「ラオックス秋葉原本店」ついに無期限休業――アキバのシンボル的店舗、今後どうなる?

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「ラオックス秋葉原本店」ついに無期限休業――アキバのシンボル的店舗、今後どうなる?

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若杉優貴

都市商業研究所

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ラオックス秋葉原本店が6月10日に無期限休業に入りました。アキバの家電量販店の中でも老舗中の老舗としてシンボル的存在だった同店の変遷と今後について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

ラオックス本店、改装で「脱免税店」となったばかりだったのに…。

 JR秋葉原駅電気街口前の万世橋近くにある複合商業ビル(元家電量販店)「ラオックス秋葉原本店」(以下、ラオックス本店)が、今年(2022年)6月10日の営業をもって無期限の長期休業に入り、一旦その歴史に幕を下ろしました。

 近年のラオックス本店といえば「外国人向けの免税店」という印象が強いですが、同店がコロナ禍のなか改装をおこない、脱免税店化を図った「新業態」に転換するなど、あの手この手で営業を続けていたことはあまり知られていなかったかも知れません。

 永年にわたって秋葉原のシンボル的店舗の1つとなっていたラオックス本店。今後どうなるのでしょうか。

6月10日で休業したラオックス秋葉原本店。 店頭左には免税店時代のフロアガイドが掲げられていましたが、実は昨年「新業態」に生まれ変わったばかりでした。(画像:若杉優貴)



秋葉原きっての老舗、「家電店」→「免税店」→そして最後は「アジアン+ホビー」

 ラオックスの前身は1930年に創業、1945年には現店舗の近く(神田須田町)に店を構えており、秋葉原の家電量販店のなかでは「老舗中の老舗」として知られていました。

 一方で、2009年6月には競争の激化により中国企業・蘇寧電器(現・蘇寧易購)の傘下になったことを契機に家電量販店から総合免税店へと転換。それ以降はアジア各国からの観光客による「爆買い」の象徴的な場としてメディアに登場する機会も増え、全国各地へと店舗網を拡大しました。しかし、2020年以降のコロナ禍により外国人客は大きく減少。その後は再び店舗網を大幅に縮小しつつも新業態の開発を進めていました。

 実は、ラオックス本店も2021年夏に「過去の人気業態」と「新たな業態」を組み合わせた「新業態店舗」へと生まれ変わっていたのです。

 その新業態とは、かつてラオックスが展開していたホビー店「アソビットシティ」の売場と、ラオックスが得意とする「中華食材」「中華コスメ」をはじめとした「アジア各国からの輸入商品」の売場で構成されるもので、店頭には懐かしい「Aso Bit City」ロゴも復活。人気アニメとのコラボ企画やここだけにしかない食材などを武器に、新たなスタートを切ることとなりました。

地階にはガンプラ専門の売場も登場していましたが、今年に入り一足先に閉鎖(画像:若杉優貴)

 しかし、「免税店」の印象が強かったためか、店頭を見る限り「何だか入りづらい」と思う通行客も少なくなかったよう。2022年に入っても緊急事態宣言が出されるなど、都心における新業態の知名度拡大は困難を極めたと思われます。

閉店直前、6月のラオックス本店店頭。 左の棚には「アソビットシティ」のロゴも再登場したほか、右には「アジアンマーケット」の文字も。(画像:若杉優貴)

 筆者も6月の閉店セール中にラオックス本店へと足を運びましたが、アニメ『ラブライブ!』シリーズや初音ミク、『鬼滅の刃』、サンリオキャラクター、くまモンなどといった様々な人気コンテンツの棚には「70%OFF」「80%OFF」の札が貼られていたものの、肝心の客は自分たちのみ。「新業態店舗」は知名度も今ひとつのまま、わずか1年で「閉店」となってしまいました。

 なお、ラオックスは傘下となったギフト店「シャディ」とともに2021年末から都内郊外に「中華食材」「中華コスメ」を販売する地域密着型の小型店の出店を開始。こちらは順調に店舗網を増やしつつあります。

ラオックス社長「活用方法は検討中」――近い将来には再開発も?

 ここで気になるのは「ラオックス本店」の今後。
 ラオックス代表取締役社長・飯田健作氏に「秋葉原の一等地が空き家のままで良いの?」という質問をぶつけたところ、実は「本店は空きビルではない」そう。一体どういうことなのか――と、さらに話を伺うと「本店は上層階をオフィスとしており、去年はeコマースの出荷拠点としても活躍していた」とのこと。一方で、下層階の店舗スペースについては「白紙ではないがいくつかのパターンで検討中」で、具体的な活用方法については「今のところ未定」だといいます。

 実は、ラオックス本店とその周辺は「外神田一丁目南部地区第一種市街地再開発事業」により、近い将来に秋葉原最高層の超高層ビルへと建替えられる方針が発表されています。

 再開発エリアは約1.9ヘクタールにも及び、エリア内には「ラオックス本店」のほか、「エディオンAKIBA」(旧石丸電気)、「オノデン」など秋葉原の顔ともいうべき老舗家電量販店や「アニメイト秋葉原店別館」(今年1月閉店、旧石丸ソフト)、そして国道を挟み、カラオケ「パセラ」やアイドル劇場「パームス」(こちらも旧石丸ソフト)、さらに「千代田合同庁舎」や「千代田区民館」などといった公共施設も含まれます。

「外神田一丁目南部地区第一種市街地再開発事業」計画エリア。(千代田区ウェブサイトより)



 それゆえ、再開発の進行状況によっては現在のラオックス本店が営業再開したとしても「完全再開」とはならずにいわば「ごく短期間の中継ぎ」のような店づくりを余儀なくされることも予想され、具体的な活用方法を決めかねているという事情もありそうです。

 電気街の歴史とともに成長を遂げ、そして時代の変化に伴い姿を変え続けてきたラオックス本店。新時代の秋葉原を担うような斬新な新業態を組み込むかたちで蘇ることを期待したいものですが、果たして…。

再開発が検討されているラオックス・エディオン・オノデン周辺。 近い将来、景色が一変する可能性も。(画像:若杉優貴)

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