンテナを張り、敏感である必要があります。

 将来的に士業として働くことを視野に入れている場合、登録しておけば法改正のたびに新法のマニュアルを受け取ることもできますので、効率よく最新情報が入手できます。

 法改正は「知らなかった」では済まないので、知識のアップデートを欠かさないようにしましょう。法改正は頻繁に行われ、いつでも最新情報にアクセスできるようにするのは容易ではないため、研修会やイベントに参加できることはメリットになるといえます。

士業同士と繋がりにくい

 上記のような行政書士向けの集まりに参加していないと、どうしても士業同士で繋がりにくくなります。

 一般に開催されているイベントは少ないため、行政書士向けの会は士業同士の繋がりを作るには絶好の機会です。このような勉強会や研修会、懇親会は人脈作りを目的に参加する士業の方も多く、イベントに参加できないのは、人脈が大事な行政書士にとっては大きなデメリットなのです。

 将来独立したいと考えている場合は、より一層人脈作りが大事になるので、早めに登録して、士業同士の繋がりを作りましょう。

行政書士バッジがもらえない

行政書士バッジ(画像:PhotoAC)

 行政書士バッジは、開業に必要な道具の一つとされています。

 事務所を置く都道府県の行政書士会へ申請を行い、登録が認められれば、行政書士バッジがもらえます。業務を行う際には着用する義務があります。

 また、大手行政書士事務所や行政書士法人には、アシスタントである行政書士補助者が存在します。行政書士補助者も行政書士同様、行政書士会への登録が必要です。

 書類請求代行などの業務で官公庁などに訪れる際には補助者証を提示する必要があり、バッジを身に着けなければなりません。

行政書士は合格しても登録しない人が大半?

 令和3年度行政書士試験の合格者は5,353人、一方で令和3年6月末日時点から1年後の令和4年6月末日の行政書士登録者数の増加は812名でした。

 この1年間に登録した人がすべて令和3年度の合格者だったと仮定すると、行政書士の資格試験に合格しても登録している人は20%にも満たないことがわかります。

 812名という数字の中には、令和3年度以前の試験に合格していて、時間が経ってから登録した人も一定数いることが考えられるため、合格してもすぐに登録する人が少ない状況です。

 大勢が行政書士の試験には合格していても、行政登録登録をしている人があまり多くありません。試験に合格していて、かつ登録をしている人は半数以下なのではないかと推測できます。

行政書士の資格は持っているだけで十分

 行政書士の資格は、試験に合格しているだけで就職や転職に有利です。登録の有無は知識の差には基本的に関わらないため、一般企業で会社員として知識を活かして働く分には登録は必要ありません。

 行政書士の試験に合格してから実務の経験がなくても、資格の価値は十分に発揮されます。

 また、行政書士の登録は資格の更新期限や登録期限がなく、一度試験に合格していればいつでも登録できます。

 つまり、試験に合格したからといって、すぐに行政書士として働かないのであれば、試験合格直後に登録をする必要もありません。

 独立や開業を検討していない場合、行政書士登録にはメリットが少なく、行政書士の資格は持っているだけで十分なのです。

行政書士の登録をするデメリット

 行政書士の登録は、手続きが煩雑という点や、登録料や年会費などお金がかかるといったデメリットがあります。詳しく解説していきましょう。

登録料と年会費がかかる

 行政書士の登録には、登録料(登録手数料と入会金)と年会費が必要です。登録料や会費は登録する都道府県の行政書士会によって異なり、登録する行政書士会は事務所の所在地によって決定します。

 東京都の場合は、登録に22万5,000円がかかります。内訳としては、登録手数料2万5,000円、入会金に20万円です。事前に指定口座への振り込みが必要で、分割払いはできません。

