マンション管理士は、合格率わずか9%の難関資格です。しかし、市販のテキストも充実しているため、勉強方法を工夫すれば独学での合格も目指せます。
本記事では、マンション管理士の難易度や独学で受験するメリット・デメリット、独学で勉強する方法を解説していきます。
おすすめのテキストや問題集も紹介しているので、独学でマンション管理士を受験しようと考えている人はぜひ参考にしてください。
マンション管理士は独学でも合格できる?
結論から申し上げますと、マンション管理士は独学でも合格することは可能です。しかし、マンション管理士は、ほかの不動産系の資格と比べると難易度の高い資格でもあります。
では、マンション管理士試験の難易度は具体的にどれくらいなのでしょうか。
ここからは、ほかの士業、不動産系資格と比較しながら解説します。
合格に必要な勉強時間
マンション管理士試験合格に必要な勉強時間は、一般的に500時間程度だといわれています。これをもとに勉強に必要な期間を計算すると、1日1時間勉強する場合は約1年半、1日3時間勉強する場合は約半年となります。
ただし、500時間という数字は、あくまで初学者がゼロから合格するために必要な勉強時間です。過去に宅建や管理業務主任者を受験している場合は、試験科目の重複が多いため、勉強時間も短くなります。
では、500時間という勉強時間は、ほかの資格と比較して多いのでしょうか?
合格に必要な勉強時間
資格名 | 勉強時間 |
マンション管理士 | 500時間 |
宅建 | 300時間 |
管理業務主任者 | 300時間 |
賃貸不動産経営管理士 | 100時間 |
社労士 | 1,000時間 |
不動産鑑定士 | 2,000~3,700時間 |
土地家屋調査士 | 1,000時間 |
宅建、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の勉強時間はいずれもマンション管理士よりは短いようです。
よって、マンション管理士は不動産関連の資格の中では最も難易度が高いといえそうです。
しかし、社労士、不動産鑑定士、土地家屋調査士と比較すると、マンション管理士の勉強時間は半分〜4分の1程度となっています。
試験の難易度
マンション管理士の合格率は、7〜9%です。偏差値で表すと60~64で、社労士と同程度となっています。では、合格率をほかの資格と比較していきましょう。
資格名 | 合格率 |
マンション管理士 | 7~9% |
宅建 | 15% |
管理業務主任者 | 20% |
賃貸不動産経営管理士 | 30% |
社労士 | 4~6% |
不動産鑑定士 | 5% |
土地家屋調査士 | 7~9% |
合格率で比較しても、マンション管理士は宅建、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士よりも難易度が高いといえます。
士業系の資格と比べると、土地家屋調査士の合格率は7~9%で、マンション管理士と同程度です。
しかし、社労士、不動産鑑定士はいずれもマンション管理士よりは低く約5%となっています。したがって、マンション管理士は不動産関連の資格の中では難易度が高いものの、士業系の資格と比較すると、難易度は比較的低いといえます。
マンション管理士試験は独学がおススメ?
マンション管理士は士業の中では難易度が低いと説明しましたが、独学と予備校、どちらのほうがよいのでしょうか?ここでは、マンション管理士を独学で受験するメリットとデメリットを紹介します。
独学のメリット
マンション管理士を独学で受験するメリットは、主に次の3点です。
- 費用が安い
- 勉強の比重を調整できる
- 生活スタイルに合わせて勉強できる
まずは、受験にかかる費用が安い点です。
予備校を利用する場合、数万~数十万円の学費がかかってしまいます。また、通学講座を選択した場合は交通費がかかることもあります。
しかし、独学受験でかかる費用は、受験料を除けばテキスト、問題集のみで、予備校よりはるかに安く抑えられます。
加えて、自分の学習進捗や苦手分野、もともとの知識レベルに合わせて学習の比重を調整できる点もメリットだといえます。
予備校ではカリキュラムが設定されているため、すでに理解している範囲に無駄に時間をかけてしまったり、反対に苦手な範囲を理解する前に次の範囲に移ってしまったり、といったことも起こります。
しかし独学なら、ほかの資格受験で勉強した科目は飛ばしたり、苦手な範囲に時間を割いたりといった学習時間の調整が可能です。
また、独学なら自分の生活スタイルに合わせて勉強できます。
予備校の場合、講義の時間や曜日が決められています。そのため、夜遅くまで仕事をしている人や、急な予定が入りやすい人は通うのが難しいです。
その点独学は、時間や場所に融通が利きやすいため、生活スタイルにかかわらず勉強できます。
独学のデメリット
マンション管理士を独学で受験するデメリットは、主に次の3点です。
- モチベーションが保ちにくい
- 合格に時間がかかりやすい
- スケジュール管理が必要
