車両基地からレトロ飲み屋街まで 都心のエアポケット「大井町」を巡る

東京を代表する巨大ターミナル・品川駅からひと駅の場所にある大井町駅。そこには便利さだけでなく、昭和の香りがまだ残っていました。まち探訪家の鳴海侑さんが解説します。


独特の魅力がある大井町

 都心の大きなターミナル駅のひとつ、品川駅からJR京浜東北線の横浜方面行きの電車に乗ると次に停車するのが大井町駅です。

JR大井町駅(画像:(C)Google)



 東急大井町線やりんかい線が乗り入れるターミナル駅ですが、周辺のまちに関して言えば注目される機会は決して多くありません。

 それでも、大井町駅周辺は商店をはじめとしたさまざまな施設が集積しており、独特の魅力がある場所です。

大型家電量販店から変わり種の商業施設まで

 大井町駅はJRを基準に見ると中央口と東口・西口のふたつに分かれています。中央口から見ていくと、中央口には駅直結の商業施設「アトレ大井町」(品川区大井1)があります。

 アトレはJR東日本の子会社が恵比寿や秋葉原、川崎をはじめ、各地で展開する駅直結型を中心とした商業施設です。施設内は暖色系の空間演出が特徴で、アトレ大井町も同じように暖色系のライトが目立ち、テナントはアパレルを中心におしゃれなブランドが入っています。

 アトレの東にはペデストリアンデッキがあり、デッキは大型家電量販店の「ヤマダ電機 LABI品川大井町店」(同区東大井)に直結しています。もともと、この場所にはファッションビルの丸井がありましたが、2007(平成19)年に撤退し、同店が代わりに入居しました。

北側方面から見たJR大井町駅周辺(画像:(C)Google)

 今度はアトレ大井町の西側へ向かいます。こちらには駅前に「阪急大井町ガーデン」(大井1)があります。

 阪急は関西の大手私鉄として有名ですが、グループ企業では商業施設を展開しています。阪急大井町ガーデンも阪急グループの企業が運営している施設のひとつです。

 特にこの阪急大井町ガーデンは阪急グループ内でもかなり特殊な施設で、食料品売り場、テナントフロア、温浴施設、ホテルなどがひとつの建物に集約されています。

 中でも特徴的なのは食物販で、「阪急百貨店大井町食品館」として阪急百貨店の1店舗として展開されており、百貨店らしい食料品売り場となっています。食料品売り場のほかは、どちらかと言うとショッピングセンターのようなテナントが入居しています。

バスターミナルには多様な行き先のバス

 阪急大井町ガーデンの北側にはバスターミナルがあります。

 大井町駅西側から発着するバスは多様な行き先で、羽田空港へ向かうリムジンバスをはじめ、大崎、中目黒を通って渋谷へ向かう「渋41」系統や品川から池上を通って蒲田に至る「品94」系統、東京港トンネルを経てお台場に行く「井30」系統などの路線バスが発着しています。

「井30」系統の路線図(画像:NAVITIME)



 特にお台場に行く「井30」系統は都内均一運賃のため安価にお台場にアクセスすることができ、筆者(鳴海侑。まち探訪家)も学生時代はりんかい線に変わってこちらのバスを何度か利用していました。

 バスターミナルの北西には総合スーパーの「イトーヨーカドー大井町店」(大井1)があります。食品や衣料品、100ショップなど生活に身近なものを中心に売り場が構成されている商業施設です。

 ここまで大井町駅周辺のいくつかの大型商業施設を紹介してきましたが、アトレや阪急大井町ガーデンのように高感度なものや上質なものを置く大型商業施設だけでなく、ヤマダ電機やイトーヨーカドーのように庶民派な大型商業施設もあります。

 こうした商業集積は珍しく、居住者目線で見ると、とてもよい買い物環境と言えそうです。

「補助26号線」全通に向けて工事も進行中

 さて、イトーヨーカドーの北側にはJR線をまたぐように東西に道路が延び、地下にはりんかい線が、道路の北側には東急線の大井町駅があります。

 この道路が大井町のメインストリートで、西に向かえば品川区役所方面、東に向かえば品川シーサイドや八潮パークタウン方面に至ります。

 通称「環状6.5号線」とも呼ばれる「補助26号線」(都市計画道路幹線街路補助線街路第26号線)の一部をなし、全線が開通すれば鮫洲から大井町、武蔵小山、学芸大学駅周辺、中野などを経て板橋区までを結ぶ道路となります。

 現在は全通に向けて複数箇所で工事や工事準備が進んでいますが、大井町駅周辺では大井町駅から西側に数百mのところでトンネル工事が行われています。

大井町駅から西側に数百mのところで行われているトンネル工事の様子(画像:(C)Google)

 JR横須賀線や東急大井町線をアンダーパスするもので、このトンネルが開通すると、第2京浜や目黒通りまで車でアクセスしやすくなります。

駅東側は昭和レトロな飲み屋街も

 補助26号線と東急大井町線の北側には劇団四季の「キャッツ・シアター」(品川区広町)とJR東日本東京総合車両センターがあります。

 東京総合車両センターは車両基地エリアと車両工場エリアがあり、大井町駅に近い車両基地エリアにはJR山手線の車両が留置されます。

東京総合車両センターの車両基地エリア(画像:(C)Google)



 そのため、早朝や深夜には普段あまり見ることがない山手線の車両が複数編成そろうところを見ることができます。

 今度は補助26号線を歩いてJR線をまたいで東側に行くと、飲み屋街が面的に広がっています。

 特に補助26号線の1本北側の細い道にある「東小路飲食店街」はまさに「昭和の居酒屋街」と言いたくなるような場所で、昭和レトロな雰囲気を感じながら飲みたい人には打ってつけの場所です。

仙台藩に縁のある土地も

 そして補助26号線沿いも「銀座通り」として多くの飲食店が立ち並び、北側の歩道はアーケードになっています。アーケードを抜けた先には交差点があり、右に行けば大井町駅中央口、正面に行けば旧仙台坂を経て八潮、左に行けば「仙台坂」を経て青物横丁へと至ります。

 仙台坂は麻布エリアにも同名の坂があり、どちらも仙台藩下屋敷跡があったことにちなむ名称です。旧仙台坂の上には仙台味噌醸造所(同区東大井)があり、坂の途中には下屋敷の裏玄関に植えられていたとされる「タブノキ」があり、仙台藩に縁のある地であることを教えてくれます。

仙台味噌醸造所(右)と仙台坂(画像:(C)Google)

 仙台坂からは大井町駅に戻ってもいいですし、足を伸ばして仙台坂を下りて青物横丁駅の東側を南北に伸びる旧東海道歩きをしてみてもいいかもしれません。

 筆者は、仙台坂上の酒屋「ワダヤ」(同区南品川)で東京ではなかなか手に入らない地方の地酒を手に入れることがあります。日本酒が好きな方はぜひ寄ってみてください。

 注目される機会は少ないですが、歩いて見ると面白いスポットや下町的なものとの出会いがある大井町駅周辺。秋の風に誘われてふらっと散歩してみると思わぬ発見があるかもしれません。


【明治初期から平成まで】大井町駅周辺の風景はどう変わった?(11枚)

画像ギャラリー

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