寒い日はもちろん、暖かい日でも四肢末梢が冷えている方や、「なんとなく体調が悪い」「便秘または下痢が続いている」などの悩みを持つ方はいませんか?
実はこのような悩みを持つ方が近年増えてきており、これらの不調の原因は「冷え」であることも多いようです。
便秘や下痢、疲れやすい、生理痛・生理不順など、できることなら改善していきたいですよね。
そこでおすすめなのが、近年話題になっている、簡単にできる健康法「温活」です。
この記事では、温活の定義や効果、やり方などについて説明していきますので、温活に興味のある方や、体に不調のある方は、ぜひ実践してみてくださいね。
メリットいっぱいの「温活」とは
温活とは、「体を温めることで基礎体温をあげ、体の不調を治し、健康を保つこと」です。
エアコンやヒーターを利用して一時的に体を温めるだけではなく、自らの力で温かい身体を保つための活動のことをいいます。
温活は、東洋医学の「冷えは万病のもと」という考えが基になっており、近年、様々なメディアや書籍に取り上げられたことにより、注目され、実践する方が増えています。
2019年、養命酒製造株式会社が、全国の20~59歳のビジネスウーマン、1,000名に「温活」をテーマに行ったアンケートによると、「温活を実践したい」と答えた方の割合は、どの世代も20%を超え、全体でみると、69.7%の方が温活を実践したいと思っていることが分かりました。
なぜ「温活」が注目されているの?
「冷えは万病のもと」という言葉があるほど、冷えが原因で起こる体の不調は多く、冷えを解消することで、体の不調の改善にもつながる可能性があります。
ここでは、冷えによる不調の種類や、温活の効果を解説していきますので、自身の不調が冷えによるものなのか、温活で解消できるのかを確かめていってくださいね。
冷えは万病のもと
東洋医学では「冷えは万病のもと」といわれ、体温が1度下がるごとに、免疫力は30%も下がると言われています。
冷えが原因で起きる不調は数多くあり、便秘や下痢などといった軽い不調から、癌や血管疾患などの大きな病気の原因にもなります。
四肢末梢が冷えていなくても、倦怠感や、以前と比べて風邪をひきやすくなったなどの症状があれば、内臓が冷えている可能性があります。
ほかにも、冷え性によって自律神経が乱れると、肩こりや疲れが取れない、イライラするといった症状が出現することもあります。
現代人は冷え性が増えている
現代人は、文明の利器が発達したことにより、冷え性が増えてきています。
夏場はクーラーが効きすぎた部屋で体を冷やし、普段の生活では短い距離でも車やエレベーターなどを利用することによって運動不足になっていることが原因のひとつです。
他にも、ジャンクフードなどの過剰摂取による栄養が偏った食事内容や、ストレスなども、血行障害の原因のため、冷え性に繋がります。
リンナイ株式会社が、全国の20~60代の男女、合計1,000名を対象に行ったアンケートによると、男性40.6%、女性72%、全体では56.3%の方が冷えを感じています。
アンケート結果からも分かるように、女性の場合は、
- 脂肪が多い分、筋肉量が少ない
- 生理の際の血液不足による冷え
- ホルモンバランスが崩れることによる自律神経の乱れ
- 冬場のスカート着用などの薄着
- 矯正下着などによる締め付け
という理由から、男性よりも冷え性になりやすいといった特徴があります。
温活の効果・メリットは?
体を温めて血行を良くすることで、様々な効果があります。
- ダイエット
- 冷えによるむくみや血行障害の改善
- 睡眠不足の改善
- 腰痛や肩こりの改善
- 生理痛や生理不順の改善
- 頻尿の改善
- 病気にならない健康な体を手に入れられる
女性の生理痛や生理不順は、冷えが原因になっていることも多く、お腹や腰、ふくらはぎを温めることで症状が改善します。これを「子宮温活」と呼びます。
冷えやすい子宮を温めることで妊活にも貢献できるといいます。
温活には、食事や運動、服装などに気を付けるだけで出来る様々な方法があり、いくつかを少しずつ取り入れ、継続的に続けていくことで効果を発揮します。
どの方法も、日常生活の一部として取り入れられる方法ですので、毎日の生活の送り方が、温活の重要ポイントとなることを覚えておきましょう。
カンタンにできる温活の方法
温活を始めるのに、特別な用意は必要がなく、今日から、誰でも簡単に始めることができます。
ここでは、「食事」「服装」「運動」「入浴」の4点に絞って、簡単な温活の方法を照会していくので、さっそく始めてみてくださいね。
食べ物で体を温める
食べ物には、体を温める作用のあるものと、体を冷やす作用のあるものがあります。
例外もありますが、一般的に「根菜」や「寒い地域の食材」には体を温める作用、「地上で育つ野菜」や「暖かい地域の食材」には体を冷やす作用があるといわれています。
| 体を温めるもの | 体を冷やすもの |
|---|
| 食材 | 生姜、唐辛子、人参、かぼちゃ、ごぼう、大根、蓮根、玉ねぎ、じゃがいも、りんご、さくらんぼ、ぶどう、オレンジ、赤身肉、鮭、マグロ、カツオ、ちりめんじゃこ、海藻チーズ、ヨーグルト、納豆、キムチ、みそ | なす、トマト、きゅうり、レタス、キャベツ、冬瓜、白菜、ほうれん草、ゴーヤバナナ、パイナップル、レモン、メロン、スイカ、みかん、グレープフルーツうなぎ、あさり、しじみ、小麦粉 |
| 飲み物 | 紅茶、赤ワイン | 緑茶、コーヒー |
