街なかで力士に出会ってビックリ! 駅前再開発で住みやすさ急上昇中の足立区「西新井」

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街なかで力士に出会ってビックリ! 駅前再開発で住みやすさ急上昇中の足立区「西新井」

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たまきち川たまきち

都市文化探検隊員

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地域の歴史や文化、そこに行かないと味わえない食べ物など、東京の「地元」を再発見するまち歩きシリーズ。案内人は、都市文化探検隊員のたまきち川たまきちさんです。

別名「関東の高野山」がある土地

 東京の東側エリアに位置する足立区「西新井」をご存じでしょうか。東京に住んでいても行ったことのない人は多いと思いますが、もしかしたら新たな発見があるかもしれません。

 そんな西新井ですが、地名の由来は同地にある西新井大師(五智山遍照院總持寺。西新井1)が関係していると言われています。

 西新井大師は川崎大師(川崎市)と観福寺大師堂(千葉県香取市)とともに「関東厄除け三大師」のひとつであり、「関東の高野山」の別名もあります。

西新井大師の本堂(画像:たまきち川たまきち)



 ちなみに、大師とは平安時代の僧である弘法大師(空海)と、それを祭る寺を指しています。

境内には「ありがたい水」も

 西新井大師は、関東を巡錫(じゅんしゃく。僧が各地をめぐり歩いて教えをひろめること)していた空海が826年(天長3)年に建てたと言われています。

 本堂の西側には加持水(かじすい。ありがたい水)の井戸があり、それが寺の名前の由来に。また重要文化財を保有し、寺自体も歴史的・文化的価値を持っています。

加持水の井戸(画像:たまきち川たまきち)

 一方、お正月などは多くの人たちでにぎわうことから、近隣の人たちから愛されていることがわかります。2021年は新型コロナの感染拡大もあり、人出はいつもより少なく見えましたが、それでも出店(でみせ)でにぎわっており、西新井の「顔」にふさわしい存在感を見せていました。

約15年かけて行われた駅前再開発

 そんな西新井ですが、足立区の計画によって駅周辺は1998(平成10)年から大規模開発が行われ、2014年に終了しました。

 駅周辺は工場が多く立地しており、紡績通りという通りの名前からわかるように再開発地区にはかつて日清紡の工場がありました。現在は大型商業施設のアリオ西新井(足立区西新井栄町)やマンション群、公園、警察署、消防署、病院など、住みやすい環境に激変しています。

アリオ西新井(画像:たまきち川たまきち)

 足立区には菓子業者が戦後多く立地していたこともあり、アリオ西新井には区内の菓子業者が製造する菓子を並べた「地元の味」コーナーが設けられています。それらは値段も安く、昭和レトロな懐かしさが感じられます。例えば、牛乳入り鈴カステラ(税込み116円)やいちごジャムサンド(税込み235円)などです。

参道には売り切れ必至の団子店も

 アリオ西新井の正面玄関を背に西方面に向かうと、西新井大師へとつながる西新井大師道があります。これを道なりに進み、信号を渡ると、西新井大師の参道入り口に到着します。

 周辺には昔ながらの店が多く点在しています。例えば、参道には草団子の店「清水屋」と「中田屋」が向かい合って立地しています。中田屋は夕方に行くと決まって売り切れの張り紙が貼られており、筆者は買えたためしがありません。

草団子の店「清水屋」(画像:たまきち川たまきち)



 そして、少し進むと和菓子の「田口屋」、煎餅が実演販売されている「浅香家」やおしゃれな「マークスコーヒー」というカフェがあります。

昭和レトロとトレンドが融合

 また、参道の左側に細い路地のような短い商店街「門前華永路(はなようろ)」があります。ここには「ひものばーとちあずま」や「いなり寿司河村屋」、だるま屋やタピオカミルクティーの店などの店も。

 ひものばーとちあずまは、元栃東(現・玉ノ井親方)の兄弟が経営しており、力士も立ち寄るのか、椅子もビッグサイズ、かつ昭和レトロな雰囲気の漂う店です。いなり寿司河村屋は、粉海苔を混ぜたご飯のなかにガリとうずらの半熟たまごが入っている出世いなり(日曜、祝日、毎月21日の縁日の限定販売)や角煮いなりが名物です。

 このように参道だけでも店の新旧が感じられます。

 西新井駅へ戻る途中に1軒の昭和レトロなタバコ屋が見えてきます。今ではあまり見ないタバコだけを販売しています。夕暮れどきになると看板に電気がともされ、なんとも懐かしい雰囲気を醸し出しています。

昭和レトロなタバコ屋(画像:たまきち川たまきち)

 そのほかにも、完成当時はモダンであったであろうデザインの集合住宅なども立地しています。西新井大使までの道のりだけでも、昔ながらの店や建物がポツポツ残っています。こうした地元の人しか知らない場所を見つけるのが、まち歩きの面白さではないでしょうか。

力士に会えるまち

 また西新井周辺では、日常的に力士の姿を見かけます。なぜなら、相撲部屋の玉ノ井部屋があるためです。西新井駅東口側のハンバーグがおいしい店で、筆者は偶然、玉ノ井親方と弟子たちを目撃したことがあります。店主と話をしながらリラックスした姿が印象的でした。

 こうした光景に出くわすも「地元」ならではかもしれません。ちなみに、近くの谷塚(舎人)周辺には境川部屋もあります。

昭和レトロな集合住宅(画像:たまきち川たまきち)



 今回、足立区「西新井」の地域文化を見てきました。東京にも独特の雰囲気のあるエリアが多くあります。そこには必ず、地元の人に愛されている場所や店があり、先のタバコ屋のように、昭和レトロな風景を見つけた――と「自分だけの宝探し」もできます。

 それぞれ、感じるポイントは異なりますが、まち歩きをしている際、そうした視点から日常のまちを見れば、楽しさ倍増かもしれません。

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