デパート以外で使える「百貨店友の会」も!おトクに活用すれば低金利時代の救世主となる高利率積立法
低金利時代が続くなか、多くの百貨店で行われている高利率の積立サービス「百貨店友の会」。実は、百貨店を時々しか使わない人でもおトクな優待特典がたくさんあるんです。今回は、首都圏百貨店の「百貨店友の会」の仕組みとその特徴について、都市商業研究所の若杉優貴さんが解説します。 低金利時代が続くなか、多くの百貨店がおこなっている高利率の積立サービス「百貨店友の会」が注目を集めています。一方で、「どういったサービスなのか良く分からない」「デパートではあまり買い物しない」という人も少なくないのではないでしょうか。 実は百貨店友の会には、百貨店を時々しか使わない人でもおトクに感じる優待特典が沢山あるのです。 今回は、首都圏に店舗がある百貨店の「百貨店友の会」の仕組みとその特徴について紹介していきます。 一口に「百貨店友の会」といっても、特典や特徴は店舗ごとに多種多様。 (画像:若杉優貴・芝海しばうみ)なんと年利8~15%!デパート好きには圧倒的におトク! 「百貨店友の会」とは、簡単にいえば各百貨店が展開する会員制の積立サービスのこと。 決まった期間(多くは1年・半年など)に一定額を積み立てると、満期時に総積立額からボーナスを加算した額を百貨店の商品券や商品券カード(電子マネー)で受け取れる仕組みです。 例えば、1年間にわたって1万円を積み立てたとすると、多くの百貨店では1年後に積立額の1カ月ぶんに当たる1万円(もしくは半月ぶんに当たる5千円)がボーナスとして還元され、13万円(もしくは12万5千円)が商品券や商品券カードとして受け取れることになります。 このボーナス額を年利に換算すると実質約8~15%。銀行や郵便局に預貯金するよりも大幅に高い利率で、しかも銀行利息のように源泉税を引かれることもないとあって、百貨店ユーザーの人気を集めています。 ちなみに、この「百貨店友の会」は鹿児島市の百貨店「山形屋」(ヤマカタヤ)が大正時代に始めたものが最初。現在では多くの百貨店で同様のサービスが実施されるようになりました。 「百貨店友の会」の発祥は鹿児島・山形屋の「七草会」。1751年創業の老舗百貨店の発案は全国へと広がりました。(画像:若杉優貴)本もおトクに買える!――「百貨店内外の専門店」で使える百貨店も 百貨店友の会には「百貨店以外」で使える店舗や優待特典も少なくありません。 「デパートであまり買い物しない!」という人にもオススメなのが「友の会商品券・カードが多くのテナントで使える」という百貨店友の会。首都圏では「東武百貨店」や「丸広百貨店」などの友の会が該当します。 近年は館内に書店や家電量販店などの大型テナントやレストラン街を入居させている百貨店が増えています。 「定期購読している雑誌がある」「大型家電の買い替え時期が近い」「デパートにお気に入りのランチスポットがある」という人は、近くの百貨店にある書店や家電量販店、レストラン街などで友の会商品券・カードが使えないか調べてみてはどうでしょうか。 埼玉県に多店舗展開する「丸広百貨店」の多くは専門店街を導入した複合型店舗。 丸広では「ノジマ」や「紀伊國屋書店」「山野楽器」といった館内テナントでも友の会が利用できます。(画像:若杉優貴) このほか、百貨店がFC展開している大手チェーン店でも友の会が使える場合があります。例えば、山梨県の「岡島百貨店」は山梨県内の郊外エリアで家電量販店「ケーズデンキ」とホームセンター「カインズ」を、埼玉県の「矢尾百貨店」は秩父市内で家電量販店「ベスト電器」をFC展開。 これらの店舗では百貨店外にありながら、友の会の商品券を使うことができます。 秩父の「矢尾百貨店」は積立ボーナス額が少ない一方で店内の多くの商品が割引に、しかも友の会で旅行代金の支払いも可能! (多くの人にとっては「秩父に行くまでが旅行」かも知れないが…)(画像:若杉優貴) 少し意外なところでは、北海道のアンテナショップ「北海道どさんこプラザ有楽町」では「三越伊勢丹」のエムアイ友の会を使うことができます。 これは、同店が札幌市に本店を置く三越伊勢丹グループの老舗百貨店「丸井今井」(札幌丸井三越)の運営であるため。ちなみに売場には丸井今井の紙袋や包装紙も用意されているので、「北海道のデパートで買い物した気分になりたい!」という時には丸井今井の紙袋を希望してみては。 さらに、全国各地には「友の会商品券・カードを系列のショッピングセンターやスーパーマーケットで使うことができる」という百貨店も複数存在します。 