食べたいけど食べられない! 東京に絶対進出してほしい地方の「チェーン店」4選

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食べたいけど食べられない! 東京に絶対進出してほしい地方の「チェーン店」4選

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碓井益男

地方系ライター

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フードデリバリーの発達で、東京ではほとんど何でも食べられるようになりました。しかしローカルチェーンのメニューは例外です。今回はそんなメニューについて、1年の半分近く全国各地を取材で巡る地方系ライターの碓井益男さんが紹介します。

ローカルチェーンのメニューを東京で食べたい

 筆者はさまざまなデリバリーアプリを眺めていて、いつもこう思います。

「もはや、何でも届く時代だな……」

 皆さんご存じのとおり、東京には日本はおろか世界中の食べ物を扱うお店がたくさんあるため、デリバリーメニューの内容は本当に多彩で、恵まれた環境といえます。

 しかし、食べられないものも存在します。それは、東京に進出していないローカルチェーンのメニューです。現地ではメジャーなあの味を思い出すたびに、

「コロナ禍が一日も早く明けますように」

と願うばかり。というか、むしろ東京に進出してほしい!

 そんな願いを込めて今回は、1年の半分近く全国各地を取材で巡る地方系ライターの筆者が独断で選んだ、東京に進出してほしいローカルチェーンを紹介します。ローカルチェーン再考&最高!

1.みんなのテンホウ(長野県)

 みんなのテンホウは、長野県では超メジャーなチェーンです。

 元々は、初代が東京で学んだギョーザを経営する旅館の一角で販売したことからスタートしたこともあり、メインは中華料理となっています。ターゲットは独身男性向けと思いきや、どの店舗もひとり客から家族連れまで多彩な客層でにぎわっています。

みんなのテンホウのメニュー(画像:碓井益男)



 ギョーザは「鉄板」メニューで、定番の

・テンホウのぎょうざ
・野沢菜ぎょうざ

で迷うところ。さらに、パーコーメンならぬ「肉揚げラーメン」もお勧めです。

 と思ったら、南信(長野県の南部)でメジャーな「ソースカツ丼」もあります。あまりにメニューに迷うので、筆者は長野県を訪れたとき、1日に2回入店することも。とにかくなにを食べてもおいしいのですが、不思議なことに店の方針は

「あんまりおいしくしすぎないこと」

だといいます。特別感のある食事よりも

「今日は晩ご飯をつくるのが面倒だから、テンホウにいこう」

と、「食卓の延長」で利用してもらうことを目指しているとのこと。

 かつて、すかいらーくの創業者(諏訪市出身)から全国展開を提案されたこともありますが、無理のない範囲で営業するために断ったという逸話もあるため、今後も東京進出はまずあり得ません。コロナが治まったらまた訪れたいローカルチェーンです。

 ちなみに、ときどき登場する期間限定メニューでは意表をついた料理が出てくるのも地元では話題です。

 ということで、みんなのテンホウ最高!

2.資さんうどん(福岡県)

 香川県のコシが強い讃岐うどんとは対極をなす、福岡県の柔らかいうどん。そんな同県で存在感のあるローカルチェーンは

・牧のうどん
・ウエスト
・資さんうどん

の三つです。

 このなかで筆者が最も推したいのが、資さんうどん。

資さんうどんのメニュー(画像:碓井益男)



 北九州市のソウルフードともいわれるローカルチェーンですが、とにかくメニューが豊富。うどんやそばなどの麺類から、丼、カレーまでそろって、しかも24時間営業(現在は時短営業の店もあります)。お酒を飲んだ後に、シメで食べるうどんは最高です。思わず、肉うどんにごぼう天までトッピングしてしまいます。

 おいしいのは深夜だけではありません。朝から食べるうどんもこれまたおいしいのです。おまけに店内にはおでんの匂いも漂っているので、こちらも思わず注文。もちろん昼間もOK。ようは、1日3度の食事から、小腹がすいたときのファストフード機能まで満たしてくれるのです。ちなみに一週間ほど北九州市に滞在したとき、筆者は1日3回通いました。

 うどん以外でも絶対に食べてほしいものがあります。それは「ぼた餅」。サイズは大きめで、これだけでもおなかが満たされます。北九州市の人に聞いたところ、

「お酒を飲んだ後のシメはぼた餅」

というくらいに普及しているようです。

 ということで、資さんうどん最高!

