数千円もする高級ホテル「アフタヌーンティー」に20代女性がどハマリする理由

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数千円もする高級ホテル「アフタヌーンティー」に20代女性がどハマリする理由

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アーバンライフ東京編集部

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高級ホテルのアフタヌーンティーといえば、有閑マダムの特権だと思っていました。ところが近年、20~30代の女性たちの間で人気が高まっているそう。一体なぜなのでしょうか。

1.優雅な気分を味わえる

 若い女性たちの間でここ数年、有名高級ホテルに併設されたカフェなどでの「アフタヌーンティー」が流行しているといいます。

 念のためアフタヌーンティーとは何かを確認すると、おいしいお茶にケーキなどのスイーツや、サンドイッチ、スコーンなどの軽食が付いてくる、英国発祥の喫茶習慣。

 単に飲食をするだけでなく、仲間とのおしゃべりを楽しむ社交の場といったイメージが強いアフタヌーンティー。そのため上品で高級なメニューを上質な空間でたしなむもの、というのが日本で長らく根付いた印象でした。

 しかしここ数年ほどは、決して大金持ちとは限らないごく一般的な若い女性たちが頻繁にホテルでのアフタヌーンティーを利用するようになり、大手グルメサイトや旅行・観光案内サイトなどもわざわざ特集を組むほどに。

マリー・アントワネットをイメージした豪華スイーツが並ぶアフタヌーンティー(画像:ヒルトン東京)



 リクルートライフスタイル(千代田区丸の内)の旅行情報誌「じゃらん」が2019年1月に、東京など関東1都6県在住の20~30代女性523人に行ったアンケートによると、「ホテルのアフタヌーンティーを楽しんでみたいか」という問いには実に76.1%が「はい」と答えました。

 その理由は「優雅な気分を味わえる」(78.4%)、「自分へのごほうび」(64.8%)などが上位。また「見た目も味も楽しめる」(41.5%)などの声もありました。

 ちなみに同調査では、「アフタヌーンティーで行ってみたいホテル」上位4か所も発表されていて、いずれも東京都内の高級ホテルという結果でした。

2.SNS映えが半端ではない

 こうした需要を受けて各ホテルも、メニュー展開にいっそう力を入れています。

 各企業のプレスリリース配信サービスを行うPR TIMES(港区南青山)のサイトで「アフタヌーンティー」と検索すると、2020年6月だけですでに20件以上のリリース配信が確認できます(同月10日15時半時点)。

 さらに東京都内だけに絞っても、一度は耳にしたことのあるような有名ホテルのリリースが次々にヒット。

 グランドハイアット東京(港区六本木)は、これから夏の季節に旬を迎える桃やマンゴーを使った10種のスイーツなどを盛り込んだメニュー(税・サービス料別3800円)を8月31日(月)まで展開中。

 2003(平成15)年4月の開業以来のお得意さまはもちろん、最近ではやはり若い女性の利用客も増えているとのことで、メニュー構成や企画テーマを検討する際の重要なターゲット層のひとつにしているといいます。

桃やマンゴーのアフタヌーンティー(画像:グランド ハイアット 東京)



 またヒルトン東京(新宿区西新宿)では、18世紀フランスの王妃マリー・アントワネットをイメージしたゴージャスで優雅かつロマンチックなデザートフェア(同3980円)を7月1日(水)からスタート予定。

 ピンクや水色、赤などのカラフルな色彩を基調にしたメニューは、若い世代を中心に女性の心をわしづかみにしそうです。

3.体験型の「コト消費」として

 やはりこうした見栄えの良さ、すなわち「SNS映え」の良さが人気の理由を大きく占めるとのことで、あるホテルの広報担当者は

「見た目の魅力は、新メニューを考えるうえでも特に気を遣うポイントです。中でも、小さくカラフルなメニューが少しずつ何種類もたくさん載っているというものが、若い女性には好評のようです」

と話します。また、とりわけ「高級ホテル」でのアフタヌーンティーが人気のことについては

「(高級ホテルは)敷居が高く手が出しづらいと思われがちで、こと宿泊となると若い女性の利用は決して多くはありません。その点アフタヌーンティーなら、もう少し手頃なお値段でホテルの落ち着いた雰囲気を感じていただけるのが良いそうです。最近よく聞かれる『コト消費』『体験型消費』のひとつに数えられているのでしょう」

とのこと。

東京など関東1都6県の20~30代女性523人に聞いた、行ってみたいホテルのアフタヌーンティー(画像:リクルートライフスタイル)



 街の人気カフェなどは一巡出尽くした感があるなかで、「人とは違う絵映えスポット」が、高級感あるホテルという領域へと拡大したのでは、と指摘します。

4.街中のカフェでは体験できないコト

 とはいえ、ホテルに限らずカフェやレストランなど数々な飲食業態が参入ししのぎを削っている「アフタヌーンティー市場」。各ホテル側も、ほかとの差別化を図るためにさまざまな工夫を凝らしています。

 例えばロイヤルパークホテル(中央区日本橋蠣殻町)は、1914(大正3)年創業の老舗ほうじ茶専門店「森乃園」(同区日本橋人形町)とコラボした「ほうじ茶アフタヌーンティー」を、6月30日(火)まで提供中です(4235円)。

老舗ほうじ茶専門店とコラボした「ほうじ茶アフタヌーンティー」(画像:ロイヤルパークホテル)



 広報宣伝課の真野碧(まの みどり)さんによると、同じくここ数年で再注目を集めている抹茶フレーバーや和スイーツにヒントを得たのが今回の新メニューとのこと。

 同ホテルでは、アフタヌーンティーに関するメディア取材や若い女性の利用客が目に見えて増えてきたのは2018年夏ごろからだそう。

 東京証券取引所などが近いという場所柄、以前は中小経営者など経済人らの打ち合わせに使われることが多かった1階ロビーラウンジが、アフタヌーンティー効果によってグッと若い女性客の割合が増したといいます。

「利用した女性客の方がご自身のSNSで紹介してくれるなどして、徐々に広がりを見せていきました。そうした反響を受けてメニューを盛り付ける器を(よりSNS映えするものに)変更したくらいです。時間制限などがなく、ゆったり過ごせるのが街中のカフェとの大きな違いでしょうか」(真野さん)

5.気になったら思い切って投資

 1回の利用で数千円ほどするアフタヌーンティーは、若い女性にとって決して低額の出費ではありません。しかし、利用するのは必ずしもブランドファッションに身を包んだ高級志向の人ではなく、街角によく見かけるいわば“普通の女の子”たち。

「今の若い方々はお金の使い方にとてもメリハリを付けていて、普段は節約もしつつ気になったものには思い切ってお金を使う、というのがスタイルのようです」と真野さん。

 高級ホテルでのアフタヌーンティー、あなたは試してみたいですか? 今ならいくらでも斬新かつ魅力的なメニューを見つけることができますよ。

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