 会費は月7,000円(行政書士会6,000円、政治連盟1,000円)がかかり、年間にすると8万4,000円必要です。

 さらに登録免許税(3万円)や行政書士バッジ(3,000円程度〜)、名刺、職印なども必要になるため、初年度は行政書士登録関連の費用だけで30万円以上がかかります。

登録の手続きが煩雑

 行政書士の登録は、登録料などを支払った上で審査を受けなければなりません。審査にはおよそ1カ月前後かかるとされ、書類提出は予約制です。

 試験の合格発表直後は予約が殺到するため、書類提出の予約を取ることにも苦労します。

 また登録のために必要な書類も多く、書類提出までにも準備が必要です。登録に必要な書類は以下の通りです(東京都行政書士会の場合)。

  • 行政書士登録申請書
  • 履歴書(連合会規定用紙)
  • 誓約書(連合会規定用紙)
  • 東京都行政書士会入会届
  • 事務所写真(規定の写真貼付用紙)
  • 東京行政書士政治連盟加入届
  • 行政書士の資格を証する書面
  • 住民票
  • 身分証明書
  • 顔写真
  • 事務所の使用権を証する書面

行政書士としての責任が発生する

 行政書士として働くと、行政法に基づく責任や義務が発生します。また、行政書士としての基本姿勢である行政書士倫理を守らなくてはいけません。

 行政法には書類の保管期限やその他業務における細かい決まりがあります。行政書士として仕事をする以上、これらの細かい法律や行政書士倫理に準ずる行動が求められます。

 さらに、他士業の業務にうっかり接触してしまわないように注意も必要です。

 相続手続など暮らしの法的手続きから、許認可申請など企業の経営に関わる相談に至るまで、行政書士の業務はやりがいを感じられることが多い反面、責任が重い仕事です。

 行政書士として仕事をする場合は、その責任を十分に理解しておく必要があります。

行政書士の登録に関するよくある質問

 行政書士の登録に関する、よくある質問を探しました。こちらでは、その中でも代表的な候補をお渡しします。

肩書きが欲しいので行政書士に登録したい

 肩書きが欲しいだけで登録申請すると、審査の段階で登録拒否となる可能性があります。

 また、行政書士として登録するには、事務所の使用権を証する書類や多額の登録料などが必要となるため、肩書きが欲しいだけの理由で登録するのは、手間とコストが見合いません。

 たとえ登録申請ができたとしても、審査があり、開業前の事務所調査が行われます。

 事務所調査は、守秘義務が保てる設備が整っているかや、行政書士としての職務を遂行できるかなど行政書士の事務所として問題ないかを調査するものです。

 審査を通過しないと、行政書士試験に合格していても登録は行えないため、肩書きだけのために、行政書士登録を行うというのは現実的ではありません。

登録の期限はあるの?

 行政書士登録に期限はありません。また他の資格ではよくある資格更新期限などもないため、行政書士の試験に一度合格すれば、その資格は一生涯使えます。

 行政書士の試験に合格後、すぐに登録する必要はなく、他の仕事をしたり、試験合格で得た知識を活かして働いたりできます。

 その後、行政書士として開業・独立を考えるようになったタイミングに行政書士登録を行えば問題ありません。

まとめ

 行政書士資格試験に合格した後の登録の必要性について解説してきました。

 登録すれば士業としてさまざまなメリットがある反面、事務所を構える賃料も発生するなど、デメリットも大きいため、登録を行う人の割合は合格者のうち半数以下となっています。

 また、更新や期限はないため、必ずしもすぐに行政書士の登録を行う必要はなく、行政書士として働くタイミングで登録申請を行えば問題ありません。

 しかし、行政書士の試験に合格しただけでの状態で、行政書士であると名乗ったり、仕事をすることは法律で禁止されています。

 一般企業の法務部などへの就職や転職の際、履歴書への記載は試験合格者であるという表記にとどめましょう。

 独立開業したり雇われ行政書士として業務を行う場合は必ず登録を行わなければなりませんが、登録を行うには、登録料と会費、事業所を準備した上で提出書類をそろえ、登録申請を行う必要があります。

 登録には審査もあり、登録後は毎月会費を納めなくてはなりません。初年度は、登録料と年会費だけでも30万円以上かかる上に、手続きも煩雑です。

 行政書士資格は登録せずとも就職において効力を発揮する資格です。

 独立するには経営面での課題もクリアしなくてはならないため、登録を迷う場合は、行政書士事務所や企業で経験を積んだうえで検討することをおすすめします。

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