3.岡山木村屋(岡山県)

 岡山木村屋は、岡山市を中心に50店舗以上展開するパン店です。岡山木村屋の工場は、岡山市にある小学校の社会科見学の定番となっています。木村屋という名前のとおり、元々は銀座の木村屋からののれん分けですが、今は独自のラインアップで個性を発揮しています。

 なかでもキラリと光るのが「バナナロール」です。

岡山木村屋のメニュー(画像:碓井益男)

 コッペパンにバナナクリームを挟んでいる、ただそれだけのパンですが、素朴な味わいが飽きません。岡山県人の何割かは、子どものときから朝の食事はバナナロールという人がいます。

 このバナナロールを筆頭とするロールパンのラインアップは多様で、

・マーガリン
・ブルーベリー
・いちご

などもありますが、岡山県人は最終的に「やっぱりバナナロールが一番」となるようです。なお、それに続くお勧めは

・桜あんぱん
・けしぱん
・クリームパン

です。

 岡名山市内には岡山木村屋の黄色い看板があちこちにあるため、「パンといえば岡山木村屋」という考えが岡山県人に染みこんでいるかもしれません。

 現在はコロナ禍で営業時間を短縮していますが、以前は24時間営業の店舗もありました。パン屋で24時間営業とはなかなか聞いたことがありませんでしたが、いったいどれくらい需要があったのでしょうか……。

 東京でこの味を堪能できる場所が、ただ1か所あります。新橋にある「とっとり・おかやま新橋館」には週1回日曜日のみ、岡山木村屋のパンが入荷されています。早い時間に売り切れているところを見ると、東京在住の岡山県人が必死に買いに来ているのかもしれません。

 ということで、岡山木村屋最高!

4.セイコーマート(北海道)

 セイコーマートは札幌市に本社を置くコンビニチェーンで、東京でもわりと有名です。北海道ではなおさらで、北海道民に「セイコーマートっていいですよね」というと、たいてい

「身近すぎてわからない」

と首をかしげられます。

 そもそも北海道は何を食べてもおいしいので、セイコーマートも同様です。おいしさの理由は「ホットシェフ」の存在です。ホットシェフとは弁当やおにぎり、おかずを店内調理して販売するコーナーで、出来たての弁当が暖かいまま並んでいるわけですから、おいしくないはずがありません。

 特に心に染みるのが豚丼です。豚丼といえば北海道の名物ですが、地元密着の味はひと味違います。

セイコーマートのガラナ(画像:碓井益男)



 ホットデリと同じくらい外せないのが、飲料です。とりわけ、ガラナはセイコーマートのオリジナル商品がもっとも美味。ガラナは北海道で多くの企業が参入している定番商品ですが、セイコーマートの味付けは絶妙なマイルドさで、いくら飲んでも飽きません。また、オリジナルのジンジャーエールはショウガの辛さがとがっていて、新鮮な味わいです。

 ホットデリは東京で味わえませんが、飲料は可能です。同社は通販を行っているので、一箱単位で購入できます。北海道に縁がなくても、ガラナは冷蔵庫に常備したいものです。

 ということで、セイコーマート最高!

5.伊那ローメン(長野県)

 最後に番外編を紹介します。ローカルチェーンではなくローカルメニューです。

伊那ローメン(画像:碓井益男)

 伊那ローメンは長野県伊那市を中心にしたエリアのソウルフードです。1950年頃、伊那市内にある萬里が発明した麺料理で、太い蒸し中華麺にマトン、キャベツなどを加えたもの。これらの具材が入っていればすべてローメンと呼ばれ、定番は存在しません。

 というのも萬里が今でも提供しているローメンは、麺がスープにつかっていますが、スープがない焼きそばタイプのものもローメンを名乗っているからです。

 スープ系と焼きそば系のふたつを出すお店があるわけです共通しているのは、自分で味付けを決められることです。どこの店でもテーブルの上にお酢やラー、油などが置かれていて、自分好みに味を調整して食べます。

 スープ系の萬里と並ぶ名店である焼きそば系のうしおでは、定番の調味料のほかにカレー粉なども置かれています。

 伊那市を中心にローメンを提供する店は90店舗近くありますが、東京では2店舗程度。生まれては消えるを繰り返しています。しかもローメンがメニューにある店舗は居酒屋がメインなので、入店して「ローメン下さい」というのは少々ハードルを感じます。

 長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」に麺や具材が常備されてればいいのですが、わずかにレトルト商品が置かれている程度です。なぜ長野県の名物がそんな冷淡な扱いを受けているのだろうか……と直談判したくなります。

 ローメンは、伊那市ではラーメンよりもシメの定番。高校生が部活帰りに楽しく食べるB級グルメです。東京でもどうか定番になってほしいものです。

 ということで、伊那ローメン最高!

※ ※ ※

 これだけ多くの飲食店がありながらも、まだ東京で食べられないものがあるのは不思議です。どうかもっと多くのおいしいものが楽しめますように。

 ということで、ローカルチェーン最高! ローカルメニュー最高!

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