学問の神様をまつる街・文京区湯島が秘める、花街の痕跡と「おばけ横丁」【連載】東京色街探訪(10)
2021年11月3日
お出かけ学問の神様・菅原道真をまつる湯島天神で知られる文京区湯島。この地はかつて、また別の側面を併せ持っていました。紀行ライターのカベルナリア吉田さんがその痕跡をたどります。
天神様の門前に……?
東京メトロ千代田線の湯島駅で降り、地上に出るとそこは天神下交差点(文京区湯島)。
湯島天神がある街だから、下町の風情が漂っているかと思ったら、ビルがひしめく街景色に迎えられ少し驚きます。人も車も途切れずに行き交い、喧騒(けんそう)に息切れしそうです。
天神下交差点から「湯島白梅商店会」を進み、途中で路地に迷い込むと、喧騒も少し収まりました。路地にはトラットリア(イタリアン・レストラン)やワインバル、和風茶房などが並び、和服姿の人も歩く落ち着いた雰囲気です。そして路地の突き当たりに、急な上り階段が延びています。
天神石坂、またの名を「男坂」。上りきったところに鳥居が立ち、くぐればその先は湯島天神です。すぐ脇に傾斜の緩やかな「女坂」もありますが、ここは頑張って男坂を上ります。
なんと急な階段でしょう! 気を抜くと後ろに倒れて、転がり落ちそうです。それでも 1段、2段……と数えつつ慎重に上り、38段を上りきって天神様の境内へ。揚げまんじゅうの屋台が真っ先に目にとまりますが、まだ歩き始めたばかりなので、食べません。

湯島天神はご存じの通り学問の神様・菅原道真を祀(まつ)る神社で、合格を祈願する絵馬が大量に奉納されています。意外にこぢんまりとした社殿のほかに、屋外では都内に唯一残る瓦斯(ガス)灯があり、そして石碑がいろいろ立っています。
迷子探しの石「奇縁氷人石(きえんひょうじんせき)」に、講談高座発祥の地の碑、中国から渡来した紙筆墨硯を表す「文房至宝」の碑。そして小説家・泉鏡花にまつわる「筆塚」も。湯島天神は鏡花の代表作『婦系図』の、ゆかりの場所だそうです。
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