しかし、残念ながら東日本では少数派。首都圏ではデパ地下スタイルの食品スーパー「東急フードショー」で使える「東急百貨店」(東急ストアでは利用不可)が該当するほか、郊外都市に店舗展開する「丸広百貨店」や「矢尾百貨店」などは食品館の一部が地域密着型のスーパーマーケット形式で運営されています。 「東急フードショー」各店では東急百貨店の友の会「東急ファミリーサークル」が利用可能。(画像:若杉優貴) なお、友の会商品券・カードを系列スーパー・ショッピングセンターや館内ほとんどのテナントで使えるという百貨店は積立ボーナス額が少なくなっていることが多いため、注意が必要です。 百貨店友の会は会員優待も多種多様――なんと「家の購入代金割引」も! ほとんどの百貨店では、友の会会員向けの「優待サービス」が実施されています。使い方によってはかなりおトクになるものもありますが、その優待内容は各百貨店によって大きく異なります。 「三越伊勢丹」「大丸松坂屋百貨店」など、全国各地に店舗展開している大手百貨店の友の会では大手ホテルチェーンの割引など「全国各地で幅広い優待が受けられる」ことをウリにしているものが多い一方、電鉄系百貨店の友の会では「グループ企業・沿線企業を中心に手厚い優待が受けられる」ことをうたっている例がみられます。 箱根でリゾート開発を手掛ける小田急グループだけに、小田急百貨店友の会「小田急レディスクラブ」は箱根エリアでの優待が充実。箱根強羅公園の入園料はいつでも割引に。(画像:若杉優貴) 例えば、「東武百貨店」はおもに日光エリア、「小田急百貨店」はおもに湘南・箱根エリア、「東急百貨店」はおもに伊豆箱根エリア(伊豆急行は東急系)の系列リゾート施設での友の会優待が充実しています。 こうした電鉄グループは「東武スポーツクラブ」「東急ゴルフクラブ」などグループが運営するフィットネスクラブやスポーツスクール、ゴルフ場を持っているところが多く、それらスポーツ施設の優待をおこなっている友の会も多くあります。 なかでも個性的かつ高額な優待特典があるのが、電鉄グループの不動産会社。「東急百貨店」では、友の会会員が東急グループの不動産会社「東急リバブル」で不動産売買をおこなうと商品券3万円を進呈(仲介手数料30万円以上が対象)。 また、「小田急百貨店」では、友の会会員が小田急グループの建設・不動産会社「小田急ハウジング」でのリフォーム・新築工事が見積額から3%オフ、不動産会社「小田急不動産」で新築物件を成約すると商品券10万円が進呈されます(それぞれ条件あり)。 例え「3%」といえども不動産は高額なもの。3千万円台の物件でも一気に100万円ほど安くなることになります。「電鉄系百貨店の沿線に住んでいる・これから住んでみたい」という人や「良く遊びに行くお気に入りの観光地がある」という人は、そのエリアの開発を手掛けている電鉄グループの百貨店友の会の優待特典をチェックしてみましょう。 多くの百貨店では友の会会員やカード会員等のみ入店できる「特別ご招待会セール」が実施されています。招待会ではデパコス(化粧品)がほぼ全品割引になることも。(写真は近鉄百貨店)(画像:若杉優貴) この他、多くの百貨店では友の会会員など限られた顧客だけおトクに買い物することのできる「特別ご招待会セール」が開催されているほか、文化教室の割引制度を設けている店舗、子どもが居る世帯向けの優待特典を設けている店舗、ギフト購入者向けの特別割引を設けている店舗、さらには常にほとんどの商品が割引価格で購入できる店舗など、特徴的な「当店だけの優待制度」を設けている例も少なくありません。 利率の高さのみならず、さまざまな特典がある百貨店友の会。百貨店をあまり使わないという人も、自分にとっておトクな優待特典があるかどうか、各百貨店を比べてみてはどうでしょうか。 なお、百貨店友の会は入会している百貨店が経営破綻した場合、積立額の全額が保護されるとは限りません。例えば、2020年に倒産した「大沼百貨店」(山形市)の大沼友の会会員には供託金などを原資として積立額の返金が行われたものの、返金額は積立分の約76%となっています。 首都圏の百貨店ではこのようなことが起きる可能性は低く、また過去に大手百貨店の経営破綻によって友の会の積立額が補償されなかった事例は無いのですが、一応頭に入れておきましょう。 首都圏に店舗がある百貨店の「友の会」徹底比較。(2023年時点)(作成:若杉優貴)
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