独学は、勉強仲間が近くにいないため、モチベーションが下がりやすいです。
最初はやる気があっても、500時間という長時間モチベーションを維持し続けるのはなかなか厳しいです。
独学で受験する場合は、SNSなどで勉強仲間を見つけるとよいでしょう。
独学ではわからないところがあっても一人で解決しなくてはなりません。法律系の科目は特に条例や 判例などの解釈が難しい部分があるため、初学者は特に勉強に時間がかかるでしょう。
加えて、法改正情報も自分でチェックする必要があるため、合格までに時間がかかりやすくなってしまいます。
また、予備校ではカリキュラムが設定されているのに対し、独学では自分でスケジュールを組む必要があるため、スケジュール管理が苦手な人には向いていません。
独学で合格するための勉強方法
マンション管理士を独学で合格するためには、次の3点を意識しましょう。
- 勉強の計画を立てる
- 模擬試験を受ける
- 自分に合ったテキスト・問題集を選ぶ
勉強の計画を立てる
受験勉強は長期戦になるので、あらかじめ勉強のスケジュールを立てておくことが大切です。
試験は毎年11月の最終日曜日に行われるので、そこから逆算して合計500時間の勉強時間を確保できるように計画を立てましょう。
例えば1日3時間勉強する場合は、5月頃から勉強を始めると合計が500時間になります。学習計画を立てる際は、一日の勉強時間や勉強を始める時期だけでなく、いつ頃までにテキストを終わらせるか、いつ頃から弱点強化を始めるかなど、細かく設定しておくことをおすすめします。
また、試験直前になって焦らないように、計画は余裕をもって、無理のないように立てましょう。
【勉強の計画を立てるポイント】
- 試験日(11月の最終日曜日)から逆算する
- 〇月までにどこまで終わらせる、など細かく設定する
- 余裕をもって計画を立てる
模擬試験を受ける
模擬試験は予備校のカリキュラムの一部に組み込まれていることが多いですが、予備校に通っていなくても受けられます。
模擬試験を受けることで、独学では難しい弱点や実力の客観的な分析ができます。
また、時間配分の感覚をつかむ練習にもなるので、独学であっても模擬試験は必ず受験しましょう。
【模擬試験を受けるポイント】
- 予備校に通っていなくても受けられる
- 弱点や実力の客観的な分析ができる
- 時間配分の感覚をつかめる
自分に合ったテキスト・問題集を選ぶ
自分に合ったテキスト・問題集を選ぶのも重要です。テキスト選びの際に見るべきポイントは、自分の知識レベルに合っているか、自分にとって解説がわかりやすいか、索引が充実しているかの3点です。
あまり専門的すぎるテキストを選んでも、初学者には使いこなすのが難しいので、初学者は初心者向けのテキスト、学習経験者は学習経験者向けのテキストを選びましょう。
また、自分で調べながら学習する必要がある独学では、調べたい部分をピンポイントで調べられるよう、索引の充実しているテキストを選ぶことをおすすめします。
【テキスト選びのポイント】
- 自分の知識レベルに合っているか
- 解説がわかりやすいか
- 索引が充実しているか
問題集は必ず最新版を買いましょう。
過去問が分野別にまとめられている問題集は、復習や弱点の重点学習がしやすいのでおすすめです。該当ページが記載されている場合もあるので、もしあればテキストと同じシリーズの問題集を買ってもよいでしょう。
【問題集選びのポイント】
- 最新版
- 過去問が分野別になっているか
- テキストと同じシリーズ
市販のテキストは非常に種類が多く、比較するのが大変なので、ネットで買おうと考えている人もいるかと思います。
口コミで評価が高いものや個人ブログでおすすめされているものを買ってもよいですが、見やすいと感じるレイアウトやわかりやすいと感じる文体は人によって違います。
テキスト・問題集はネットで見て買うよりも、実際に書店に行って買うことをおすすめします。
マンション管理士試験の独学におススメのテキスト・問題集
ここからは、マンション管理士試験の独学におススメのテキスト・問題集をそれぞれ三つ紹介します。
おススメのテキスト3選
先述したようにテキストのわかりやすさには相性も関係していますが、「図表が豊富に使われているテキスト」と「問題の重要度が記載されているテキスト」は、どんな人にとっても使いやすいことが多いです。
これらの要素を踏まえて、マンション管理士試験の独学におすすめのテキストは、次の三つです。
- らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト
- みんなが欲しかった!マンション管理士・管理業務主任者 合格へのはじめの一歩
- 出る順マンション管理士・管理業務主任者 合格テキスト
らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト
「らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト」は、合格に十分な知識を網羅しつつ、コンパクトにまとめた、情報量の多さと読みやすさを兼ね備えたテキストです。
