本日プレオープン! 東京駅そば、高さ212m「常盤橋タワー」の内部はどうなってる?

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本日プレオープン! 東京駅そば、高さ212m「常盤橋タワー」の内部はどうなってる?

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小川裕夫

フリーランスライター

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7月19日、オープンに先駆けて報道陣に公開された千代田区大手町の常盤橋タワー。いったいどのようなビルなのでしょうか。タワーフリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。

東京駅近く、高さ212m

 現在、日本国内でもっとも高いビルは大阪府大阪市のあべのハルカスです。2014年に完成したあべのハルカスは高さ300m、60階建て。壮観な超高層ビルのため、オープン日に話題を集めました。

 あべのハルカスはいまだ日本一の記録を保持していますが、2027年度には日本一の座を譲ることが予想されています。新たに日本一高いビルとなるのが、東京駅北側の常盤橋街区で計画が進むトーチタワー(Torch Tower)です。

常盤橋タワーの外観(画像:三菱地所)



 トーチタワーは常盤橋街区の再開発事業によって誕生する予定ですが、一足早く同じ街区に常盤橋タワー(千代田区大手町)が完成。7月19日(月)、オープンに先駆けて報道陣に公開されました。

 常盤橋タワーはトーチタワーよりも低いビルですが、それでも高さ212mを誇ります。これまで八重洲・日本橋といった東京駅の東側には大きなビルが少なかっただけに、きわだった存在感を放っています。

背景にある三菱GのDX戦略

 三菱グループは東京駅を挟んで反対側の丸の内エリアに集中してオフィスビルを構えてきました。それゆえに、三菱グループの不動産事業を手がける三菱地所は“丸の内の大家さん”という地位を築いてきました。

常盤橋タワーの建つ場所(画像:(C)Google)

 トーチタワーをはじめとする常盤橋街区への進出は、“丸の内”から“丸の外”への進出ということになります。これは三菱グループが丸の内エリアで進めてきたDX(デジタルトランスフォーメーション。ITが社会のあらゆる領域に浸透することによってもたらされる変革)戦略の一環にも結びつけられています。

 三菱グループはIDひとつで街中を顔パスできるシステム構築・技術開発を急いでおり、タワー内のレストランやカフェでは、キャッシュレス化を推進。混雑するランチタイムは電子マネーやクレジットカード、スマホ決済のみの支払いに限定している店舗もあるほどです。

建設資金は環境配慮で調達

 今回、報道公開された常盤橋タワーが立地する常盤橋街区は、東京駅に近い立地ながら歴史と自然が感じられる部分があちこちにあります。

 それだけに常盤橋タワーの外構部となる大規模広場には、新潟県佐渡市の金鉱石、小千谷市の錦鯉(ニシキゴイ)、茨城県つくば市の天然芝などが用いられています。それらオープンスペースでは、オフィスワーカーなどがくつろげる空間が広がります。

 こうした環境にも配慮がなされていることから、常盤橋タワーの建設資金はグリーンボンドによって調達されました。グリーンボンドとは環境に配慮している事業者だけが発行できる債券のことで、グリーンボンドの発行が認められたということは、同事業の環境に対する取り組みが評価されたことを意味します。

 そうした環境面のみならず、3Fの商業&交流ゾーン「トーキョー・トーチ・テラス(TOKYO TORCH Terrace)」からは日本橋の風景を楽しめます。「トーキョー・トーチ・テラス」は、ビル外で働くオフィスワーカーや来街者も利用できます。

江戸情緒を残すタワー周辺エリア

 日本橋一帯は老舗が多く軒を連ねる、江戸情緒を21世紀まで残している街です。その中核には、希代の建築家・辰野金吾が設計した日本銀行本店(中央区日本橋本石町)もあり、常盤橋タワーから眺められるのです。

東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」の詳細(画像:三菱地所)



常盤橋タワーからは、歴史を感じさせる日本橋の街並みが広がる。正面に見えるのが日本銀行本店(画像:小川裕夫)

 また、常盤橋タワーの北隣にはNHK大河ドラマの主人公・渋沢栄一の銅像が建立されている常盤橋公園(千代田区大手町)があります。常盤橋公園はこぢんまりとした小公園ですが、渋沢像の裏手には都内最古の石橋といわれる常磐橋もあります。

 常磐橋は東日本大震災によって石にゆがみが生じ、崩落の危険性が高まったことから長らく通行止めになっていました。このほど修復工事が終わり、歩いて橋が渡れるようになっています。

4度目となる緊急事態宣言でオープン延期

 常盤橋タワーは、東京五輪の開幕に合わせて開業するように計画・建設が進められてきました。五輪の開幕日は7月23日(金)ですが、常盤橋タワーは本日7月21日(水)にグランドオープンする予定になっていました。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4度目となる緊急事態宣言が発出。それを受けて、常盤橋タワーは規模を縮小したプレオープンとなりました。

TOKYO TORCHの街区完成イメージ(画像:三菱地所)



 今後もトーチタワーをはじめ常盤橋街区の再開発事業は続きます。東京のあちこちで再開発が進められ、東京は日に日に変化しています。

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