徳川家康も勝利祈願した!江戸の守り神・神田明神―東京神社案内【9】
東京都には約2,000社の神社があると言われています。初詣や祈願成就で参拝したり、散歩がてらに立ち寄ったりと神社に行く機会は何かと多いのでは。そこで本シリーズでは、写真家の石津祐介さんが神社の見どころや土地とのつながり、オススメの授与品を紹介し、神職の方からお話を伺います。第9回は「神田明神」です。古くから庶民に親しまれた神社 古くから江戸の守り神として親しまれ、今なお多くの参拝者が訪れる神田明神。正式名称は「神田神社」といい、一の宮に大己貴命(おおなむちのみこと)、二の宮に少彦名命(すくなひこなのみこと)、三の宮に平将門命(たいらのまさかどのみこと)を御祭神としてお祀りしています。今回は、権禰宜の髙島瑞暉さんに神社を案内していただきました。 都内では最も古い神社の一つ(画像:石津祐介)【写真】「IT情報安全守護」などの授与品も>> 「ご創建は天平2年(730年)で、都内においては最も古い神社の一つになります。今の大手町あたりに、出雲の出身者が故郷を想って大己貴命(だいこく様)をお祀りする小さな祠を建てたのが始まりと言われています。そして創建から350年ほど過ぎた頃に平将門公(まさかど様)をお祀りしますが、明治天皇の行幸の際に別の御社に移っていただきました。代わりに少彦名命(えびす様)を勧請しましたが、今では3柱をお祀りしています」(髙島さん) だいこく様は縁結び、えびす様は商売繁昌、まさかど様は除災厄除の神様として、神社では縁結びや家内安全、商売繁盛、除災厄除、病気平癒などのご利益があるとされています。 大手町にある平将門塚。神社の旧跡地はこの辺りで、将門公の祟りを鎮めるため神社に祀られたといいます(画像:石津祐介)石造りとしては日本一のだいこく様の石像(画像:石津祐介)江戸城の表鬼門、江戸総鎮守として 慶長5年(1600年)には、関ヶ原の戦いに挑む徳川家康が神社で戦勝祈願を行いました。そして江戸幕府が開かれると、元和2年(1616年)に江戸城の表鬼門にあたるこの地に遷座します。 「祭が行われていた旧暦の9月15日に戦に勝利したという事で、非常に縁起の良いお宮だと、徳川家から厚い信仰をいただきました。当時の御社殿は徳川幕府からの寄進で、社内には葵の御門があしらわれたといいます。また江戸の三大祭りの一つである神田祭(の祭礼行列)は、将軍がご覧になるために江戸城にも入ることができたので『天下祭』とも称されました」(髙島さん) 中山道に面した神田明神の鳥居(画像:石津祐介)神田明神の見どころを紹介 鮮やかな朱色が特徴の随神門を過ぎると、境内には江戸時代に関東三大獅子の一つとして奉献された「獅子山」や、再建された社殿とともに建立された正面を向いている「狛犬」などがあり、見どころも多くあります。 神社の入り口に位置する随神門(画像:石津祐介)千尋の谷で子を見つめる獅子の像「獅子山」(画像:石津祐介) 社殿は関東大震災で消失しましたが、昭和9年(1934年)に当時としては珍しい鉄骨鉄筋コンクリートで再建されました。 「関東大震災で燃えてしまったので、二度と燃えない建物を作ってくださいと再建されました。戦時中、空襲でこの辺りは焼け野原になりましたが、この御社殿は戦災を免れました。現在も、当時のまま残っています」(髙島さん) 昭和初期に鉄骨鉄筋コンクリートで再建された社殿(画像:石津祐介)人気の授与品をいただこう 授与品は、境内の神田明神文化交流館「EDOCCO(エドッコ)」で販売されています。館内には、カフェなども併設されています。 「実は最近、若い世代の方に神具が人気です。なかなか実物を見る機会も少ないので、何を買いそろえばいいのか分からないという方でもスタッフが説明いたします。授与品ではビジネスマンに特に人気の『IT情報安全守護』や西陣織を用いた『神田明神御守』が人気です」(髙島さん) 館内で販売されているさまざまな神具(画像:石津祐介)左から「IT情報安全守護」と「神田明神御守」(画像:石津祐介)常に新しいものを取り入れてきた神社 神田明神は秋葉原が近いという立地もあり、アニメーションやゲーム、アイドルとのコラボを行っている事でも知られています。(*) 「江戸時代には歌舞伎とお祭りを一緒に行ったり、昭和になりますと銭形平次の舞台となったり、神社と流行り物のコラボレーションは今に始まった事ではないので、さまざまなものを受け入れています」(髙島さん) 「まずは気軽に神社に足を運んでいただき、神様にご挨拶していただければと思います」と髙島さん(画像:石津祐介)■神田神社(かんだじんじゃ) 住所:東京都千代田区外神田2-16-2 TEL:03-3254-0753 営業時間:9:00〜17:00 昇殿参拝・御祈祷:9:00〜15:45 *納涼祭り(盆踊り)2023年8月11日(金)~13日(日)※数量限定御朱印あり アクセス:JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線 御茶ノ水駅より徒歩5分 東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅より徒歩5分 東京メトロ銀座線 末広町駅より徒歩5分 JR山手線・総武線、東京メトロ日比谷線、つくばエキスプレス 秋葉原駅より徒歩7分 ※神田祭は例年5月中旬に開催
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