外気温が低い冬場には、温かいものを食べたくなりますが、外気温の高い夏場には、ついつい体温を下げるものを食べたくなります。
しかし、クーラーなどで体を冷やしやすい夏場だからこそ、体を内側から温めていく工夫も必要です。
体を冷やすものを一切口にしてはいけない、というわけではなく、上記の表を参考に「体を温めるもの」を積極的に摂取する、「体を冷やすもの」を摂りすぎないことを意識してみましょう。
服装で温める
体が冷える服装は体調を損ねる原因になります。
「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」という言葉があるように、上半身は多少冷えていても問題ありませんが、下半身はしっかりと温めておくことで、体全体が温まります。
また、「足首」「手首」「首元」といった「首」の漢字がつく部位をしっかりと温めることも大切です。
足首や手首は、寒さを感じやすいですが、首元はついつい忘れてしまいがちになるため、注意しましょう。
などはオールシーズン使えますし、
- レッグウォーマー
- 手袋
- ハンドウォーマー
- アームウォーマー
- マフラー
- ネックウォーマー
といった温活グッズは、冬場に大活躍します。
外出時のカイロや、就寝時の湯たんぽも良いですね。
運動で体を温める
基礎体温を上げるには、全身の血行状態を良くする必要があり、その際に必要なのが筋肉です。
筋肉には、血液を体全体に送り出す働きがあるため、筋肉の量が増えることで代謝も増え、四肢末梢の隅々まで血液が行きわたり、体を温めます。
効率的に筋肉をつけるために鍛えるべき部位が「下半身」です。
筋肉の約70%は下半身に集まっているため、下半身に筋肉をつければ、一気に筋肉量を増やすことができます。
下半身に筋肉をつけるためのおすすめな運動法には、
などがあります。
ウォーキングは、普段運動の習慣のない方に特におすすめです。
まずは週3回、1日15~30分程度歩くようにするだけで下半身の筋肉は鍛えられます。
このとき、だらだら歩くのではなく姿勢を良くして、きびきびと歩くことが重要です。
慣れてきたら、坂道や砂利道など、歩きにくい場所をウォーキングし、さらに筋肉量のアップを狙ってみましょう。
太ももやふくらはぎ、腰などの大きな筋肉を使うスクワットも、下半身の筋肉をつけるのには最適です。
入浴後に行えば入浴で温まった体をさらに温めることができるため、入眠がスムーズになります。
つま先運動とは、家事や仕事の際にかかとを上げてつま先で歩く運動のことです。
つま先立ちをすることで、ふくらはぎや太もも、おしりなどの筋肉が鍛えられるため、効率的に下半身に筋肉をつけられます。
ただし、かかとの上げすぎは足首の負担になるため、注意しましょう。
入浴で身体を温める
入浴には「温熱作用」といって、お湯につかることで体の表面温度を上昇させ、皮膚表面の血管を通じて血液を全身に巡らせる効果があります。
ほかにも、「静圧作用」という水圧での全身のマッサージ効果も期待できます。
忙しい日々を送っていると、ついつい湯船につからずシャワーのみで済ませてしまう方も多いと思いますが、シャワーのみでは温熱作用も静圧作用も、効果を期待できません。
40度の湯船に15~20分ほどゆっくりと浸かって、体の疲れをとりましょう。
湯船につかるのが苦手な方や、時間をとるのが難しい方は、半身浴や足浴がおすすめです。
半身浴は下半身の筋肉を温めることができますし、足浴であれば読書をしたり、テレビを見たりと、好きなことをしながら体を温めることができます。
サ活で温める
サ活とは「サウナ活動」の略で、継続することで血流を良くして冷え体質を改善する効果があります。
自宅でサウナをする場合には、みぞおちまで湯につかる半身浴をする際に、お風呂のふたを半分閉めます。
こうすることで簡易的なサウナになるので試してみてください。
よもぎ蒸しで温める
よもぎの煎液を煮立たせる際に発する蒸気で下半身を蒸すことで、血液の循環やリンパ液の循環を改善する血行促進効果をもたらします。
サウナと似ているように感じますが、皮膚から生薬の効果を吸収でき、下半身のみを温めるため、長時間続けても息苦しさがなく、読書や映画鑑賞など好きなことをしながら過ごせます。
温活の基本は生活習慣の見直しです
温活に即効性はなく、冷え体質となる体を冷やす生活を見直し、体を温める活動を継続した生活習慣としていくことが重要です。
「暑いから」「好きだから」などの理由で、「体を冷やす食べ物ばかりを食べる」「体を冷やす服装をする」「湯船には浸からない」などの生活を送っていたら、体は温まりません。
「週3日は運動する」「特別な日は冷えを気にしない服装にする」など、ストレスを貯めない工夫をしながら、少しずつ日常生活を改善していきましょう。
まとめ
温活とは、健康や美容のために基礎体温を上げて不調を改善することでもあります。
- 冷え性は軽度の不調はもちろん、大病の原因にもなる
- 生活が楽になることと比例し、冷え性も増えてきている
- 温活には、血行障害や生理痛、腰痛、肩こり、イライラなどを改善する効果がある
- 温活は、簡単に誰でもすぐに始められる
- 温活の基本は食事や運動、入浴などの生活習慣を見直すこと
体の冷えは、放っておくと取り返しのつかない大きな病につながることもあります。
生活習慣を見直し、普段の生活から温活を取り入れ、健康な体を手に入れてくださいね。