駒込駅近くで香る――桜の王者「ソメイヨシノ」を生んだ植木職人たちの熱きプライド
2020年3月2日
知る!TOKYO日本のサクラと言ってすぐに思い浮かぶのが、ソメイヨシノです。そんなソメイヨシノをつくったのは、江戸時代、現在の駒込エリアにあった染井村の職人たちだと言われています。その背景について、フリーランスライターの小川裕夫さんが解説します。
不動の人気を誇るソメイヨシノ
啓蟄(けいちつ。冬ごもりしていた虫が穴から出てくること)を迎え、日に日に春めく昨今。春を彩るサクラも花を咲かせています。日本人の心とも形容されるサクラですが、サクラにも数多くの品種があり、そのなかで1番人気がソメイヨシノです。
今般、私たちを楽しませてくれる東京都内のソメイヨシノは、その多くが昭和30年代に植えられました。ソメイヨシノの寿命は60~70年と言われているため、最近ではソメイヨシノの寿命が尽きつつあると考えられています。
そうしたソメイヨシノ寿命を目前にして、地方自治体や商店会・町内会・自治会などは対策として、ソメイヨシノに似た品種のサクラへと植え替える動きを見せています。

ソメイヨシノから他品種へシフトする動きはありますが、それでもソメイヨシノの美しさ、はかなさは群を抜いており、今でも不動の人気を誇っています。
ソメイヨシノ誕生の陰にいた植木職人たち
サクラを代表する品種のソメイヨシノは、吉野桜の一品種であるエドヒガンが品種改良されたサクラだとされています。その発祥は豊島区の染井村で、ソメイヨシノの名称の由来にもなっています。
染井の最寄りでもある駒込駅の駅前広場には、ソメイヨシノ発祥の地を顕彰する碑が建立されています。普段は至って静かな駅前広場ですが、サクラが満開になる今の季節は、カメラを携えた人たちがひっきりなしに訪れるホットスポットにもなっています。

ソメイヨシノを生み出した染井村ですが、これは偶然の産物ではありません。江戸時代、駒込から染井にかけたエリアには植木職人が多く住み、園芸技術の向上に修練していました。ソメイヨシノが生まれたのも、そうした植木職人たちの血と汗の結晶といえます。

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