流行嫌いのあまのじゃくさんに贈る「渋谷パルコ」徹底ガイド

去る11月22日に再オープンを果たした商業施設「渋谷パルコ」。テレビやインターネットなどのさまざまなメディアが連日その詳細を報じていますが、まだまだよく知らない、いやよく知ろうとしない「あまのじゃくさん」も少なくないでしょう。そんな人たちに向けて、都市商業研究所の若杉優貴さんが詳しく解説します。


開業から46年、約3年の建替えを経て「復活」

 2016年8月より建替えのため閉店していた商業施設「渋谷パルコ」(渋谷区宇田川町)が、2019年11月22日(金)に待望の「再開業」を迎えました。

 新しい渋谷パルコの核となるテーマは「ファッション」、「アート」、「エンターテインメント」、「フード」、「テクノロジー」。ファッションのみならず、これまでのパルコには無かった新たな試みや最先端技術、そして「カオスな空間」までもがひとつの建物で体験できることが特徴だといいます。今回は、そのうち特に個性的な、渋谷パルコならではというべき「注目のショップ」をいくつか紹介したいと思います。

3年ぶりの営業再開となった渋谷パルコは「文化のビックリ箱」か。アートウィンドウを飾るのは田名網敬一氏の作品(画像:若杉優貴)



 さて、新しい渋谷パルコを巡る前に、まずは同店の歴史について振り返っていきたいと思います。

 渋谷パルコは1973(昭和48)年6月に、池袋パルコ(1969年開業)に次ぐパルコ2号店として開業。建物は地上9階・地下1階建、売場面積は1万9479平方メートル。西武セゾングループ(当時)の旗艦店として、最盛期には

・パート1、パート2(1975年開業)、パート3(1981年開業)
・インテリア「SR6」(1986年開業)
・パルコクアトロ(1988年開業、現在パルコのライブハウス「クラブクアトロ」とGUが出店)
・専門店街「ゼロゲート」(2002年開業)

といった物販施設のほか、

・劇場「パルコ劇場」(開業時は「西武劇場」)
・美術館「パルコミュージアム」(池袋パルコに移転)
・ライブハウス「クラブクアトロ」
・東京FMの「渋谷スペイン坂スタジオ」

といった施設を併設しており、ファッションのみならず渋谷を代表する文化発信基地となっていました。ちなみにパルコはイタリア語で「公園」という意味であり、「渋谷公園通り」はパルコにちなんで命名されたものです。

 しかし時は流れ、2007(平成19)年に老朽化に伴う耐震強度不足を理由としてパート2が閉館(現ホテル コエ トーキョー)。残るパート1・パート3も老朽化が進んでいたため、「宇田川町14・15番地区第一種市街地再開発事業」と題した再開発による建替えを行うこととなり、2016年8月をもって休館。その後はSR6、ゼロゲート、クラブクアトロなど一部の関連施設のみが営業を続けていました。

 休館前に外壁全体を使うかたちで当時公開直後であった映画「シン・ゴジラ」とのコラボレーションが行われていたことを思い出す人もいるのではないでしょうか。

「ファッション」×「テクノロジー」で着たまま試着も!

 今回、約3年ぶりに復活する渋谷パルコの新しい建物は地下3階、地上19階建て。そのうち、パルコが出店するのは地下1階から地上10階(10階は屋上)までで、総店舗数は193店舗となります。なお、高層階と低層階の一部には大手不動産会社「ヒューリック」(中央区日本橋大伝馬町)がオフィスとして入居しています。

1階にはGUCCIなどラグジュアリーブランドも(画像:若杉優貴)



 パルコといえば真っ先に思い浮かぶのが「最先端のファッションテナント」。もちろん、新しい渋谷パルコにも「グッチ」や「ロエベ」といったラグジュアリーなメゾンブランドや人気カジュアルブランド初の女性単独店「コム デ ギャルソン・ガール」(それぞれ1階)、3D体型測定ができるというザ・ノースフェイスの新業態「ザ・ノース・フェイスラボ」(3階)、日本初出店となるストリートブランド「ベイト」(5階)など、数多くのファッションテナントが出店しています。

 ここで注目したいのが、5階に設けられた11店の小型店舗が集まるオムニチャネルショップ「パルコ キューブ」。このパルコキューブは店頭に一部商品を陳列、店頭にない商品は「パルコ オンラインストア」を使って購入するというショールーミング型の売場となっており、その最大の特徴はさまざまな最新技術を導入することによって「狭小店舗でも豊かな品揃えを実現できる」ことです。

 これにより、たとえたくさんの商品を陳列することが難しいマニアックな店舗であっても、狭い面積でパルコへ出店することが可能となります。もちろん、店頭にない商品の試着も可能で、店頭に設けられた「キューブミラー」を使えば着替えることなく服を着たままバーチャル試着が行え、後ろ姿を見たり試着する服の色を変えたりすることも思いのままです。

 パルコキューブ以外でも「さらに実用的なバーチャル試着」技術を取り入れているショップとして話題を集めているショップがあります。それは、同じく5階に出店するお馴染みの眼鏡チェーン「JINS」の次世代型店舗。

 この店舗では眼鏡をかけたまま眼鏡のバーチャル試着ができるという画期的な新システム「メガネ オン メガネ」が導入されているのです。「メガネ オン メガネ」はこれまで目が悪い人にとって大きな悩みの種であった「眼鏡を外して眼鏡の試着をしても試着後の姿がまったく見えない」という問題を解消してくれるほか、人工知能(AI)を用いた「眼鏡が顔に似合っているか」を診断してくれる機能も盛り込まれているといいます。ひょっとしたら数年後には全国の店舗で導入されるかも知れないこの次世代型システム。いち早く体験してみてはどうでしょうか。

