車窓の変化が一目瞭然? 武蔵境発の路線バス「境91」系統で楽しむ1時間プチ旅行とは

武蔵境駅と狛江駅を結ぶ小田急バス「境91」系統。緑豊かなその魅力について、まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。


武蔵境駅の3番乗り場からスタート

 山手線の西側を走る路線バス網を見ていると、放射状に伸びる鉄道路線の間をショートカットするように南北を結ぶ系統が多くあります。なかには距離の長い系統もあり、沿線ごとの住宅地の特徴や、駅前の様子の違いを車窓に見ることができます。今回はそのなかでも沿線風景に変化の多い路線のひとつを紹介します。

 JR中央線と西武多摩川線が乗り入れる武蔵境駅。武蔵野市の西側にあり、駅前にある大型商業施設のイトーヨーカドー武蔵境店(武蔵野市境南町)や文化施設の武蔵野プレイス(同)といった施設には休日ともなると多くの人が訪れます。

 大きな木々が目立つ駅南側のバスターミナルの3番乗り場から発着するのが小田急バスの「境91」系統です。

武蔵境駅南側のバスターミナル3番乗り場(画像:(C)Google)



 この系統は武蔵境駅から調布駅、国領駅を経由して狛江駅に向かう全線約1時間の路線です。武蔵境駅から乗車する人は多く、タイミングによっては1本待って確実に着席する方がいいかもしれません。昼間は1時間に約3~4本が運行されています。

天文台通りを下るとICUが

 武蔵境駅を出るとバスは両側に自転車レーンのある道を南に進みます。自転車通行可の歩道がある道は都内でも各地にありますが、自転車専用レーンが区切られている道はなかなか見られないもので、このあたりの自転車需要の旺盛さがうかがえます。

 間もなくバスは三鷹市に入り、右折。連雀通りを西に向かって走り、「三鷹市井口新田」交差点で天文台通りへと左折します。マンションやビルばかりだった武蔵野市内と比べると三鷹市内は一戸建て住宅が増え、農地や敷地の広い邸宅もあります。

三鷹市大沢にある国際基督教大学((画像:(C)Google)

 車窓右側に木々が目立つ場所が見えるとそこは国際基督教大学(ICU、三鷹市大沢)です。ここに大学が置かれたのは1954(昭和29)年のこと。日本に教派を超えたキリスト教大学を設立しようという願いの下、設立されました。

約100年前に移転してきた国立天文台

 国道20号線のバイパスとして整備された東八道路と交差する天文台北交差点を通過するとき、車窓右手を見ていると奥に目立つ建物が見えるかもしれません。

 これは三鷹天命反転住宅(三鷹市大沢)で、建築家の荒川修作とマドリン・ギンズが「死なないための住宅」として設計し、作られた9戸の集合住宅です。極彩色の目立つ建築物で、現在は一部を賃貸住宅、一部を教育プログラムなどを発信する場として活用しています。

三鷹市大沢にある国立天文台((画像:(C)Google)



 再び車窓右に木々や竹林が見えるとそこは国立天文台(同)です。もともとは現在の港区麻布台にありましたが、観測条件が悪くなり、関東大震災直後の1924(大正13)年にこの土地に移転してきました。現在は本部機能が置かれ、一部エリアは予約なしで見学可能です(2021年5月末現在は新型コロナウイルス感染症対応に伴い施設公開は中止しています)。

 国立天文台に沿って天文台通りは下り坂になっており、下りきると野川を渡ります。

調布飛行場から徒歩15分のバス停

 野川を渡った先にある「大沢コミュニティセンター」バス停は調布飛行場(調布市西町)から徒歩15分の場所にあり、調布飛行場のアクセス案内では調布飛行場行きバスの次に出てきます。

三鷹市大沢にある「大沢コミュニティセンター」バス停((画像:(C)Google)

 調布飛行場からは定期旅客便を運行しているのは新中央航空(茨城県龍ケ崎市)で、行き先は伊豆諸島にある空港です。八丈島を除いて空路でアクセスできるのは調布飛行場発着の新中央航空の航空便か伊豆諸島内を運航する東邦航空(江東区新木場)のヘリコプターのみのため、旅客船の発着する竹芝桟橋と並んで伊豆諸島への重要なアクセス拠点です。

「大沢コミュニティセンター」バス停を過ぎると三鷹市から調布市に入り、調布飛行場に隣接する味の素スタジアム(調布市西町)の裏手を通ります。

 同スタジアムへのアクセスは京王線の飛田給駅から徒歩というイメージですが、境91系統でもアクセス可能です。イベント開催時は武蔵境駅や狛江駅から直行バスが運行されることもあります。

渋滞しやすい旧甲州街道

 中央自動車道や国道20号線と交差して少し走ると、バスは左折して旧甲州街道に入ります。

 このエリアの旧甲州街道は江戸時代の甲州街道を踏襲しており、調布の市街地でもあります。家がひしめき合うように立ち並び始め、マンションやビルが増えて人通りが増えていきます。渋滞しやすいところでもあり、しばしばこのあたりを抜けるのに時間がかかることも。

調布駅近くの旧甲州街道((画像:(C)Google)



 少し狭い道をゆっくり走っていくと、バスは右折して調布駅前のロータリーに入ります。以前、境91系統は調布駅前のロータリーには入らなかったのですが、調布駅の地下化やロータリー拡張のタイミングに合わせて2020年11月から乗り入れるようになりました。

 調布駅前は2012年に京王線が地下化したあと、駅の上には商業施設のトリエ京王調布(調布市布田)ができ、調布駅周辺の拠点性が向上しました。

住宅地や沿線のユニークな施設に注目

 調布駅を出た境91系統は再び旧甲州街道に戻り、京王線に沿ってしばらく密集した住宅地の中を走っていきます。1km強走ると右折して国領駅のバスターミナルを経由して今度は狛江通りを小田急線方面へと向かいます。

 国領駅も調布駅と同じく2012年に地下化されたあと、再開発でタワーマンションや複合施設のココスクエア(同市国領町)ができ、他にも総合スーパー・イトーヨーカドー国領店(同)もあり、電車は各駅停車のみが停車する駅ですが、駅周辺にはさまざまな施設のある駅です。

 狛江通り沿いには病院や団地があり、武蔵境駅から調布駅にかけて見てきた緑の多い住宅街とはまた趣が違う住宅街です。沿道に小田急バスの狛江営業所(狛江市中和泉)があることもあり、バスの本数も非常に多い通りで、人の乗降も多い場所です。

狛江駅前の様子((画像:(C)Google)

 やがて狛江通りから右折すると終点の狛江駅に到着します。武蔵境駅からここまで約1時間。少し時間がかかる移動ですが、同じ多摩でも住宅地の違いや沿線のユニークな施設を見ながら変化のある車窓が楽しめるバス路線なので、ぜひ機会があれば乗ってみてください。


【事前にチェック】「境91」系統のルート

画像ギャラリー

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