プロポーズや、語彙のなさがゲームに! 身近で愉快なアナログゲームの世界

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プロポーズや、語彙のなさがゲームに! 身近で愉快なアナログゲームの世界

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日本最大級のアナログゲーム即売会「ゲームマーケット2018秋」を訪れました。多種多彩なアナログゲームのなかから、気軽にできるもの、実際に体験してみて面白かったものを抜粋してご紹介します。

終日たっぷり楽しめる!電源が必要ないゲームの祭典

 近年盛り上がりが止まらない、アナログゲーム界隈。その祭典ともいえる「ゲームマーケット2018秋」が、2018年11月24日(土)25(日)の2日間、東京ビッグサイトで開催されました。

出展ブースの数は、2日間で779にのぼったという。同人ブースも企業ブースもある(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)



 アナログゲームとは、おおまかに言うと「電源を必要としないゲーム」。身近なところでは「トランプ」や「UNO」「人生ゲーム」などもその一端です。

 数分で勝負が決まるゲームもあれば、数時間かかるゲームもあり、だまし合いで勝負するものもあれば、プレイヤー全員で協力しあうものもあり、その世界は実に多種多彩。同イベントは、そんなアナログゲームを購入するだけでなく、その場で「試遊」できるのが大きな魅力です。

にぎわう試遊スペース(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 つくり手の「こんなゲームが作ってみたい!」という熱量で生成されたゲームが数多く並んでいるのも魅力のひとつで「え!この題材がゲームになるのか!」と、驚きのアイデアに、うなること多々。

 正直なところ、1日中たっぷり楽しんでも回りきれない規模感なのですが、今回は、筆者が実際に体験しつつ、下記の条件に添って厳選。

・ルール説明に要する時間「約1分」
・ゲーム所要時間「短め」
・イベント当日以外でも購入可能

 初心者の方や、アナログゲームにあまり興味がなかった人にも、楽しんでもらえそうなゲームを紹介します。

熱烈すぎる愛のことば満載! 即興でプロポーズするゲーム

 1つめに紹介するのは「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」(第2版)。端的に言うと、人生の一大イベント「プロポーズ」を、即興で考えて言い合うゲームです。

「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」(第2版)(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 プロポーズは、「僕は」「君を」「愛している」など、台詞の骨組みになる「初期カード」6枚と、「フォーリンラブ」「一緒の墓に入ろう」「真っ白なキャンバス」「天使」「太陽」「はち切れそうさ」「味噌汁」「あったかいだろ?」など、プロポーズらしさのある(でも現実世界で使う人はあまりいなさそうな)フレーズが満載の「単語カード」6枚を組み合わせてつくります。

「初期カード」は1人1組ずつ配られる。指輪もある(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)
「単語カード」は全部で164枚ある。山の中から6枚引く(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 制限時間は、ゲームの親(プロポーズを受ける人)が、10数えている間。たとえば、こんなプロポーズが出来上がります。

試遊会で、筆者があわてふためきながらつくったプロポーズ(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

「僕は幸せ。君にフォーリンラブ。君は女神。味噌汁になってあげるよ。運命より愛してる」

「味噌汁になってあげるよ」ってなんだろう……。つくった本人すら理解不能ですが、そんな意味不明さも即興ならの醍醐味。愛の言葉ばかりが言い交わされる異世界と化した試遊台は、大いに盛り上がりました。

ゲームマーケット大賞にも入賞した同ゲーム。売り場は大盛況(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 同ゲームの作者は、札幌のアナログゲームサークル「クリメージ」のdaipoさん。イラストレーターでもあります。もともとは個人で、極小ロットで作っていましたが、次第に需要に供給が追いつかない状態になったため、今イベントでは、バックヤードいっぱいに商品を用意。大型ロットで上海に発注したといいます。

「尊い」「シュッ!」とかしか言えなくなる、語彙喪失ゲームとは

 次に紹介したいのが、語彙力を失った人たちが発するヒントから、動物を当てるゲーム「あのアレなヤバイ動物」。

「あのアレなヤバイ動物」。制作者の予想を上回る売れ行きで、開始30分で完売し、現在、通信販売を準備中とのこと(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)



語彙力カード。プレイヤーは、配られたカードに書かれた言語しか発せなくなる(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)
動物は25種類。「ライオン」「ペンギン」「ハリネズミ」「白くま」など(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 端的に言うと、「その動物は大きいですか?」「その動物が部屋にいたらどんな感じですか?」と質問しても、かえってくる答えが「エモい」「尊い」「ヤバイ」「すごい」「シュッ!」「ロックンロール」という言語ばかりになるゲームです。あまりのわからなさ加減に、戸惑いながらも笑いが止まりません。

 さらに、英語対応もしているため、国境を超えて楽しむことも可能といいます。

「なんて呼んでたっけ、あれ」だらけのゲーム

 続いて「THIS IS IT」。まずは写真をご覧下さい。

どの図も、呼ばれ方が色々ある(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 写真右の図の名称は「ガラガラ」?「ガラポン」?「抽選機」? 写真中央の図は「スマホ」?「スマートフォン」?「タブレット」? 考えれば考えるほど、答えが何通りも出てきてしまいます。

 このように、つい「なんて呼んでたっけ、あれ」となる図が描かれたカードが並ぶ同ゲーム。他のプレイヤーが、「3つ並んだカードからどれを選び、どう呼ぶのか」を推測し、合致したらポイントを獲得できる仕組みです。

推測したら、ミニサイズのホワイトボードに記載して「せーの」で見せ合う(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)
図の描かれたカードは他にもたくさん。どれも、絶妙に「なんて呼んでたっけ、あれ」となる(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

どんな思いで言っている「好き」なのか、当てるゲーム!

