秋色の羽田空港で「家光を探せ!」 江戸をテーマにしたAR作品のゲーム 27日まで
潜む家光を見つけて「取り出された江戸時代」を楽しむ 羽田空港国際線ターミナルにおいて、2019年9月11日(水)から9月27日(金)の期間限定で江戸文化をテーマとしたAR(拡張現実)作品を楽しめます。 羽田空港国際線ターミナル4階(2019年9月、宮崎佳代子撮影) これは、文化庁による新事業プロジェクト「空港等におけるメディア芸術日本文化発信事業」の一環です。国内空港等およそ10か所で「メディア芸術×文化資源 分散型ミュージアム」を展開するもの。今回、羽田空港で‟江戸文化”をテーマに国立歴史民俗博物館所蔵の「江戸図屏風」と「江戸橋広小路模型」をモチーフにしたAR作品「屏風から家光を探せ,からの,取り出す江戸時代」を公開しています。 場所は国際線ターミナル5Fにある「はねだ日本橋」。壁に「江戸図屏風」から切り取られた9枚の絵が設置されており、そのなかに隠れた徳川家光を探し出すという、ゲーム感覚で楽しめるものです。「江戸図屏風」にタブレット端末(貸し出し)をかざし、絵に潜む徳川家光を見つけると、最新のAR技術によって江戸時代の光景がまるごと取り出されるかのように画面に再現されます。屏風に家光の姿そのものは描かれておらず、「家光がいると思われる場所」を探ります。 この「取り出す江戸時代」制作のために,「江戸橋広小路模型」を最新技術を駆使して精密にスキャン。さらにARの技術を使って楽しめるように拡張しています。 同博物館に展示されている巨大な「江戸橋広小路模型」をいかに忠実にデジタルデータとして取り込むか。それが今回のプロジェクトの大きな課題だったといいます。現場検証に3日間、撮影に5日間、3Dモデル制作に14日間、計22日間をかけて「取り出す江戸時代」に相当する部分を開発したそうです。 公開初日の9月11日には、当プロジェクトを担当している文化庁参事官(芸術文化担当)の坪田知広氏や本作品を手掛けた開発ユニット「AR三兄弟」らが来場。実際の作品に触れ、作品詳細やプロジェクトへの意気込みなどについて語りました。 AR三兄弟の川田十夢氏は作品について、「歴史的資材をAR技術によって表現することで,空港に“時間の玄関口”を作ってみました」と解説。苦労した点について,「“フォトグラメトリ”という技術を使っているのですが、作品をあらゆる角度から撮影しなければならず、博物館が閉館してから夜間、1週間かけてずっと撮影していたことです」とコメント。 また、作品の注目点に、10年前と比べてAR技術が格段に進化していることを挙げ、「SF映画に近づいてきているので手に取って楽しんでほしい」と想いを語りました。 作品体験は、期間中の11時30分~18時30分までとしています。国際線ターミナル4階、5階は現在、秋色装飾で江戸情緒を演出しています。国際線と国内線ターミナル間は無料シャトルバスも運行しているので、飛行機の待ち時間にゲーム感覚で江戸時代にタイムワープしてみるのも一興です。
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