写楽や刀剣など国宝89点や名品一挙公開!実物を間近で見られるチャンス

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写楽や刀剣など国宝89点や名品一挙公開!実物を間近で見られるチャンス

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日野京子

エデュケーショナルライター

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芸術の秋、美術館・博物館が集まる上野ではさまざまな展覧会が催されています。東京国立博物館では創立150年を記念して、コレクションの歩みを紹介するとともに日本最大級の数の国宝が一挙に公開されます。特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」について、エデュケーショナルライターの日野京子さんがご紹介します。

展覧会特設ショップでは榮太樓總本鋪のオリジナル缶(洛中洛外図屛風、観楓図屛風、秋冬山水図)を期間限定で販売(画像:榮太樓總本鋪プレスリリースより)



 秋の深まりを感じる季節になりました。「芸術の秋」という言葉がありますが、日本が世界に誇る博物館である東京国立博物館にて10月18日(火)から12月11日(日)の期間中、大注目の特別展が開催されています。

 東京国立博物館創立150年記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」では、同博物館が所有する89点に及ぶ全ての国宝が一斉に展示されるという、まさに空前絶後であり前代未聞の企画です。

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東京国立博物館(画像:photoAC)

湯島での展覧会が全ての始まり

 東京国立博物館の歴史は今年150年を迎えた日本の鉄道の歴史と同じく1872(明治5)年にさかのぼります。記念すべき年ということもあり、こうした特別な企画が行われることになりました。

 そもそも、東京国立博物館の歴史は19世紀末の博覧会に触発され、湯島聖堂で名古屋城の金の鯱(しゃちほこ)や動物のはく製などを展示したのが始まりです。同期である鉄道に比べると施設が整備されていないという違いに興味深いものがあります。

鯱などを湯島聖堂に展示している様子を描いた作品も出品される(画像:photoAC)

 しかし、明治維新で一気に近代国家への道を歩み始めた日本としては、欧米諸国を基にした国づくりを進める上で展示だけでなく、文化財保護と研究機関の確立も重要課題でした。

 現在の東京国立博物館の前身である帝国博物館が上野に完成したのが1881(明治14)年のことです。鹿鳴館の設計で知られるジョサイア・コンドルが手がけましたが、関東大震災で被災し残念ながら現存していません。

 1882(明治15)年に開園した上野動物園より一年先輩で、上野公園内にある施設の中では最も古い歴史を持ちます。

 現在の東京国立博物館本館は1938(昭和13)年に開館し、戦火も生き抜いた貴重な建物です。同じ敷地内には、当時皇太子であった大正天皇の婚礼を記念して立てられた1909(明治42)年開館の表慶館(重要文化財)、東洋館、法隆寺宝物館そして、今回の特別展が行われる平成館があり敷地面積は12万平方メートルを超えます。

東京国立博物館の空撮。左が表慶館。右が平成館(画像:photoAC)

目玉が多すぎて贅沢すぎる展覧会

 「国宝」と聞くだけで特別な存在ですが、一挙に89点も同じ場所で陳列されるというのは日本の博物館や美術館史上例をみない試みです。

 所有する国宝を「絵画」「書籍」「刀剣」「東洋絵画」など8つのグループに分け、展示されています。期間内は展示の入れ替えが行われるため、全ての国宝を見るには複数回足を運ぶ必要があります。

刀剣展示のイメージ(画像:photoAC)

 前期展示では、入場者が一番初めに目にする位置に桃山文化の長谷川等伯の代表作である『松林図屏風』が展示されました。

 豊臣秀吉から寵愛を受け、画家として成功した長谷川等伯の代表作であり、自分の跡継ぎとして期待されていた愛息が先立たれた喪失感のなかで取り組んだとされる、日本の水墨画の傑作の一つです。

 同作品は10月30日までの展示ですが、毎年年明け最初の開館日から1月中旬のみに展示される作品としても知られています。そのため、正月以外の期間に観覧できるのも極めて珍しいです。

 見どころ満載な特別展には「あ!見たことある」と感じる、教科書でおなじみの埴輪『挂甲の武人(けいこうぶじん)』などの考古物や、尾形光琳の蒔絵箱『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』といった著名な国宝も展示されます。

武人の埴輪のイメージ(画像:photoAC)

重要文化財や超有名な作品も展示

 国宝展と銘打っていますが、国宝だけでなく所有する重要文化財や、国宝などの指定を受けていないものの、認知度の高い作品も鑑賞することができます。

 たとえば、重要文化財の東洲斎写楽の代表作『三代目大谷鬼次の江戸兵衛』(11月13日まで展示)のように美術に少し疎い人でも「これは知っている」という作品なども見ることができます。

 そして、「国宝でも重要文化財でもないの?」と驚く人も多い菱川師宣の代表作であり、最も有名な浮世絵の一つである『見返り美人図』も、11月13日(日)までは本物が展示されています。

 一つの作品だけでもメインになるような作品が次々に並んでおり、一斉に集まる異例の展覧会と言えます。このように注目度の高い特別展ということもあり、混乱を避けるため日時指定の事前予約制をとっています。

 作品によっては展示されている期間が限定されており「せっかくのチャンスを逃した」ということがないように必ずチェックして予約してください。

芸術の秋に始まるまたとないチャンス

 コロナ禍などもあり、ここ数年は大規模な展覧会が開催されてきませんでした。ようやくさまざまな行事が行われている中で、東京国立博物館の150周年を記念する特別展はまさに「特別」です。

 少しずつ日常を取り戻しつつある秋。芸術の秋を堪能しに、上野の東京国立博物館に出かけてみてはいかがでしょうか。

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