オリンピック開催時の「電車大混雑」が裏付ける、テレワークより大事な働き方改革とは

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック。海外からの旅行客が多く日本に詰めかけ大きな混雑予想されていますが、そのような現状から、現代人の働き方について、しゅふJOB総研所長の川上敬太郎さんが解説します。


都民の約8割は五輪に関心あるも、開催には……

 いよいよ2020年の東京オリンピック・パラリンピックが目前に迫ってきました。チケットも販売され、会場で、テレビで、観戦を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

 NHK放送文化研究所(港区愛宕)が行った「2018年10月東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査(第4回)」によると、東京オリンピックに関心ありと回答した人は78%。東京都民だけに絞るとやや上昇して79%です。

満員電車のイメージ(画像:写真AC)



 さらに同調査では、オリンピックが東京で開催されることについてどう思うかも尋ねています。「よい」と回答した人は85%。国民の8割以上が、東京でのオリンピック開催を歓迎しているようです。ところが、当の開催地に住む東京都民だけに絞ると「よい」と回答した人の比率は75%と10ポイントも減少してしまいます。

 東京都民の中には、開催地に住む者ならではの悩ましさを感じている人がいるようです。

五輪開催で「通勤時間帯の混雑が激しくなりそう」の声

 筆者が所長を務める「しゅふJOB総研」が、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦層”に「東京オリンピック開催期間中、あなたの仕事に何らかの影響はありそうですか」と質問しました。

 東京都に住む314人の回答は、影響が「ありそう」が33.1%で、その人たちだけに「仕事にどんな影響がありそうですか」と尋ねてみたところ、65.4%が「通勤時間帯の混雑が激しくなりそう」と回答しています。

しゅふJOB総研が働く主婦層に対して行ったアンケート結果(画像:しゅふJOB総研)

 ただでさえ通勤ラッシュと呼ばれる時間帯に、国内外からオリンピック目当ての観光客が押し寄せれば、混雑の厳しさがさらに増すことは容易に想像できます。オリンピックの開催地に住む人ならではの悩ましさがあるとしたら、通勤時間帯の混雑が激しくなることへの懸念がその代表格だと言えそうです。

五輪開催中も、交通機関「四六時中スシ詰め状態」ではない

 そんな懸念を先取りする形で、東京メトロではオリンピック期間中の列車増発と終電の繰り下げを行う旨を発表しました。

 また、混雑が予想される9駅(北参道、竹橋、外苑前、明治神宮前〈原宿〉、有楽町、日比谷、新木場、豊洲、辰巳)について、駅の出入口及び改札口の30分ごとの混雑度を東京メトロ公式サイト内「東京 2020 大会特設ページ」にて公表しています。

東京五輪で混雑が予想される外苑前駅のイメージ(画像:写真AC)



 では、先の質問で「通勤時間帯の混雑が激しくなりそう」と回答した人は、どんな働き方を希望するのでしょうか。

「東京オリンピック開催期間中、あなたが希望する働き方として当てはまるものをお教えください」と尋ねたところ、通勤混雑が激しくなることを懸念する人たちは、「時差出勤したい」を選択した比率が最も高く、4割近くになりました。「テレワークしたい」と回答した人の比率20.6%の2倍近くです。

 オリンピック期間中、公共交通機関の利用者が増えるのは間違いありません。しかし、交通機関が四六時中スシ詰め状態になる訳でもないはずです。

 常に尋常でない混み方をしているのは通勤ラッシュ時間。オリンピック期間でなくとも、平日の通勤ラッシュ時の混み方は苛烈です。ところが、ラッシュ時間を過ぎると、車両によっては閑散とした印象を受けるほど、ゆとりがあったりします。

「時差出勤」で働く人の割合はわずか0.2%

 一方で、「通勤時間帯の混雑が激しくなりそう」と回答した人の2割がテレワークを希望しています。しかし、中には販売の仕事のように、実際に店舗にいなければならない仕事もあります。

しゅふJOB総研が働く主婦層に対して行ったアンケート結果(画像:しゅふJOB総研)



 テレワークという働き方はこれからどんどん広がっていく可能性がありますが、自分事として捉えるにはまだ少しハードルが高い印象を持つ人も多そうです。心の奥底ではテレワークを希望していても、目前に迫ったオリンピック期間中の対処策としては現実味がない、と感じる人は相当数いるのではないでしょうか。

 その点、時差出勤であれば通勤ラッシュ時間を避けるだけなので、より現実的解決策として、会社側に配慮してもらえるイメージがつきやすいかもしれません。

 では、実際に都内にて時差出勤で働いている人はどれくらいいるのでしょうか。東京都産業労働局が2017年3月に発表した「労働時間管理に関する実態調査」によると、時差出勤で勤務している人はわずか0.2%しかいません。

 そんなにも少ないのか、とも感じてしまいますが、そもそもの話、平日の通勤ラッシュがあれだけ混雑してしまうのは、時差出勤している人が少ないことの裏返しだとも言えます。

敢えて通勤を選ぶ人もいる

 オリンピック開催に関わらず時差出勤が日常的に利用されていれば、通勤ラッシュ時の混雑は緩和され、通勤者たちの朝のストレスは大いに軽減されるはずです。

 勤務地近くの保育所に小さい子どもを預けている人も、時差出勤して混雑を避けられれば、子ども連れで通勤する際の安心感が変わってきます。

保育所に子どもを預けるワーママのイメージ(画像:写真AC)



 テレワークがもっと広がって通勤そのものの必要性がなくなることも、通勤混雑を回避する上で大いに有効ですが、中には仕事と家庭のオンオフをしっかり切り分けるために、「敢えて通勤を選びたい」と考える人もいます。

 東京オリンピックをきっかけのひとつとして、日常的に時差出勤が利用できるような環境整備が進んでいくことを是非期待しています。


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