乃木坂、けやき坂……「坂道シリーズ」由来の地、全部歩いて分かった! “4者4様”の個性と魅力とは?
乃木坂46、櫻坂46(旧・欅坂46)、日向坂46。秋元康氏プロデュースのアイドル「坂道グループ」の名を冠する坂は、いずれも東京都内の港区にあります。実際それぞれの坂を歩いて、見えてくるものとは何でしょうか? チアライターの成田愛恵さんが現地をリポートします。急坂? 緩やか? どんな景色が見える? 乃木坂46、櫻坂46(旧・欅坂46)、日向坂46は「坂道シリーズ」と呼ばれる秋元康氏プロデュースのアイドルです。それぞれの名前と同名の坂が東京都内にあるのは有名です。 これらの坂、実際どこにあってどんな坂なのでしょうか。名前の由来になっている坂道は急なのか緩やかなのか、そこからどんな景色が見えるのか。実際に歩いてみました。 坂道シリーズ第1弾の乃木坂46 坂道シリーズ最初のグループは、生田絵梨花さんや齋藤飛鳥さんが所属する乃木坂46。AKB48公式ライバルとして2011年に1期生がお披露目され、2012年に「ぐるぐるカーテン」でCDデビューしました。 乃木坂46のグループ名は最終オーディションが行われた「SME乃木坂ビル」が由来です。乃木坂は港区赤坂8丁目から9丁目にあります。東京メトロ千代田線・乃木坂駅1番出口の正面です。 乃木坂周辺の景色。乃木坂駅と乃木神社(画像:成田愛恵) 緩やかな勾配の直線は、乃木坂陸橋の下からSME乃木坂ビルに向かってカーブし、上り坂になります。周囲には喫茶店やオフィスビルのほか、陸軍軍人の乃木希典(のぎ まれすけ、1849~1912年)をまつった乃木神社があります。 乃木坂駅の看板や乃木神社の鳥居の前では推しメンバーの写真を手に記念撮影をするファンらの姿も。聖地巡礼の定番スポットです。 乃木坂46が「清楚」と呼ばれるゆえん乃木坂46が「清楚」と呼ばれるゆえん 乃木坂46はライバルAKB48と異なりファンによる総選挙はなし。毎日公演をする劇場もありません。 激しいダンスナンバーや生バンドなどさまざまな挑戦をし、鮮やかな衣装に身を包んだエネルギッシュなAKB48に対し、乃木坂46はやわらかいダンスやシンプルで落ち着いた色の衣装が、「清楚」と表現されることも。 都会の中心にありながら、幹線道路から外れ車通りが落ち着く乃木坂の厳かで静かな雰囲気は、グループのイメージを彷彿とさせます。 乃木坂周辺は乃木坂46のCDジャケット撮影現場もあります。乃木坂駅はファーストアルバム「透明な色」の撮影地です。 発車メロディーにはメンバーの生田さんがピアノ演奏した「君の名は希望」が流れ、何気ない電車の待ち時間にときめきを与えます。徒歩での聖地巡りでも、ぜひ一度は駅に寄ってみてください。 けやき坂、角を曲がればさくら坂 次にデビューしたのが、欅坂46。2015年に結成し、2016年に「サイレントマジョリティー」でCDデビュー。 「大人たちに支配されるな」「この世界は群れていても始まらない」と、従来のアイドルとは一線を画し、信念の強さや葛藤などをテーマにした歌詞。それにリンクする激しく力強い、ストーリー性のあるダンスが話題でした。 坂の下から臨む、けやき坂(画像:成田愛恵) 欅坂46の名前の由来と言われているのが、同じく港区の六本木にある六本木けやき坂通り。六本木ヒルズの中心を東西に貫く、右に左にと緩くうねった約400mの並木通りです。 両側には高級宝飾店やハイブランドの店が並び、歩道にはパブリックアートもあります。 衣装の変化に見るグループの進化衣装の変化に見るグループの進化 けやき坂を歩くと、欅坂46の衣装の変遷(へんせん)が思い浮かびます。 デビュー当初の欅坂46の衣装は、制服のようなデザインでした。「サイレントマジョリティー」や「不協和音」のようなミリタリーテイスト、「二人セゾン」のMVでは実際に街にいる女子高生と変わらないブレザーにチェックのスカート。 MVの撮影現場や歌詞には渋谷のランドマークがたびたび登場し、どこか「女子高生の聖地 = 渋谷」を思わせていました。 けやき坂にあるパブリックアート「Arch」(画像:成田愛恵) それが2017年の「風に吹かれても」ではマニッシュな黒スーツ、2018年の「アンビバレント」ではオーバーサイズの白ブラウスと裾が広がる黒ズボンなど、スタイリッシュでハイセンスな衣装へ。 まるで渋谷で友人らと流行(はや)りを楽しんでいた女子高生が成長し、六本木を歩く社会人になり、大人が決めたルールから解放され自分らしさを表現しているようです。 そんな欅坂46は2020年、分岐点を迎えます。櫻坂46への改名です。 都内に複数ある「桜坂」 由来の地は?都内に複数ある「桜坂」 由来の地は? 東京都内には同名の坂がいくつかありますが、ファンらの中で由来と言われているのが六本木さくら坂です。 六本木ヒルズの住宅エリアにあるさくら坂、実はけやき坂の角を曲がると現れる坂なのです。 けやき坂とさくら坂の交差点にある看板(画像:成田愛恵) けやき坂とは打って変わって人通りも車通りも少なく静かなさくら坂。住民の憩いの場となる公園があり、子どもたちの声が響いています。 筆者が訪れたのは2021年7月上旬。両脇に立ち並ぶ桜の葉が生い茂り、坂の上の景色や空はあまり見えません。 日本武道館公演の中止やメンバーの卒業・脱退など紆余曲折(うよきょくせつ)を経て誕生した櫻坂46。角を曲がった先の景色はどのように映っているのか。 桜の花は厳しい冬を乗り越えて美しく咲き、人々を笑顔にします。彼女たちが心ひとつになって夢を目指す姿を応援します。 青空と陽の光に照らされた日向坂青空と陽の光に照らされた日向坂 最後に紹介するのは、かつて「ひらがなけやき」と呼ばれていた日向坂46です。 「キュン」、「君しか勝たん」といったキャッチーなタイトルと、ハッピーオーラあふれる笑顔のパフォーマンスが人気のグループです。パステルカラー調のスカイブルーやイエローの衣装はあざとさを感じたとしてもかわいいと言わざるを得ません。 同名の坂は港区三田1丁目から2丁目にあります。坂道の正しい読み方は「ひゅうがざか」。 坂の下から臨む日向坂(画像:成田愛恵) 坂の下に川が流れていて、やや急で長い坂道。登るのは大変ですが、真っ直ぐとのびる坂の頂点には青い空が広がっていて、日差しと木陰で1秒1秒と景色が変わります。 光が満ちあふれているこの坂のように、彼女たちにもきらきらと輝くパフォーマンスでアイドルの坂道を駆け上がってほしいです。 ※ ※ ※ 今回紹介した四つの坂道は全て港区内にあり、小一時間ほどあれば歩けるルートです。 彼女たちの歌を口ずさみながら聖地巡礼してみてはいかがでしょうか。歩行中の音楽視聴はくれぐれも車に注意を、ご近所への配慮も忘れずに。
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