 このほか5階には12月からロボットスタッフも導入されるほか、自分のスマートフォンで楽しむことができるバーチャルフォトスポットや仮想現実(VR)インスタレーション作品も登場しており、さまざまな場面で「未来のショッピング」が体感できるフロアとなっています。

「エンタメ」×「アート」でカルチャー発信強化も

 もちろん、ファッションのみならず「文化発信拠点」機能も強化されています。館内にはふたつのアートスペース「ギャラリーエックス」(地下1階)、「パルコミュージアム」(4階)を開設。現在両会場では建替え工事現場のアートウォールでもコラボレーションが行われた人気漫画「AKIRA」のアート展示「アキラ アートオブウォール 大友克洋 × 河村康輔 アキラ アートエキシビジョン」が実施されており、多くの人を集めています。

 渋谷パルコにおいて、こうした「エンターテイメント」×「アート」の総本山といえるのが6階「サイバースペース シブヤ」。この6階には「ニンテンドートウキョウ」、「ポケモンセンター シブヤ」、「刀剣乱舞万屋本舗(よろずやほんぽ)」、「ジャンプショップ」、「カプコンストア」など、アニメやゲームとのコラボレーション店舗が数多く出店。

 ポケモンセンターでは巨大なピカチュウのアート作品が飾られるほか、「渋谷限定アイテム」の販売も実施されます。こうしたアート作品・大型フィギュア等の展示や限定アイテムの販売は6階の他ショップでも行われており、国内のみならず世界中の観光客を集める人気スポットとなりそうです。

懐かしのウェイブロゴに再会。「缶コーヒー」などユニークな限定商品も(画像:若杉優貴)



 また、1階にはかつてパルコと同じ西武セゾングループだった大手レコードショップ「ウェイヴ」が復活。開店したばかりとあってまだ店内に音楽関連の商品は少ないものの、ウェイヴのアパレル商品や缶コーヒーなどここでしか買えない「ウェイブグッズ」の販売も実施。何といっても壁一面を埋め尽くしている「生きたモジュラーシンセ」を使ったアート作品は必見です。

 このほか、旧サンドウィッチ通りが生まれ変わった歩行者専用道路「ナカシブ通り」に面するアートウィンドウには田名網敬一氏によるインスタレーションが、館内各所には五十嵐威暢(たけのぶ)氏による旧渋谷パルコの「あの巨大ネオンサイン」の一部が飾られています。こうしたアート作品を見ながら散策してみるのも楽しいでしょう。

 ちなみにアートについてもっと知りたくなった人にオススメしたいのが、2階にある「オイル バイ 美術手帖」。ここは美術専門雑誌「美術手帖」初の実店舗で、ギャラリースペースやアートショップのほか、アートを見ながら休憩できる緑茶カフェも併設されています。

始発まで楽しめるカオスなフードゾーン

 渋谷パルコにおいて特に力が入れられているのが地下1階「カオスキッチン」、7階の「レストランセブン」を中心として37店舗もの飲食店が出店するフードゾーンです。

「カオスキッチン」イメージ。公式サイトより。(画像:(C)Sou Fujimoto Architects)



 なかでも「食・音楽・カルチャー」をテーマに21店舗(物販店を含む)が出店する「カオスキッチン」のカオスさは唯一無二。昆虫料理やジビエが楽しめる「米とサーカス」、AI・VRを活用したスイーツが楽しめる「ティフォニウム・カフェ」、女装家・ブルボンヌさんがママを務める純喫茶 + ミックスバー「はまの屋パーラー/キャンピーバー」、コンドーム専門店「コンドマニア」、昭和レトロな占いコーナー「クローバーリーフ」など、パルコの店内とは思えないような個性的な店舗が軒を連ねています。「どうせ万人向けの商業施設だから、そこまでカオスではないだろう」と思って入ってみると驚くこと間違いなし。一部店舗は朝5時まで営業しているため、終電を逃した人の強い味方にもなりそうです。

 また、渋谷パルコの建物の特徴となっているのがテラス状の緑あふれる「立体街路」です。この立体街路は、スペイン坂からパルコの外周を沿うように上ることができ、らせん状に10階「ルーフトップパーク」までつながる構造となっています。

 4階、8階、屋上には街を眺めながら一休みできるテラスが設けられるほか、屋上広場では12月31日(火)まで「シブカル祭。2019~ただいま!シブヤ~」が実施されるなど、さまざまなイベントが開催される予定となっています。

 屋上からは渋谷の街を一望することもできます。館内を歩き疲れた際にはテラスでひとやすみしつつ、街の移り変わりに思いを馳せてみるのも良いかも知れません。

「文化のビックリ箱」を体感しよう

 以前よりも増して「文化発信」要素が強く、そしてここでしか体験できないエンターテイエントを性が高い店舗へと生まれ変わった渋谷パルコ。

10階「ルーフトップパーク」のイメージ。公式サイトより(画像:若杉優貴)



 パルコが2012(平成24)年に大丸松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングの傘下となって以降に開業した上野、錦糸町、沖縄の3店舗は比較的おとなしい、どこか「百貨店らしさ」も漂う店舗となりましたが、今回の渋谷パルコはそれらとはまったく違う、まさにさまざまな文化をミックスした「カルチャーのビックリ箱」のような存在になったといえます。

「パルコで服を買うのは敷居が高いかも……」「渋谷系はもう卒業したし……」という皆さんも、「最先端のパルコ文化」を体験すべく一度足を運んでみてはどうでしょうか。


【画像】懐かしの旧「渋谷パルコ」の様子。当時は映画『シン・ゴジラ』とのコラボが行われていた

画像ギャラリー

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