知られざる江東区のチャイナタウン! 「亀戸中央通り商店街」のガチっぷりがすごい

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知られざる江東区のチャイナタウン! 「亀戸中央通り商店街」のガチっぷりがすごい

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昼間たかし

ルポライター、著作家

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亀戸で現在勢いのあるチャイナタウンについて、ルポライターで著作家の昼間たかしさんが解説します。

墨東の雰囲気を残しつつ、進化

 東京東部の街・亀戸には昔から独特の香りが定着しています。総武線の隣の駅である錦糸町は墨東地域の中心都市。最近は駅北口で再開発が続き、各種の住みたい街ランキングでも上位に登場するようになりました。オシャレなショッピングモールもできて、ファミリー層に好まれる雰囲気があります。

亀戸中央通り商店街の様子(画像:昼間たかし)



「青山にでもなりたいのか」という感じに進化する錦糸町に対し、亀戸はまったく別の進化を続けています。墨東の伝統的な雰囲気が、21世紀型に進化しているというところでしょうか。

 亀戸には1997(平成9)年に郊外型ショッピングモールの先駆けといえる「サンストリート亀戸」が誕生。通常、こうした店舗ができると再開発によって十把一絡げな街になってしまいますが、亀戸はそのようになりませんでした。亀戸の持つ独特のディープさは十把一絡げな進化を拒否し、独自の進化を遂げたのです。

 その結果、亀戸はとてつもなく興味深い街になっています。その中でも筆者が、明日にでもすぐに出かけてほしいと全力でおすすめするのが「亀戸チャイナタウン」です。

 チャイナタウンというと、日本では横浜にある中華街が親しまれてきました。ただしここは観光地。あちこちに観光客向けの店舗が建ち並んでいます。デフレの時代を迎えてからは食べ放題の店が増えて、また人気になっているのはテレビ番組などを通じて知られるところです。

中国の「日常」がある

 しかし、そこは人口14億人の国。日本に暮らす中国人の数も増えた結果、関東のあちこちに新たなチャイナタウンが生まれています。埼玉県の川口市、都内は池袋と亀戸です。

亀戸中央通り商店街の飲食店の様子(画像:昼間たかし)



 こうした街が中華街と違うのは、観光地ではないことです。中でも最寄り駅の利用者が多かったり、歓楽街が近接していたりして、常に人通りが多い川口や池袋と異なり、亀戸は用がないと訪れない地域。ゆえに、完全に「日常」しかないのが特徴です。

 その中心になっているのが亀戸中央通り商店街。亀戸駅北口から徒歩5分ほど。休日に昼飲みで賑わうエリアを抜けた先にある下町の商店街です。そこにあるのは、多くの中国人向けのスーパーや中国料理店。別に観光客を呼び込むわけでもなく、下町の日常に溶け込んでいるのです。

 その日常感を一番味わえるのは料理店です。刀削麺でも食べようかと適当な店ののれんをくぐると、中国人客だけというのは当たり前。店員に日本語が通じないこともあります。先日も刀削麺を指さしたら、中国語でなにかを尋ねられました。まったくわからないので、数少ない知っている言葉である「我是日本人」といったら、なにかを納得して調理をはじめました。何を聞かれていたのかわかったのは、料理が運ばれてきてから。どうも「パクチー入れていい?」と聞いていたようです。

 こうした「一応日本語の看板も出しているけど、メインの客は中国人だよ」という店舗は、日本人が入ると気を遣ってくれます。どうも日本人はあまり匂いの強いものや辛いものが苦手と思っているらしく、「辛いのいい?」ともよく聞かれます。親切な人だと最初から少なめにしてくるときも。そうしたときは、恐れることなく辛くして大丈夫だと主張しましょう。「辛いの好き!」など日本語でいっても、だいたい通じます。

アジア各国の人々が入り乱れている

 そんな地域ですから、どこの店も利用客は仕事の前後にやってくる近所の中国人。ある店では出勤前のホステスがカウンターで口紅を塗っていたり、はたまた店員が常連客をずっと説教していたり。料理が安くてうまいのに、こんなドラマまで見せてくれてなんともいえないお値打ち感があります。

亀戸中央通り商店街の食材店の様子(画像:昼間たかし)



 さて商店街を歩くと次々と目に入ってくるのが、中国人向けのスーパーです。インスタントラーメンから調味料、飲み物も売っています。こうした店はとても「危険」です。なぜならここで売っている調味料で料理を作ると、いきなり現地の味に近づくからです。調味料ひとつで現地感を味わえるので、ついつい食べ過ぎてしまうのは必然です。

 とりわけ危険なのは、黒酢です。中国でメジャーな「鎮江黒酢(ジェンジアンシアンツー)」を使うと、酢豚から餃子のタレまで完全に本格中華の味になります。冷凍水餃子も百個単位で売っているので、近所に住んでいたら体重が増えてしまいそうです。

 日本人からすると物珍しさが目につきますが、やはりそこには日常があります。通りにある店を利用しているのは、中国人ばかりではありません。アジア系の食材が揃っていることもあって、さまざまな国の人が買い出しに訪れています。どうもアジア系料理店が材料の買い出しに利用しているようで、近くに停められた車に野菜が詰め込まれた段ボールを運ぶ光景も見られます。そのため、「玉ネギ20kg・1500円」なんていうのも売っています。

 日中プラスアジア各国の人々が入り乱れる亀戸中央通り商店街。そこで味わえるのは、海外旅行でもなかなか味わえない日常の暮らしというヤツでしょう。街歩きには、もっともおすすめしたい地域のひとつです。

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