沖縄の貴重な「国産コーヒー豆」収穫体験レポート。東京都内で買えるお店は?

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沖縄の貴重な「国産コーヒー豆」収穫体験レポート。東京都内で買えるお店は?

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シカマアキ

旅行ジャーナリスト、フォトグラファー

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日本国内でコーヒー豆が作られていることをご存じでしょうか。実は沖縄でも近年コーヒーの栽培が行われています。今回は旅行ジャーナリスト・フォトグラファーのシカマアキさんが、沖縄本島でコーヒーの収穫から焙煎まで体験できる農園をレポート。東京都内でコーヒー豆が入手できるお店についても紹介します。

●沖縄でコーヒーの生産ができる理由と歴史

 コーヒー豆は、実は育てることが非常に難しい植物の1つ。気温や降水量など厳しい気候条件が必要なことから、赤道を中心に北緯25度から南緯25度にかけて「コーヒーベルト」と呼ばれる熱帯地方を中心に栽培されています。産地は南米やアフリカ、インドネシアなど。ちなみに、コーヒー生産量の世界一はブラジルです。

沖縄県産のコーヒーチェリー、収穫体験(画像提供:沖縄観光コンベンションビューロー)



 沖縄は、そのコーヒーベルトから少し外れる北緯24度から28度。それでも栽培できるのは、熱帯海洋性気候に属することが理由とのこと。実は約50年前からブラジル移民が沖縄に持ち帰った種を育てて栽培していたと伝わるものの、販売されることが皆無だったため、近年まで沖縄県産コーヒーは知る人ぞ知る存在だったそうです。

●本島北部のコーヒー園でコーヒーの収穫、意外な味に驚き

 那覇空港から、車で約2時間。沖縄本島北部の「又吉コーヒー園」で、コーヒーの収穫体験をしてきました。

沖縄本島北部の東村にある「又吉コーヒー園」(画像提供:沖縄観光コンベンションビューロー)

 もともとバラ園として、旅行客に人気だったこの場所。バラは美しい一方で、農薬も大量に使うため、「次世代のために、農薬を使わない作物を作りたい」と、2014年からコーヒー栽培を始めたとのこと。現在は東京ドーム約2個分(約3万坪)の敷地に、約2500株のコーヒーの木が農場で育てられています。

コーヒーの実は色とりどり。赤い実がコーヒーチェリー(画像:シカマアキ)

 体験内容は、まずはコーヒーチェリーの収穫から。枝に赤く熟して実る「コーヒーチェリー」と呼ばれる実を、カップ一杯に摘んでいきます。もちろん無農薬。勧められるままに1個食べてみると糖度20%超えという味はとても甘く、まるでザクロのようで驚きです。コーヒーならではの酸味や苦みは、この時点ではまったくありません。

●コーヒーの焙煎は手間がかかる、ついに飲むとその味は…

 コーヒーチェリーを摘み終わると、次はドリップまでの作業。実から手作業で一つずつ種を取り出すのは、なかなか大変です。その後、水でぬめりがなくなるまで種をこすり洗いします。

コーヒーの実から種を取り出す作業(画像:シカマアキ)

 水洗いした種は焙煎器にかけ、乾燥させます。10分ほどずっと振り続ける作業は手首や身体まで疲れてくるものの、だんだんコーヒーらしくなっていくのがよくわかります。

種を乾燥させる作業。乾くとパラパラになってくる(画像:シカマアキ)

 種が乾燥したら、精米機や扇風機を使い、殻と薄皮をはがします。色の悪い豆などを除いて選別後、やっと生豆と呼ばれるコーヒー豆となります。生産地から出荷されるコーヒー豆は、通常この状態です。

焙煎後の豆はやっとコーヒーらしい色合いに(画像:シカマアキ)

 選別した生豆は再び焙煎器に入れ、コーヒーらしい色に変わるまでずっと振り続けます。するとやっと香ばしいコーヒーの香りが漂ってきます。その豆をハンドミルで挽き、お湯を注いで完成です。その味はブラックコーヒーとしてストレートで飲むと、香りや苦みも確かに絶妙なおいしさ。手間暇をかけて自ら作り上げたコーヒーの味は、まさにプライスレスなものがあります。

●1杯のコーヒーから学んで考える旅で世界が広がる

 コーヒー豆はカップ1杯約20グラムで、およそ2杯分。コーヒーとして飲むことができるのは、収穫した実のたった10分の1ほど。

ドリップ後のコーヒー。甘くて香ばしい味わい(画像:シカマアキ)

 世界中で飲まれているコーヒー。その途方もない作業量は、実際に体験してこそ考えさせられるものがあります。しかも、コーヒーの生産地は発展途上国が大半で、農園労働者は低賃金かつ過酷な労働条件で働かされているという現状も。体験を通じ、コーヒーが収穫から飲むことができるまでいかに大変な作業かを知ることができるのも、貴重と言えるでしょう。

パンに塗るジャムも実はコーヒーから作られ、意外なほどおいしい(画像:シカマアキ)

 さらに又吉コーヒー園では、使わないコーヒーの皮や果汁の部分で作ったジャムやコーヒーの葉で作ったお茶なども製造・販売。これらもフードロスの一環とのことです。沖縄県が今、進めているサステナブルツーリズム「エシカルトラベルオキナワ」としても、体験を通じてコーヒーとSDGs(持続可能な開発目標)の組み合わせで、沖縄そして世界を知る、学ぶきっかけとなるかもしれません。

■又吉コーヒー園
住所:沖縄県国頭郡東村字慶佐次718-28
TEL:0980-43-2838
営業時間:10:00~17:00(土日祝9:30~)
定休日:不定休
料金:8,800円(コーヒー収穫体験:11月~4月)
アクセス:沖縄自動車道 宜野座ICから車で44分、許田ICから車で39分
那覇バスターミナルから名護バスターミナル経由、路線バスを乗り継ぎ、「東村ふれあいヒルギ公園前」より徒歩13分(バスの本数に注意)
※WEB 予約詳細は公式サイトをご確認ください
https://www.matayoshicoffee.jp/

●東京都内で特別な沖縄県産コーヒーが買える店

 沖縄県産のコーヒーはどこで飲めるのでしょうか。実際まだ豆の生産量が少ないため、とても希少価値が高く入手し難いのが現状です。沖縄での収穫時期は11月ごろから4月ごろとなり、乾燥・熟成期間を経て6月以降が出荷時期になります。

又吉コーヒー園のコーヒー豆、焙煎後(画像提供:沖縄観光コンベンションビューロー)

 又吉コーヒー園のコーヒー豆は、東京都内では「白金台珈琲 Kuromimi Lapin(クロミミラパン)」で購入できます。コーヒー豆の市場で約0.2%と言われる最高級のスペシャルティコーヒーを使ったオリジナルブレンドや自家焙煎のコーヒー豆などを販売し、こだわりのコーヒーが味わえるお店として評判です。イートインも可。売り切れ次第、販売終了なのでお早めに。

■白金台珈琲 Kuromimi Lapin
住所:東京都港区白金台5-17-8 2F
TEL:03-5422-9638
営業時間:【平日】8:00~18:00、【土曜】9:00~17:00
定休日:木曜、日曜、12月31日~1月3日、その他不定休
アクセス:東京メトロ南北線「白金台駅」より徒歩4分

取材協力:ソラシドエア/沖縄県/沖縄観光コンベンションビューロー

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