具体例や図表を豊富に使用し、わかりやすく解説しており、初学者でも理解しやすくなっています。
章末にある一問一答形式の「重要!確認問題」は、知識の定着度のチェックにうってつけです。また、章ごとに頻出度、項目ごとに出題された年度が記されているので、どこを重点的に学習すればよいか一目でわかります。
「TAC情報会員」にWeb登録すれば、法改正情報が記載された「法律改正点レジュメ」が見られるので、独学でも法改正情報を漏らす心配がありません。
みんなが欲しかった! マンション管理士・管理業務主任者 合格へのはじめの一歩
「みんなが欲しかった! マンション管理士・管理業務主任者 合格へのはじめの一歩」は、イラストや板書を使ったり、かみ砕いた表現にしたりなど、わかりやすさにこだわった一冊です。
初学者が基礎を理解するための入門書となっており、法律に関する知識がなくても無理なく理解できます。
こちらのテキストはマンション管理士と管理業務主任者のダブル受験を想定していますが、管理業務主任者よりもマンション管理士のほうが出題範囲が広いので、マンション管理士のみの受験でも有効です。
出る順マンション管理士・管理業務主任者 合格テキスト
「出る順マンション管理士・管理業務主任者 合格テキスト」は、「法律のLEC」出版のマンション管理士試験、管理業務主任者試験対策テキストです。
こちらも図表が豊富に使われていたり、索引が充実していたりと、使いやすさにこだわったテキストになっています。
テキストは「法令編 民法・区分所有法等」「法令編 標準管理規約・適正化法」「管理実務・会計・設備系編」の三つに分割でき、移動中の勉強にも便利です。
テキストは最新の法改正情報に対応しており、さらに購入者限定Webページからの応募で「関連法規改正冊子」ももらえるので、法改正への対策もばっちりです。
おススメの問題集3選
続いてマンション管理士の独学受験におすすめの問題集を紹介します。テキストと同じシリーズの問題集がある場合は、同じシリーズでそろえると、対応している箇所が記載されていたり、言い回しが同じだったりするので使いやすいです。
項目ごとに問題が分かれている問題集だと、弱点の重点学習がしやすいでしょう。また、テキストと同様重要度の記載がある問題集もおすすめです。これらのポイントを踏まえて、おすすめの問題集は次の三つです。
- 出る順マンション管理士 分野別過去問題集
- マンション管理士 一問一答 セレクト1000
- マンション管理士 項目別過去8年問題集
出る順マンション管理士 分野別過去問題集
「出る順マンション管理士 分野別過去問題集」は、先ほど紹介した「出る順管理業務主任者・マンション管理士 合格テキスト」と同シリーズの問題集です。
こちらのテキストは、問題と解説が見開きのレイアウトになっているので、効率的に学習できます。
さらに、「予備校講師が教える過去問学習法」や独自に収集した回答状況のデータなど、法律のLECならではの情報も満載です。
解説の各肢にはテキストの参考ページが記載されているので、「合格テキスト」と合わせて購入することをおすすめします。
また、「合格テキスト」と同様、三つに分割できるので、外出先で勉強したいときにも便利です。
マンション管理士 一問一答 セレクト1000
「マンション管理士 一問一答 セレクト1000」は、過去問から厳選された1000問を一問一答、〇×形式で掲載した問題集です。
一問ごとにS~Cまでの重要度ランク付けがされているので、要点を絞った勉強ができます。
解答や解説中に登場した重要語句は赤シートで隠せるようになっており、さらにサイズもコンパクトなので、すきま時間の暗記や復習にも最適です。
また、「らくらくわかる! マンション管理士 速習テキスト」と同様、TACの出版なので、Webページから会員登録をすれば「法律改正点レジュメ」が見られます。
マンション管理士 項目別過去8年問題集
「マンション管理士 項目別過去8年間問題集」は、四肢択一式問題を直近8年分、計400問収録した問題集です。
重要度以外にも、「頻出・ひっかけ・ハイレベル」の問題の特徴も記されているのが特徴です。
左に問題、右に解説の1問1ページのレイアウトになっており、反復学習がしやすくなっています。
二つに分解できるセパレート形式になっているので、外出先での勉強にもおすすめです。
こちらの問題集もTAC出版なので、会員登録で「法律改正点レジュメ」が見られます。
独学を検討している人は通信講座もおススメ
マンション管理士は独学でも合格は可能ですが、初学者や独学合格の自信がない人は、通信講座もおすすめです。
通信講座なら場所も時間も選ばないので、仕事で通学講座に通う時間がない人でも続けられます。
また、カリキュラムは設定されているものの、通学講座よりは学習の進め方の自由度が高い点も、独学を検討している人に通信講座がおすすめの理由の一つです。
ここからは、マンション管理士試験におすすめの通信講座を紹介していきます。
マンション管理士試験の通信講座とは?
