客の奪い合いにならないの? 新大久保周辺にエスニック食材店が20軒も密集している理由

新大久保に8月、エスニック食材店が新たにオープンしました。それにしてもなぜ、このエリアはエスニック食材店の超激戦区になっているのでしょうか。アジア専門ライターの室橋裕和さんが解説します。


8月にオープンしたエスニック食材店

 2021年8月18日(水)、新大久保の「イスラム横丁」と呼ばれる一角にオープンしたパキスタン系のエスニック食材店「ナショナルマート」(新宿区百人町)が、早くも大人気となっています。外国人だけでなく、日本人のお客もおおぜい訪れ、現地のスパイスや調味料などを手に取っています。

「日本人の女性おひとりでも、気軽に入れる店にしたいと思っているんです」

と話すのは、ナショナルマートを運営する和新トレーディングの取締役、味庵(みあん)・ラムザン・シディークさん。日本に帰化したパキスタン出身の男性です。

取締役社長の味庵・ラムザン・シディークさん。ラホール出身で1995年に来日(画像:室橋裕和)

 確かに店は清潔で入りやすく、日本語の表記も充実しています。

 この近辺のエスニック食材店はごちゃごちゃした店構えで、南アジア系のひげ面のおじさんたちがたむろしており、それがローカル感を醸し出していて楽しいのですが、そんなアジア的な空気に慣れていない日本人のなかには気後れする人がいたのも確かでした。それに比べると、ナショナルマートは女性のスタッフもいるし明るくて広々としています。

 そしてひときわ目を引くのはファストフードのコーナー。パキスタン風のピザやバーガー、ビリヤニ、ダルチャワル(豆カレーごはん)などの軽食やスナックが売られています。

 テイクアウトでも、その場で食べることもできますが、これは新大久保に数あるエスニック食材店でも珍しい業態です。ファルーダという南アジアスタイルのパフェもあって、こちらも好評。

パキスタン、インドのスイーツが大人気

 そして多くの日本人女子のお目当ては、ショーケースにずらりと並んだパキスタンやインドのスイーツ。

 ナッツとドライフルーツをたっぷり使ったラドゥー、小麦粉と砂糖とミルクでつくった生地を揚げて甘いシロップに漬け込んだグラブジャムン、カッテージチーズからつくったチャムチャムなど、カラフルでかわいらしいお菓子がたくさん。どれもおいしく、そして危険な甘さですが、

「ブラックコーヒーと本当によく合いますよ」

と味庵さん。

色とりどりのスイーツは目でも楽しめる。わからないものは店員に聞いてみよう。もちろん日本語OK(画像:室橋裕和)

 ほかにもパキスタン直輸入で濃厚な甘さのマンゴーや、自社ブランドのタンドリーチキンやバーガーのパテなど、ほかにはない商品がいろいろあります。ハラル(イスラム教の戒律で食べることを許された食品)の食パンもこちらで製造したもので、これは週末になるとイスラム教徒の人々に飛ぶように売れるのだとか。

 滑り出し順調といった様子のナショナルマートですが、近隣は同じようなエスニック食材店の超激戦区。狭いエリアに20軒を超える

・ネパール
・インド
・パキスタン
・バングラデシュ

の食材店、ハラルショップがひしめく場所です。新大久保はいまやそんな街でもあります。

 ナショナルマートのオープン翌週にも、また違うエスニック食材店がオープンしているのです。どうしてパイの奪い合いにもなりそうなこの場所に、あえて出店したのでしょうか。

卸会社がマーケティングのために実施


【画像】8月にオープンした「ナショナルマート」

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