「はぁって言うゲーム」で使うのは、声と、顔面の演技力とペン。でも、演技の経験は必要ありません。

「はぁって言うゲーム」。ミシン目がついているので、気軽にちぎって配ることができる(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 たとえば「好き」という台詞は、言い方次第で伝わり方が大きく変わります。「グッとくる『好き』」「いたずらな『好き』」「さりげない『好き』」「いつわりの『好き』」「色っぽい『好き』」「ダメな感じの『好き』」、どんな意図で言っているかによって、違ってくるはず。

この日、筆者が担当することになったのは「いつわりの『好き』」だった。目をそらしながら言えば、いつわり感が出せるかと思いきや、全くそんなことはなかった(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 同ゲームは、そのニュアンスの違いを読み取って、当て合うゲームです。名演技や迷演技が続々と展開されるため、初対面同士でも、いつの間にか緊張が解きほぐれされること必至。

幻冬舎から、カードゲームバージョンも一般販売されている(画像:幻冬舎)

いち早く「辛ラーメン」を当てるゲーム?

「ワードスナイパー」も、簡単なルールで、にぎやかに盛り上がれるゲームです。

「ワードスナイパー」(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)



 たとえば、下の写真のような状態になっている場合、「丸いもの」で、頭文字に「か」がつくものを考えて答えます。

「丸いもの」で、頭文字に「か」がつくといえば……?(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 いち早く答えた人に得点が入り、最終的にいちばん得点を稼いだ人が勝ち。

「頭文字に『し』がつく赤いもの」というお題で、「辛ラーメン!」と回答があった時には、その鋭い回答に拍手が起こりました。

売り場の様子。和やか(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

目標は今回の2倍超「5万人の来場者」 その理由は?

 そんな、アナログゲームの即売会「ゲームマーケット」が始まったのは、2000(平成12)年のこと。初回時、400人程だったという来場者は右肩上がりに増加し続け、今回ついに2万2千人を数えました。

 2012年からは、関西での開催もスタートし、現在では、年に3回、定期開催される大イベントです。

「ゲームマーケット」来場者数と出展者数の推移。初回は、主催も会場も今とは違った(画像:アークライト)

 ですが、現在同イベントを主催するアークライト(千代田区)の刈谷さんは、その2倍以上、「来場者5万人を目指しています」と話します。

「まずは、声にして言うことが大切だと思い『5万』と言っています。想定しないと、そういう風にはならないので。声に出すことを皮切りにして、実現するためにはどうすればいいのか、皆が知恵を絞り合うようになると思うのです」(アークライト 刈谷さん)

 知恵はこれから、とのことですが、目的は明確です。日本のアナログゲームユーザーの輪を広げるため。そして、同イベントでゲームを販売する人や企業のより多くが、それだけでご飯を食べられるようになることを目標にしているといいます。

会場は終始、大盛況。海外からの来場者もちらほら(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)
フォントや色を当てるかるた、おにぎりをつくるゲーム、高速道路をつくるゲーム(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)
会場には、新作ゲームが展示されているスペースもある(2018年11月24日、高橋亜矢子撮影)

 ますます盛り上がること必至のゲームマーケット。次回の東京開催は2019年5月の予定です。

●「ゲームマーケット2019春」(次回の東京開催)

・開催日時:2019年5月25日(土)26(日) 両日とも10:00~17:00
・会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場) 青海A、Bホール
・アクセス:りんかい線「国際展示場駅」から徒歩約7分、ゆりかもめ「国際展示場正門駅」から徒歩約3分
・入場料:「ゲームマーケット2018秋」開催時は1000円

「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」

・作者:daipoさん(@daipo_)
・価格:3400円(送料別)
・通信販売:2018年12月上旬ごろ、Amazonで販売開始予定。詳細は「CRIMAGE」のTwitterアカウント(@crimage_game)をご確認下さい。

「あのアレなヤバイ動物」

・作者:ボードゲームサークル「ツマヤ」(@tumayaBoardgame)
・価格:2180円(送料別)
・通信販売:増版出来次第、発送予定で受付中。詳細はTwitterアカウントをご確認下さい。

「THIS IS IT」

・作者:ゲームの殿堂さん(@japanill)
・価格:2200円(送料別)
・通信販売:遊びの総合デパート「ASOBI.dept (アソビデプト)」のオンラインショップ

「はぁって言うゲーム」

・作者:米光一成さん(@yongame)
・価格:1080円(送料別)
・通信販売:BOOTH、Amazonなど。詳細はTwitterアカウントをご確認下さい。

※幻冬舎から、カードゲーム版(1600円・税抜)も発売中。カードゲーム版は、全国の玩具店や書店などで販売。

「ワードスナイパー」

・販売者:横浜中華街のボードゲーム専門店「リゴレ」(@rigoler_)
・価格:1650円(送料別)
・通信販売:Amazon、リゴレ公式サイトなど。

※掲載の情報は全て2018年11月時点のものです。

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