通信講座の受講は、学費がかかることがネックだと考えている人もいるかもしれません。
しかし、マンション管理士試験の通信講座は、ほかの資格の講座に比べて価格が安いことが多いです。
管理業務主任者試験とセット価格になっている通信講座も多く、ダブル受験を目指している人はお得に受講できます。
また、最近では紙のテキストだけでなく、eラーニングも取り入れている講座が多いので、通勤中などのすきま時間を活用して勉強したいと考えている人にもおすすめです。
おススメの通信講座3選
マンション管理士試験におすすめの通信講座は、次の3校です。
フォーサイト
フォーサイトは、全国平均の約4倍、39.3%の合格率(2021年度)と高い合格率を誇っている通信講座です。
もちろん2021年度がたまたま高かったわけではなく、2020年度の合格率も25.9%と、例年平均を大きく上回る合格率を出しています。
業界初のオリジナルフルカラーテキストは、非常にわかりやすいと評判です。
また、スマホ、タブレット、パソコンに対応した次世代eラーニングシステム、「ManaBun」は、受講やテキストの参照はもちろん、ゲーム感覚でできる確認テストや一問一答形式になった単語カードなど、豊富な機能を取りそろえています。
Eメールで質問対応もしているので、わからないところがあっても安心です。
【フォーサイトのおすすめポイント】
- 39.3%の驚異の合格率
- 豊富な機能を取りそろえたeラーニングシステム、ManaBun
- Eメールでの質問対応
- 業界初のフルカラーテキスト
- 不合格者全額返金
アガルート
アガルートのマンション管理士・管理業務主任者試験の講義は、マンション管理士、宅建、賃貸不動産経営管理士などに一発合格したプロ講師、工藤美香講師が担当しています。
テキストの作成も工藤講師が担当しているので、講義内容とテキストにずれがない点も魅力です。
また、アガルートは質問無制限、月1回のホームルーム、合格者は受講料全額返金もしくはお祝い金2万円がもらえるなど、サポートも充実しています。合格率も非常に高く、2021年度の合格率は36.4%でした。
【アガルートのおすすめポイント】
- プロ講師・工藤美香講師が担当する講義とテキスト
- Facebookグループで回数無制限で質問可能
- 月1回のホームルーム
- 合格者は全額返金もしくは2万円のお祝い金
- 2021年度合格率36.4%
- テキスト、問題集はスマホで閲覧可能
ユーキャン
ユーキャンは、イラストや図表を使ったわかりやすいテキストが特徴です。
添削問題は全12回あり、独学では難しい客観的なアドバイスがもらえます。
ユーキャンは7カ月でマンション管理士、管理業務主任者のダブル合格ができるようなカリキュラムになっています。ですが、管理業務主任者の試験日までの日数が7カ月を切っている場合は、翌年の試験日までサポートが受けられます。
また、ユーキャンのeラーニングシステムでは、2分~2分半程度の各ポイントの解説動画が見られるので、すきま時間の活用にもおすすめです。
【ユーキャンのおすすめポイント】
- イラストや図表を使ったテキスト
- 全12回の添削問題
- 7カ月でダブル合格
- 試験日まで7カ月を切っていたら翌年までサポート
- 各ポイントごとの解説動画が視聴できるeラーニングシステム
まとめ
マンション管理士の合格率は7~9%で、合格までに必要な勉強時間は約500時間です。
ほかの不動産系資格に比べると難易度は高めですが、士業系の資格の中では難易度は低めなので、独学でも合格を目指せます。
独学のメリットは費用が安く抑えられる、勉強の比重を調整できる、生活スタイルに合わせて勉強できる、の3点です。
反対に、独学のデメリットはモチベーションを保ちにくい、合格に時間がかかりやすい、スケジュール管理が必要の3点です。
メリットとデメリットを理解し、自分が独学に向いているかを見極めましょう。
独学でマンション管理士試験に挑む場合は、勉強の計画を立てる、模擬試験を受ける、自分に合ったテキスト・問題集を選ぶ、の3点を意識しましょう。
また、もし独学では厳しいと感じたら、通信講座の受講も検討してみることをおすすめします。