自然の少ない東京が「公園数No.1」の理由

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自然の少ない東京が「公園数No.1」の理由

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日野京子

エデュケーショナルライター

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子どものころ毎日のように遊びに行った公園。そんな公園の歴史と東京都内の公園について、エデュケーショナルライターの日野京子さんが解説します。

 「公園」と聞くと、小学校の時に集まった地元の公園から整備された都市公園、広大な敷地を誇る国営公園と人によって思い浮かべる「公園」は異なります。とはいえ、「緑がある憩いの場」というのは誰しもが抱く公園のイメージではないでしょうか。

人々を癒す憩いの場・公園(画像:写真AC)



 大小さまざまな公園が日本全国にありますが、実は日本で一番公園の数が多い自治体は東京都なのです。

 東京都が毎年公表している「公園調書」によると、「都市公園」や「都市公園以外の公園」、「公団や公社が設置する公園」などを合わせると1万2042もの公園が東京都には存在しているのです。(2021年4月1日現在)

 47都道府県の面積ランキングで45位という東京都の中に1万2000を超す数の公園があるというのは驚くばかりですが、憩いの場としてだけではなく災害時の避難場所や火事の延焼を防ぐ役割もあります。そのため、東京都の公園の数が日本一多いのも頷けます。

 日本での公園の歴史は明治維新を機に近代国家への道を歩み始めた明治以降から始まりました。1873(明治6)年に太政官布達により公園設置が決定されたのが最初であり、東京には日本最古の公園が5つ誕生しました。

150年近くにわたり人々が集う歴史を誇る

 そもそも当時は「公園」という概念が日本になかったということもあり、何もない場所に一から公園を作ったわけではありません。いずれも江戸時代からの景勝地や有名な寺社仏閣の敷地内や境内を公園化していきました。

松島や天橋立もこういった景勝地の1つだ(画像:写真AC)

 5つのうち浅草寺境内や周辺に存在していた浅草公園は明治政府により1区から7区に区画整理され賑わいを見せましたが、戦後の法改正により公園扱いではなくなりました。

 浅草公園を除く他の4つは現在も公園として親しまれ、来年2023年は開園150年の節目の年を迎えることになります。

<今も残る日本最古の4公園>
・飛鳥山公園
東京都北区王子1-1-3
JR京浜東北線・王子駅から徒歩2分
東京さくらトラム(都電荒川線)・飛鳥山または王子駅前から徒歩2分
東京メトロ南北線・王子駅から徒歩3分

・上野恩賜公園
東京都台東区上野公園池之端3丁目
JR山手線、京浜東北線、高崎線、宇都宮線・上野駅から徒歩3分
東京メトロ銀座線・東京メトロ日比谷線・上野駅から徒歩3分
京成本線・京成上野駅から徒歩2分

・芝公園
東京都港区芝公園4-10-17
都営三田線・芝公園駅または御成門駅より徒歩3分
都営地下鉄大江戸線・赤羽橋駅より徒歩3分

・深川公園
東京都江東区富岡1-14
東京メトロ東西線・門前仲町駅から徒歩4分
都営地下鉄大江戸線・門前仲町駅から徒歩4分

どの公園も都心にありアクセスも良いので、天気の良い日はお出かけして季節の花々を鑑賞したりリフレッシュしたいですね。

23区内最多の公園数を誇る練馬区

 子どもの頃に慣れ親しんだ「近所の公園」は友だちと遊んだり、駄菓子を食べたりケンカをしたりと沢山の思い出が詰まっています。成長するにつれて公園で過ごす時間も短くなり、訪れる機会もなくなります。

 何とも寂しいことですが、それも自然なことです。「何となく昔の雰囲気を楽しめる公園に立ち寄ってみたいな」と言う時は練馬区に出かけてみるのはいかがでしょうか。

 同区には三宝池と石神井池の2つの池があり、自然豊かな「石神井公園」を筆頭に大中小の公園が698もあり、23区内で最多の公園数を誇ります。

練馬区には公園が多数存在する(画像:写真AC)



 他にも都心有数の広さを持つ「光が丘公園」は戦後、アメリカ軍の住居地「グラントハイツ」として使用された広大な跡地に作られた公園です。また同区では閉園した「としまえん」に「ハリーポッター」のテーマパークや防災公園を整備する計画が進められており注目を集めています。
 
 このように練馬区を代表する都市公園だけでなく周辺に地元の子ども達が遊ぶ小さな公園が点在しており、散策しながら「あの頃を思い出す」といった公園の雰囲気を楽しむことができます。

 無邪気に鬼ごっこをした日々には戻ることはできませんが、時には子どもの頃を思い出したりしてみてはいかがでしょうか。

・石神井公園
練馬区石神井台1-26-1
西武池袋線・石神井公園駅から徒歩10分

・光が丘公園
練馬区光が丘4-1-1
都営大江戸線・光が丘駅から徒歩10分
東京メトロ有楽町線・地下鉄赤塚駅から徒歩15分
進化している東京の公園
 街づくりをする上で、公園の存在は人々の憩いの場だけではなく緊急時に活用できる場へと多様化しています。余っている土地がほとんどないようにみえる東京都心でも防災公園のニーズが高まっています。

 2020年度に開園した都立高井戸公園(杉並区久我山2丁目)は緊急時に「かまど」として利用できるベンチや、災害時に使用できるトイレ設備が備わっています。

 人々の憩いの場だけではなく、時には多くの人を守る場所へと多様化している公園。懐かしさを感じつつ、改めて公園の役割を学ぶきっかけにもなりそうです。 

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