さよなら上野動物園モノレール 近くの「10月限定」歴史スポットも巡ってみた

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さよなら上野動物園モノレール 近くの「10月限定」歴史スポットも巡ってみた

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若杉優貴

都市商業研究所

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今しか楽しめない上野の「10月限定」スポットについて、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。

10月末で見納め? 改札もレトロな「上野動物園モノレール」

 上野エリアには、歴史を感じることができる観光地が数多くありますが、今回は博物館と合わせて巡るのにぴったりな、「10月末までの期間限定」で楽しめる歴史スポットめぐりを紹介したいと思います。

東園駅に停車する上野動物園モノレール40形車両(画像:若杉優貴)



 まずやってきたのは、東京国立博物館からすぐの場所にある上野動物園(同)。この園内で見ることができる「10月末までの期間限定」は、動物たちではなく東京都が運営する「上野動物園モノレール」です。

 上野動物園モノレールの正式名称は「上野懸垂線」。運行距離は東園(ひがしえん)~西園(にしえん)駅間のわずか332mですが、遊園地の遊具などではなく東京都交通局が運行する鉄道路線です。

 この上野動物園モノレールが開通したのは1957(昭和32)年のこと。定期運行されるモノレール路線としては日本初でした。当時は自動車の増加から都電などに変わる新たな交通機関の開発が叫ばれており、上野動物園モノレールもその一環として試験的に導入されたといいます。

 わずか300mほどの路線であるため1980年代にも一度廃止が検討されたそうですが、何度かの運行休止・車輌更新などを経て、開通から60年以上を経た現在まで運行が続けられてきました。

 しかし東京都交通局は車輌の老朽化などを理由に、検査期限を迎える2019年10月末限りでの運行休止を発表。10月31日にはラストランイベントが開催され、引退の花道を飾ることになっています。

「独特な乗り心地」も味わえるのもあとわずか

 筆者が入園したのはパンダ舎などがある東園であるため、東園駅へと向かいます。現在の上野動物園モノレールの車輌は4代目となる40形車両。40形車両は2001(平成13)年にデビューしたため、車輌自体にはそれほど古さは感じられませんが、駅の設備を見ると券売機も改札もレトロな雰囲気です。

 未だに自動改札などは設けられておらず、パスモやスイカなどのカード型IC乗車券に対応していません。ちなみに運賃は片道150円、都営地下鉄などの1日乗車券は使用することができません。

 車内に乗り込み運転台に目をやると、運転台と運転士さんの操作も至ってシンプル。主な操作は1本のレバーを前後に動かすだけ。中央にあるモニターには速度計が表示されていますが、メーターは時速20kmまでです。乗車時間はわずか1分半、7分間隔での運行のため、運転手の動きが見たい人は1列車見送って一番前に並ぶと良いでしょう。

至ってシンプルな運転台。速度はなんと最高でも時速15kmほど(画像:若杉優貴)



 このように軌道からぶら下がって走行するモノレールは、国内では上野動物園モノレール以外にも「千葉都市モノレール」(千葉市)、「湘南モノレール」(神奈川県鎌倉市)、そしてロープウェイとモノレールのハイブリッドというべきミニ鉄道「スカイレール」(広島市)の3路線がありますが、軌道桁の上側にタイヤがあり、片腕でぶら下がって走るという方式はこの上野動物園モノレールだけ。

 東京都交通局は、40形車両引退後の運行再開計画などについて今のところ「未定」としており、「独特な乗り心地」を味わうことができるのもあとわずかです。

隠れた歴史スポット「下谷」には「10月限定御朱印」も

 このほかに「10月限定」が楽しめる歴史スポットとしてオススメしたいのが、東京国立博物館から歩いて10~15分のところにある日比谷線「下谷駅」近くにある小野照崎神社(台東区下谷)と三島神社(同)です。この2社では10月31日までの期間限定で、天皇陛下の即位に伴う特別な御朱印を受け取ることができます。

 両社の御朱印ともに新時代に相応しい鮮やかなもので、とくに、小野照崎神社の御朱印は11月に授かることができる特別御朱印と続き絵となるという珍しい仕様です。

小野照崎神社。社殿は幕末に建てられたもの(画像:若杉優貴)



 なお、下谷エリアは現在も東京大空襲の被害を免れた建物が多く残っており、小野照崎神社と三島神社ではともに都心で珍しい「戦前からの社殿」を見ることができるほか、小野照崎神社では富士山信仰のために造られた「富士塚」、三島神社では雷を閉じ込めたという伝説から「不落祈願の場」として知られる井戸「雷井戸」など、さまざまな歴史的パワースポットに触れることができます。

 下谷駅周辺は近年まで大正時代から昭和初期にかけて流行った「看板建築」と呼ばれる正面だけを装飾した住宅兼店舗が並んでおり、昭和を感じさせられる町として密かな人気を集めていました。

 しかし、ここ数年は「都心」「駅チカ」という立地に加えて耐震性問題などから解体される建物が相次いでおり、こうした街並みについてももはや「期間限定」ともいうべき状況となっています。街歩きの際には、神社の建物に加えてビルの間で生き残る古い看板建築たちにもぜひ注目してみましょう。

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